5……かんだ
草の中には名前の横に「苦味」「辛味「酸味」とかついてるのがあったけど「甘味」のだけかじってみた。
茎の部分を噛めば噛むほど甘味が出て来た。
これは癖になる噛み応えだ!一本持って帰ろうかな♪
そして大ぶりの茎をくわえて立ち上がると何ともタイミングよく良い風が吹いた。
??
……何か風の中に見えた。
見ようとしていなかったんだけど……見えた気がした。
俺は風が吹いてきた方向に駆け出す。
何かある。これには不思議な確信があった。
少し背の高い下草をかき分けそこに辿り着いた。
俺は思わず口をあんぐりと開けてしまい、くわえていた茎が地面に落ちた。
そこには白い木が立っていた。
幹は普通の白茶色なんだが葉っぱが……真っ白だ!!
しかもすごい太い木だ。これは木と言うより樹だな。大樹だ!!
周りが深い緑色なもんで白い樹は浮かぶように存在感があった。
あんまりじっくりと眺めたので名前が出た。
≪マザーウッディ―・メグルの大樹≫
マザー?
すごい名前だな……つまり凄い大樹なのかもしれない!
俺は吠えた!!
「ワンワン!ワンワン!!ワオン!!!(パルコ!お父さん!凄いのあったよ!!)」
『森へようこそ。小さな子』
へ?!
今声が……キョロキョロするとくすくすと笑い声がした。
「く~ん?(マザー?)」
『はい、私ですよ』
あっさりと返事が返ってきた!!
樹と話せるなんて聞いてないぞ!!
声は優しいんだけど威圧と言うか威厳と言うかが強く感じる。
「わうわふ(うるさくしてゴメンナサイ)」
舌を噛みそうになる。あわあわ
『いいえ。今日来てもらえて嬉しいわ』
何か空気が温かくなった気がした。
「ルーペどうしたの?……わあ!!」
そこへパルコが駆けつけ目を丸くした!慌てた様子でお父さんを呼ぶ。
続いて到着したお父さんが満面の笑みを作った。
「マザーウッディ―の開花の日に来れるなんて、今日は運がいい」
「メグルの実がなるやつだよね?」
「そうだよ。ほんとに綺麗だなぁ」
お父さんが本当に嬉しそうに大樹を見上げる。
俺も近くに行ってやっと白いのが葉っぱでなく花だという事がわかった。
葉っぱが見えなくなくほど花が咲くなんて凄い!!
マザーから嬉しそうな笑い声が聴こえる。
「他のメグルの木は年に一回決まった時期に花をつけるが、マザーは季節に関係なく自身の気力が充実した時に花が咲いて実をつけるんだ」