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青の光跡  作者: 桧山 紗綺


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3 今日の予定

 朝日の昇る街を見ながら今日の予定について考える。

 改装中で泊まれる部屋が少ないと聞いていたけれど運よく空き室があった。

 この宿は規模こそ大きくないけれど、綺麗で落ち着いた室内と宿を営んでいる夫妻の気配りで人気の宿だ。ソフィアもこの街に来るときはここを拠点にすると決めている。

「さって、今日は市から行ってみようかな」

 昨日は市を見る前にアルフレッドに会ったので、市場には足を踏み入れただけだった。

 住人が百人程度の村でもないのに到着したその日に偶然会うなんて、驚く。

 そういえば、と袋から青光石を取り出す。

 光を反射する石は深い青をしている。我ながら良い品を手に入れたと思う。

 それだけに売る相手を選びたい品だ。

 更に輝かせてくれる人にしか渡したくない。そういったわがままを通せるのもあちこち渡り歩く行商のいいところだ。

 決まった取引先を相手にするとこういうことは出来ない。

 まあ、全部の品物にわがままを通していたら生活が成り立たないけれど。

 たまに見つける珠玉の品くらいは自由に取引をしたい。

 どうせ誰にでも買える品というわけではないし。

 そこまで考えて知らずに息が漏れる。

「アルフレッドならきれいにしてくれると思うんだけどな」

 この街で親しくしている細工師の青年をソフィアはとても買っていた。

 とはいえ本人も言っていた通り、彼がこれを買うことは少し厳しいのもわかっている。

 ソフィアも商売なので適正でない取引はしない。

「残念ね」

 彼ならこの石をどう輝かせてくれるのかとても胸が躍るけれど、それを見ることはないだろう。

 これは王都で売ることにしようか、などと考えながら部屋を出た。

 この街には一週間くらい滞在予定だ。

 滞在中は時々アルフレッドが案内をしてくれる。

 昨日は突然だったので見られなかったけれど、アルフレッドが作った作品も毎回見せてもらうことになっていた。

 彼が作る作品は美しいけれど、実用性があって、素晴らしい。

 貴族のご令嬢から商家の奥さんまで誰でも着けられる。

 洗練されているのに気取り過ぎているわけじゃない。

 いつも着飾っている人なら日常使いに、普段あまりおしゃれが出来ない人なら特別な日に。

 どのような場面にも合わせやすい。

 一昔前の結婚式やパーティなどでしか使えないような大仰な物とは違う。

 いうなれば時代に合ったアクセサリーだった。

 ソフィアは必ずアルフレッドが作った物を仕入れて他の街で販売する。

 手が出しやすい値段というのが理由の一つ。

 持ち運びしやすいのもある。

 何よりも、自分が素晴らしいと思った物を他の人にも知らしめたいというのが最大の理由だ。

(もう少し暮らし向きが良くなれば大物買ってくれるかもしれないし)

 こそっと自分の野望を織り交ぜつつ、行商の品の一部として彼の作品を買うのがいつもの決まりだった。

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