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維持するのは意地なのか

カタチが変わってしまったのだから、私はもう、そこに居てはいけない


いけない


と言うよりも、もういる必要がなくなった


その居場所にとって


それは私にとって、これまでしてきたこと全てが意味を成さないことになる


と、イコールだった


これまで、そのためにしてきたのに


それが意味を成さないとは


やはり生きている意味はもうない


それなのに、何故生きるのだろうか


矛盾しているようだけれど


その居場所が例えばカタチが変わってしまって、私の居場所ではなくなったとして


私にとってたったひとつの大切なものであることが変わることはなかったからだ


その居場所が、私の居場所ではなくなったとしても


存在するのであれば


私はこの命を終わらせることができなかった


意味がないのに


意味がないまま



だから、苦痛だった


どうしてよいのかわからなかった


その矛盾の中、なんとか生きるための場所を見つけた


ように見えたけれど


それがそうならば


苦痛ではなかったはずだ


だから、そもそも居場所ではない


のは、わかっていてそうしたのだった


そうでもしないと生きていられなかったからだ


なんとも、おかしな構図だな、と何度思ったことだろうか


しかし、それしか術がなかったのだ



なのに


考えることと言ったら、変わらないのだ


やっと見つけたそのカタチが変わった場所は、私の居場所であることに、変わりはないからだ



なんとも頭の悪い人間だ、私は


要領も悪いし


容量も少ない



もっと容量を増やせて


要領よく生きられたら


どんなに楽な人生だっただろうか


しかし、そんなことを言っても仕方がない


両親が生んでくれたことには感謝をしているし、こうとしか生きられないのだから、こうと生きていくよりないのだ



やっと見つけた、なんとか命を維持するための場所にいるためには、これまた意地が必要と言えるような、全てをすり減らしながら生きるような、そんな条件の場所だった


私にとってそれは、とてつもなく最適な場所だったような気がする


もう、生きているのも困難なわけだし


だけど、生きなくちゃいけないわけだし


すり減るぐらいの方が都合が良かったのだ


すり減った上で、自然に終わることができるのならば


そんな後ろ向きな、他力本願的な終わり


それを望んだからだった



それは


私はすり減るけれど


ある存在は、その真逆で


それを見ていられるだけで、なんとか保っていられたとも言える


何も建設的なことがなければ、到底保つことなどできないのではないだろうか、どんな状況であっても


ならば、いっそのこと、全てを一気に終わらせた方がいい



なのに


やっぱりイッコしかないものはイッコなんだ


どんなものも変わりになんてなれるわけがない


居場所はイッコしかなかったんだ



そして、いつしかその居場所がカタチを変えたと思ったのは、もしかしたら私の大きな見間違いだったのではないだろうか?


と、思うようになっていった


それが、何故そう思ったのかのきっかけはすっかり忘れてしまったけれど


そんなに、私とその居場所が簡単に変わるわけがないって


思いたかったのかもしれない


それに


私が、その居場所に対しての居場所感を、この先も変えることなんてできっこないって


それは、ずっと、どの時も思っていたから


だから苦痛だったわけで



にしても


時はいつのときも進む


それこそ、形としての私の居場所はどこにもないままだ


今も仕事が終わって、ずっとこうして公園の滑り台に座っているわけにはいかない



帰りたくない


毎日


帰りたくない


居たくない


どこにも居場所なんてない


たったイッコ


それだけだ



ね、そう思わないもんなのかな?





女は、私に向かって問いかけたような気がした


どうだろう


私にとっての、居場所?


どうなんだろう…


答えは、考えておこう

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