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某国出張報告書  作者: モコ田モコ助
第1章 13年9月
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2.ナンジェン

 あまり言いたくないが、南の都の空港へ着いた。

 KIXより直行便が出ているので、大変便利なのである、とのこと。(by工場長)


 いろんな大人の都合があったのであろう。飛行機は直接ターミナルへ付かなかった。発着場のどこかに止められ、バスで空港施設に移動。ターミナルに付けると費用がかさばるらしい。


 現地の午前中は雨だった模様。今は晴れているが、滑走路とかは濡れている。


「アズマダ君。空が青いよ。こんなの珍しいよ。これがいつもだとは思わないで!」

 工場長が失礼な事を言ってます。

 つーか、PM2.5で曇った空を見せられないのが残念そうな口ぶり。

 落ち着いてください工場長。そろそろ年を考えようや。


 そんなこんなでバスが空港施設に到着~!


 デスクで使っているパソコン(重い)の入ったバッグを抱え、フウフウ言いながら階段を上がる。みんな階段を上がる。


 なんか周りの光景に違和感を覚える。

 なんだろうと注意深く周囲を観察しながら階段を上がっていくと……。


 理解したぜ!


 外へ出る全てのドアノブが、蹴り破られているな!

 で、新しくチェーン施錠されている。

 って、事は?

 ……。


 ここ、国際空港ですよね?

 見なかった事にします。

 そうしないと、不安で心が折れそうだぜ!



 さて、カーゴに詰め込まれていた荷物を受け取りに行こうか。

 荷物取り出し用ベルトコンベアーがぐるぐる回っている。

 えーと……。

 なかなか出てこねぇ。


 ……なんとなくだが……、日本で搭乗手続きをした順番で出てくるような気がしてならねぇぜ。


 飛行機のカーゴには、最初に手続きした荷物が奥へ、後から手続きした荷物が前へ積まれる。

 某国で、下ろされる際、後積みが先に下ろされ、コンテナの奥へ。先に積まれた荷物が、手前に積み込まれる。

 そして、手前の荷物から順にコンベアーに乗せられるって具合。


 おいおい! 最後の方でチェックインした我々は、いっちゃん最後じゃん!



 すげー時間かかりましたが、無事、荷物を受け取とった。

 手続きを済ませ、空港の外へ転がるようにして脱出。


 この頃の南京空港は、整備されていませんでした。鉄道の駅ってイメージです。


 さて、外にはお迎えの方が待っていてくれました。

 うちの会社が出資している工場の通訳兼、副総経理(副社長)ショーさん。

 この方、日本に留学していた経験もあり、微妙な点は理解している某国人である。一線さえ引いていれば何の問題もありえない。


 にこやかに握手の後、用意された車で工場へ向う。

 工場長が言うには、空港から1時間程だそうな。聞く前に答えてくれて、大変助かります。


「またマンションが建ってるね」

 スゲー数の高層マンションが、左右に林立している。


 でもね……、屋上階から一階まで垂れ幕が降りてたりして……人、住んでませんよね?


 ショーさんも、

「あそこは高すぎて住めない」

 とおっしゃっています。


 副社長の給料じゃ住めないんですね。

 建設が途中で鉄骨剥き出し状態も沢山林立している。


 工場長は「高速道路通じた?」とか「高速電車の路線が前来た時より延びてるね」とか、明らかに私に向けた地元情報でウキウキしていますが、落ち着きましょう。


 さて、その高速道路走ってるんだけど、日本と違って路肩が広い。これはなかなか!


「この道は4車線に拡張されたんだね。アズマダ君、某国は左側通行だから勘狂うよね。でもすぐ慣れるよ」

 工場長は、地元のように通ぶってるけど、ぶっちゃけ、私に対するはっちゃけである。


 そんな事より……。

 なんで、4車線の道路を5台並んで走ってるか、だ!


 あと、なんでラインの上走るの?

 追い越しブロックしてるの?


 あっ! ぶつかる! と思ったら単なる割り込み!

 追い越し競争が激しすぎるだろ! 


 てか、そのライン取りは、バイクのすり抜けライン!

 バイクのすり抜けラインだって!


 これ、私が運転してたら10秒で事故だ。ハンドル握って10秒で事故だ!

 宅配バイクでも、このラインはとれねぇぜ!




 やっと高速が終わった。

 市街地を走ります。


 スクタの量が半端ないです。

 自転車の代わりにスクタ天国となっている模様。


 あ、スクタこけてる。車の下で。


 いろいろとカルチャーショックである。


 交差点にて……、

 歩行者は、ちゃんと歩道を渡ってます。ただ、赤信号でも、躊躇なく歩きます。

 信号途中で変わっても、走ったりしません。


 車は車で、ウインカー出しません。いきなり車線変更です。

 ビタビタに後ろ付いてます。これ知ってます。スリップストリームでしょ?


 市街地レースを開催されたら、日本人ドライバーじゃ太刀打ちできねぇ! 日々これレースじゃね?


 私なら、すでに15回はぶつけられているであろう!


 そんな中、平然とアクセルを踏み続けているショーさん。てか、ブレーキ踏む回数が圧倒的に少ないけど、この車、ブレーキ付いてるんだろうな?

 この人、危機回避能力すげー。認識域が拡大して特殊な能力に目ざまている人類なのかもしれない……。

 宇宙戦争になったら、たぶん日本負けるわ。



 工場に着いたら時には、もうとっぷりと日が暮れていた。




 こうして、嵐のような1日目が終わりました。

 


次話「三日目ナンジェンからズーチーへ)

いよいよ某要塞へ向かいます。


5話目:「キューヨーにてゴゴゴゴ」

6話目:「青い星の記憶(嘘)」

にて、第一回出張分は終了です。


少し間を開けて、自分史上最悪・最マヌケと呼ばれた第2回出張報告書を掲載致します。



ご意見ご感想をお待ちしております。


ゴゴゴゴゴ…

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