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絶望という形で願いが叶う




御坂めぐみ…

◯◯高のメグちゃんって君かよ。

ショックよりも、意外すぎて言葉が出ない。

なんていうか、丈君はもっとおしとやかな感じの子がタイプなのかと勝手に想像していたから。




「共通の知り合いがいるっていうのは、心強いよね。ジョーカにはカミングアウトしちゃう?」


そんなことを、僕の気も知らずにあっけらかんとした口調で彼女は言う。


「それは絶対ダメだ」

ていうか、無理だろ。と焦って付け足す。


「なんで?そうしたほうがあーしも気が楽なんだけど?」

彼女が怪訝そうにこちらを見る。


「…丈君はいい奴だけど、流石に信じないだろ、こんな話。」



僕は怖かったのだ。

丈君はふざけた冗談が嫌いな奴だ。

もし仮に言ったとして、こちらが本気だったとしても、最後まで信じてもらえなかったら。

僕は軽蔑されるだろう。

身体が戻ったときに丈君が隣に居ないのは、耐えられない。



「いつ戻るか分からないんだよ?」


「それでもだ。…もうちょっと様子を見てからにしよう。頼む。」


こんな時まで、自分のことばかりで

僕は僕が嫌になる。

僕はできるだけ深く、彼女に向かって頭を下げた。


「…うん、分かった。うっかり言わないように、あーし気をつけるわ。」


「本当に頼むぞ!?」

怖いんだよなぁ、こいつ。

こんな見た目(今はぼくだけど)っていうのもあって、口軽そうなんだよ。

人を見た目で判断するのは良くない事だと思うが、彼女と僕は今日が初対面なので、彼女の内面のパーソナルな部分は全く分からないのだ。


でも、不思議と丈君の彼女というだけで、根拠のない安心感のようなものが、僕の中にあるのも確かだった。


それは丈君に対する信頼があっての事だけど。




「一応確認だけど、僕が御坂さんの携帯を使うって事でいいんだよね?」


「うん。あーしが奈良っちのケータイ持っていく!あ、昔のメールとか見ていいからね。あーしが普段友達とどんな感じなのかとか、少し分かるっしょ。」


奈良っちって。グイグイくるな。


「分かった。僕の方は…まぁ、見てもいいけど、あんまりメールとかしないから、役に立たないかも。」


「奈良っち、友達ジョーカだけだもんね!」


遠慮のない女だった。

いや、望んでやってることだから、別にいいんだけど。


「あと、学校ではその『あーし』と『〜っしょ』ていうのと、ギャル語全般禁止な。」


元々無いような、僕の立ち位置が完全崩壊する。



「分かった!僕、僕僕…〜でござる…オッケー!」


「僕はござるとか言わねえよ!」

絶対にやめろよな!

…本当に大丈夫なのか。



「ねぇ、やっぱり今日は学校休んで一日話し合わない?…元に戻る手がかり探そうよ。僕、やっぱり不安だよ、君に学校行かせるの。」


「大丈夫だって。僕に任せて。」

早速御坂は口調を直して僕に言った。

…何を根拠に、そんなに目をキラキラさせて自信たっぷりなんだろう。


彼女は不安とか感じないのだろうか。

そんなような事を聞いてみると、彼女はやけにサッパリとはっきりと言い切った。


「ぜーんぜん!むしろ、自分じゃない身体に入って過ごすとか…楽しみでドキドキする!」



彼女と僕とは根本から違うみたいだ。

最早、同じ人間だということすら信じられなくなるほどに。

なんでこんなに楽観的なんだよ。

僕にその100分の1でいいから、わけてくれよ。




そんな感じで(どんな感じだ)、僕たちはそれぞれの学校へ向かった。







閲覧ありがとうございます。


次回もよろしくお願い致します。


黒川渚

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