2……見えた
「きゃん!」
飛び出した事を俺は後悔した。
光の当たる場所が高い所だなんて考えていなかったんだ!
「わぁっ!ルーペ!」
階段を転がり落ちて悲鳴を上げた俺をあいつが追いかけてくる。
痛みに顔をしかめつつ目を開けると、あいつの後ろに知らない奴がまた出た。
「う~っ(何なんだおまえら!)」
思わずこぼすと後ろの奴が首をかしげた。
『今、「おまえら」と言いましたね?
私の事が見えるのでしょうか?』
返事を返されるとは思ってなかったので首をかしげてみる。
よく見たら返事をした奴の耳は頭の上についていた。
もう一人の耳は横についている。
「くん(見えるけど?)」
『まあまあ!初めまして!私はあなたの前任者だったガーディと言います』
ガーディと名乗った奴はとても嬉しそうに笑った。
現状を呑み込めていなかった俺にガーディは丁寧にいろいろ説明してくれた。
ガーディと俺は「犬」である事。
犬は人と一緒に暮らすことで幸せになれる事。
俺は老衰で死んだガーディの代わりに新たな家族としてこの家に迎えられた事。
「くん?(でもガーディ人の姿に見えるよ?)」
『ああ……それは私が猟犬として生を受けて、この家で守護者と言う名前を頂いたからですね。だから死んでからもこの家に居られる形に変化したんだと思います』
何なんだそれは!
名前ってそんなに大事なのか?!
……じゃあ俺はどうなんだろう……
「く~?(じゃあルーペって名前も何か意味あるのか?)」
『人の言葉と犬の言葉は同じ意味ではない場合がありまして、犬の言葉でルーペは「大きな目」という意味です。うらやましいですわ!猟犬向きの名前ですわ!』
何だか力説されてしまった。
『あ、だから私の事も見えたのかもしれませんね』
一人で納得している。
俺はどうすればいいんだよ。
『つまり普通は見えないものが見えるかもしれない。という事です』
厄介な力だな……かもってところが。
『私はこの家の半径10mから出られませんので、外では自分で頑張ってくださいね♪』
しかも投げたぞ。この守護者は!!
『仕方ないじゃないですか。私は家の守護者であって家族の守護者ではないんですから』
そうか……
『でもオマケで一つ見方を教えます。私のおでこの辺りをじっと見てみてください』
おでこ……?
ジ――――――――――---‐お?
『きゃらふと』と言う画像作成サイトを使って作ったガーディを添付です。
まあイメージ通りです。