12……入った
忙しそうな人の家の入口が見える壁の陰から覗いていたが、良い方法は思いつかない。
「なあ(何をしているの?)」
「!!!」
後ろから声をかけられて、思いっきり毛を逆立ててビクついてしまったっっ。
ああ驚いた!
きっと飛び上がったと思う!
声が出なかったのが不幸中の幸いだ!!
振り向くとそこには濃紫色の毛並みの猫がいた。
「くん(誰?)」
見ればわかるけど取りあえず聞いてみる。
「なうん(私は教会で飼われているミーヤよ)」
≪ミーヤ・牧師の飼い猫≫
顔見てたら見えた。その通りのようだ。
「くおん(俺ルーペ。よろしく)」
「なうん?(よろしくね。それで何をしていたの?)」
なんと答えるべきだろう……覗き?
違うな。うん。
「くうん(人が何してるのか知りたくて見てた)」
「なあ(昨日遅くから忙しないのよ)」
「くん?(なんで?)」
馬さんに聞いたから知ってるけど確認のため聞いてみる。
答えは馬さんと同じだった。
何とか中の状況を知る方法がないかミーヤに聞いてみる。
「なー(中に入って見ればいいんじゃない?)」
そんなに簡単にいくだろうか?
「なうん(ルーペは私と同じくらいの大きさだし、ドアの隙間から壁沿いを歩けば踏まれないと思うわ)」
「なうん?(難なら一緒に行く?)」
その申し出に俺は勢いよく何回も頭を縦に振って見せる。
あ、少し目が回った……
「なあ……(何やってるのよ……)」
――――――――――---‐
とにかく……俺はミーヤと一緒に人の家に潜入することにした。
「ななん(人がドアに近づいてきたら、踏まれないように人の足の横に寄り添って)」
前や後ろは危ないそうだ。
ミーヤは俺より素早いので、後ろから行っても蹴られないように滑り込めるそうだ。
「おん!(わかった!)」
返事をしてすぐ人が来て……足が動かなかった……ミーヤからおでこに猫パンチをくらった!
地味に痛い……。
「なん(尻込みするならやめる?)」
「おん!(やる!)」
さっきは急だったからだ!今度こそ!
来た!
……今度は成功だ!!人は俺に気付かないまま家の中に入ってくれた!
「なうん(すぐ横の壁に張り付いて!)」
ミーヤの指示で足から離れ、壁に付く。
ミーヤは壁に沿って人が向かった方角に歩き始める。慌てて付いてく俺。
ドキドキするなぁ。




