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前章1


 世界の根源エネルギー……マナ。

 そのマナが満ち溢れる異世界アルティナ。

 地球世界とは異なることわりで動くこの世界には『魔術』と呼ばれる技術が存在していた。

 根源たるマナを利用し、様々な現象を意図的に引き起こすこの技術は、すべての生命が持っている。


 しかし『魔術』の過程と結果を思考で細分化し、言葉で記録・伝えることの出来る生命は限られていた。

 代表的な種族を上げれるとすれば、エルフやドワーフであろうか。

 だが彼らにしても、その高いマナ感応・干渉能力を持つため感覚に頼る部分が大きい。

 では最も魔術の細分化・記録化・共通化に優れた種族とは?


 それこそ、今この世界でもっとも繁栄し、巨大な文明を築いている……人間種である。


 彼ら人間は、この世界では弱小に属する存在であった。

 内蔵する根源エネルギー・マナの総量は少なく、肉体も強靭ではない。マナの感応・干渉能力も低い。

 けれども、人間種は他種族にはない特徴があった。

 魔術の起動から、現象の発生までの一連の過程を視覚できたのだ。

 もちろん、全てをつぶさに視ることが出来るものなど、人間種の中でも少ない。過程を視覚で感じ取れるのは彼らだけだった。

 そして彼ら人間はその過程を『魔術式』という計算式で表現し、他者に伝える能力を持っていた。

 これによって、彼ら人間種は魔術を『学問』として確立することに成功。

 そしてそれら魔術技術の普及・教育・発展によって、人間種はアルティナに一大文明を築き、いっきに世界の覇者へと駆け上っていった。


 ただ、彼ら人間には種族として大きな弱点があった。

 それは……強大な欲望。

 他の種族にも欲望と呼べるものはあるが、人間種のそれは強大すぎた。

 世界の管理者たるドラゴン種の力を欲するほどに。

 もちろんこの強大な欲望があったからこそ、繁栄を築くことが出来たのだが、同時にそれは種の存亡の危機を招くものともなっていた。


 それは同種族内の争い。

 人間種にとって最大の天敵は人間種であったのだ。


 世界全土に広がった彼らは、生きるために派閥をつくり、部族をつくり、集落をつくり、国をつくった。そして国を――すなわち己を生かすために、その他の国を喰らった。


 世界中で多くの国が生まれ、互いに喰らいあった。そしてそれは人間種だけでなく、多くの種族を巻き込んで。

 そしてその争いは今なお、世界を覆っていた……。


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