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青の光跡  作者: 桧山 紗綺


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24 後悔と原動力

 隣にいるアルフレッドを横目で窺う。

 真剣に盤面を見つめる横顔からは特別感情の揺らぎは感じられない。

 昼間、弟さんを捕まえ損ねたことをもっと気にしてるかと思ったんだけど。

 シンシアが上手くアルフレッドの気をほぐしてくれたのかもしれない。

 アルフレッドは面倒見がいいのでシンシアとは相性もいいみたいだ、さっきもふたりで楽しそうに遊んでいた。

 妹を取られたみたいでちょっとさみしい。

 シンシアもいつまでもソフィアの後ばかりついて来たような子供じゃないんだと実感する。

 お父様やお母様から聞いた話でも次期会頭として過不足ない知識はあるようだし、あとは経験を積んでいくだけ。

 商人の道は綺麗事ばかりじゃないこともソフィアは知っている。

 自分たちが真っ当に商売をしていても、怪しい誘いや揉め事に巻き込まれることはあった。

 オリヴァーの顔が頭に浮かぶ。

 あのときのシンシアの泣き顔や両親の険しい顔も。

 ソフィアが未熟だったせいで周りも傷ついてしまった。

 せめて彼女のことに気づいていれば……。

 何度も繰り返し浮かぶ後悔はソフィアの原動力にもなった。

 家を離れ、自分の力でやっていけるようになる。

 誓いはまだ道半ばだ。

 おまけに商品を盗まれてアルフレッドに負い目を与えてしまったし。

 青光石のことは残念だけど、行商をやる以上想像していたリスクだ。

 それよりも自分が目を付けていた職人が潰れる可能性の方が恐ろしかった。

「ソフィア、順番だよ」

 アルフレッドの声で現実に帰る。

 駒を進めると大きなマスに止まった。

 分岐点の前の大マスは必ず立ち止まらないといけないルールだ。

 別れ道の先を見ながらまた考えに沈んでいく。

 道はいくつもに分かれている。賽で決まるゲームとは違い、ソフィアの前にある道は自分で選んで進める。

 後悔だけはしないように。

 明日はまた弟さんを見かけた場所に行こう。

 アルフレッドが駒を大きく動かし、シンシアが悲鳴を上げる。

 最初にゴールに駒を進めたアルフレッドに自分も続こうと賽を高く投げるシンシア。

 テーブルの端に当たって絨毯の上に落ちた賽子は無情にも一番小さい数字。

 次に賽を振ったソフィアが大きく駒を進めゴールするとシンシアがわかりやすく膨れる。

 久しぶりの和やかな夜にアルフレッドもソフィアも声を上げて笑った。




 翌日ソフィアたちは弟さんを見かけた地区に向かって歩いていた。

 今日はシンシアも一緒にいる。

「シンシア、良かったの? 他に予定があったんじゃない?」

「変更できる予定だけだったからいいの、案内役は任せてね!」

 力一杯主張するシンシアにソフィアも顔が綻ぶ。

 久しぶりにあった妹と一緒に過ごせてうれしくないわけがない。

 ただ、昨日のように絡まれることがあったらと思うと心配になる。

 流石に二日連続で遭遇することもないと思うけれど……。

 シンシアはかなりオリヴァーを嫌っている。

 何事もなく弟さんが見つかればいいのだけれど、ソフィアはそう思いながら先に立ってはしゃぐシンシアを追いかけた。

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