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嘘の裏側は嘘




「メグメグおかえりー!遅いよー!ほら、お母さんの唐揚げ本当に美味しいから、早くおいで。」


馴染みすぎだろ。

今まで住んで居たから、そりゃ勝手が分かるのかもしれないけど、姿形が変わったのによく今まで通りに過ごせるな。

コミュニケーション能力高すぎだろ。


「奈良橋くん、どんどん食べてね。ほら、アンタも早く食べちゃいなさいよ!」

いや、こちらがあなたの娘さんですよ。


聞きたい事は山程あったけど、とりあえず御坂のご家族の方と食事を摂った。


「御坂、一応僕の母さんに連絡しておいてくれよ、心配してるから。」

僕はコソッと御坂に耳打ちした。


「あー!忘れてた!ごめーん。お母さんすみません、ちょっとトイレ借りまーす!」


別に今じゃなくていいのに、忙しないやつだな。


「奈良橋君と付き合ってるんでしょ?何て言うか、元気でいい子だけど、ちょっと変わってるわね。アンタそっくり!」

そんな事を笑いながら言う御坂母。


「…」

僕は複雑な感情とやっぱり親子は分かるんだな、と少し荒んだ心が癒された。













「で、どうなったの?」


「どうもこうも…御坂、僕に言ってないことあるでしょ。」大切な事。


「何ー?あーしは隠し事とかできないタイプっしょ。」


「いや、知らないけど…」

「丈君に、私の事好き?って御坂のフリして聞いたら、最初から好きじゃないって言われたんだけど。」

「どういうこと?」


もしかしたらこの案件は、御坂を傷つけてしまう可能性があるので、慎重に言葉を選んだ。


「まさかないとは思うけど、何か丈君に言い含められてる?…身体だけの関係、とか」


「それはない」

御坂はハッキリと否定する。

「分かった。最初は付き合っている事態、本当は周りには秘密にしてたんだけど、言うわ。」



一年前の彼女になった時の出来事から教えてくれた。




「…そう」


「ジョーカはあーしの事、ハッキリ振ってくれたけど、あーしが諦めきれないから今日まで無理矢理付き合わせているの。」


「何でそんな事をしているの?」

そんなの…


「傷つくだけ、でしょ?それも何度もジョーカに念押しされた。分かっててあーしはやってるの。だってほら、一緒に居るだけで好きになってくる事もあるでしょ?」

強がったように笑って見せる御坂。

僕はそんな彼女を見て居られないし…正直滑稽に見えた。



「だから、奈良っち、あーしは今凄く幸せなんだ。」


「なんで?」

僕は今、この状態、かなり過酷で正直不幸とさえ思うのに。






「だって今のあーし、ジョーカと毎日ずーっと一緒だもん!これ以上の幸せなんて…私にはない。」


聞きようによっては、凄く一途で乙女らしい一面のように感じられるけど



僕はその瞬間の御坂が


とても怖いと思ってしまった。






閲覧ありがとうございます。


次回もよろしくお願いします。


黒川渚

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