13……登った
こっそり大きな人に付いていくと、一つの部屋のドアが開きその人が持ってきた平たい桶のような物を渡していた。
代わりに違う桶を受け取って戻っていく。
「くん(水だね)」
俺が鼻をヒクヒクさせてつぶやくとミーヤも頷く。
熱が出たと言っていたから水で冷やしているんだろう。
「なう(行くわよ)」
ドアが閉まらないうちに部屋の中に滑り込む。
今度は一回でうまくいった!
ミーヤと二人で部屋の隅の観葉植物の植木鉢の上で固まっていると、状況が少しずつわかってきた。
ベッドの中で荒い息を繰り返しているのはオレンジ色に近い金色の巻き髪の女の子だった。
≪カミラ・行商人の娘≫
側で大きな女の人がおでことか撫でている。
「はあ~行商で売ってる薬が効果無いなんて……ぼったくられたのか?自信無くす……」
その隣の男の人は別の意味でうろたえていた……
「もし、ぼられた品だったら……今まで売ってきた町で悪評が広まって仕事に影響が~~!!」
「く~ん(苦しそうだね……)」
大きい人も別の意味で……
「なう(そうね。あの様子だと薬を作っていると思うわ。行こう)」
俺とミーヤは女の子の着替えを持ってきた人と入れ違いで家を出て行く。
ミーヤは迷いなく歩いて行く。どこに行くのだろう?
目的地はすぐ隣の教会だった。
「ななうん(ここでは牧師様が薬草で薬を作っているの。きっと今回も何かやっているはずよ)」
そうなのか!偉いな牧師さん!!
ミーヤ専用の入口から教会の中に入り、まず見えたのは長椅子が並んだホール。
上座には綺麗なステンドグラスが飾られ光が降り注いでいる。
そのステンドグラスの前にベールを被ったうつむき気味な女性の像が立っていた。
掌を上に向けて重ねた姿をしていて、掌の上には丸い球が乗っていた。
球の表面に彫られているのは三日月と星の模様。
……この人……知っている気がする……
「なうん(ルーペこっち!)」
呼ばれたので俺は慌ててミーヤの後を追う。
石像の左右にドアがあり、俺たちは左のドアの先に進む。
慣れた様子で進んでいくと話し声が聞こえる部屋があった。
確認はしたがミーヤは部屋の前を素通り……いいのか?
「なう(ついてきて)」
ミーヤは隣の部屋に入ると境に立っている戸棚を見上げた。
??
首をかしげる俺の前でミーヤは戸棚の横に置かれた荷物を足場にスルリと戸棚の上まで登った。
俺も行くんですかミーヤ先生!
見上げているとミーヤは顎で来いと促した。
不安だが行くしかない!俺は懸命によじ登った!!




