4.続き
バスが止まらない。
ただ客がいるとゆっくり走るだけ。
飛び乗った。トランクは車掌さんが貨物室へ放り込んでくれる。
その後もバスは、止まる事無く、次々と客を拾っていく。
気がつくと8割の入り。これでこのバスは黒字ですね。
後はのんびりと終着まで過ごすのみ。さすがに車庫では止まるでしょう。
止まるでしょうね?
15分ほど進んで、高速道路入り口。
ゆっくりと車列が進んでいきます。
で、停車してから約15分。全く進まず。
なにこれ?
そうこうしている内に、対向車線をパトカーがサイレン鳴らして走っていきました。
今度は救急車が走ります。
やっちまったな!
慌てず騒がず、時が来るのを待ちます。
そして約一時間後。ようやく動き出しました。
パトカー数台と軍服によく似た制服の警官が幾人か立ってます。
交互通行らしく、こっち車線が先に動いている模様。
何があったのかなと、覗き込んだら――
え? あの赤黒いの何? 畳3畳くらいに広がってるの!
シート敷いて、仏壇みたいのあって、おばさんが手を合わせていたけど、なんなの?
こういう時は、取りあえず寝る!
そして、バスは終点へ。
何事も無く、終点へ到着しました。
……そう、何事も無く。
さすがに車庫ではサイドブレーキを引いてくれました。
外にはタクシーの客引きがわんさか。
外の大通りまでついてくる。結構しつこい。
某国でも大軍客引きを経験しましたけれど、あちらは表情に怒気が含まれてたり必至だったり演技っぽく、何とかして騙そうとしている気配が満々。
荷物を持って行かれそうになったりしました。
いわゆる陰の人たち。
こちらは、怒るでなく演技するでなく、ダメなものはダメだから断られても仕方ないよね系で、嫌な印象は感じません。荷物に手を掛けないし。
なんか一生懸命生きてる感じ。
いわゆる陽の人たち。
某国と同じく、ふっかけたりボッたくったりする人は多いけど、なんというか、根っこが違う。
そんな事を思いながら、わざわざ大通りまで出てタクシーを拾い、一路ホテルへ。




