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某国出張報告書  作者: モコ田モコ助
第4章 翌年の2015年編(めんどくさいので以後まとめて)
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15年1月さらば大要塞-落日編

 二日目の午後、大要塞にて。

 全員の予想通り、話は平行線。


 日本サイドは、数字を提出し、覚え書きもテーブルにのせた。


 キューヨーサイドは、……①一生懸命やった。 ②他社から不良は出ていない(立証方法無し)の二つだけを主張。


 もう一度言う。話は平行線であった。

(どなたか、何を言っても「実際不良は出たけど一生懸命やったのだから関係ない」を繰り返す論を論破できる方、おられませんか?)


 新幹線の予約時間いっぱいまで(ここから、早い時間で引き上げる理由付け)実の無い話をお互いに怒鳴りながら続ける。

 例の(雇われ)総経理も、真っ赤な顔で怒鳴り散らす。


「時間いっぱいです」

 T氏の仕切りが入った。

 話は終了。


 とたんに総経理の顔が柔和な物になった。 

 にこやかに握手して話は終了。

 駅までで送ってもらった。

 それでお終いである。


 そういうものである。思えば私も慣れてきた。

 この工場へ二度と足を運ぶ事は無いだろう。


 キューヨーからは、高級管理職の流出だけにとどまらず、部門管理職、ならびに現場管理職まで逃げ出していた。


 証拠はある。

 カムイで見慣れた顔を多数見受けられたからだ。


 あっちも私を覚えているようで、すれ違いざま、手を振って笑ってくれていた。


 そうそう、創始者にして、ここにはいない董事長のお母さんは、……。

 総経理の話だと、養子をもらったらしい。


 そういうものである。

 たった一人残った雇われ総経理が、その後どうしたかは知るよしもない。



 帰りの新幹線は速い。

 2時間以上かかかっていた距離を1時間半以下に縮めた。


 この差は大きい。

 上海から田舎町を日帰り可能とした。


 日本の新幹線が大阪-東京間の出張を日帰り可能とした結果は、日本の発展に寄与した。


 果たして、某国はいかがだろうか?


 田舎と上海の賃金格差が無くなりつつある。

 田舎故に安かった人件費が高くなる。


 上海で物をつくっても、田舎で物をつくっても同じ値段。しかも、上海の方が価格競争に切磋琢磨していたマージンを残している。


 田舎へ行く必要はなくなりつつある。

 カムイにも、いつかは訪問する事がなくなる時期が来るのかもしれない。


 某国某機関は、現在、公害並びに従業員保険に厳しくなっている。

 この国で厳しくなるとは、明日にでも操業停止命令を発するという意味でもある。

 規定値以上の害物を排出している工場は、短い期日までに改善しないと、即操業停止。

 従業員に保険かけてないと、事業停止命令。給料未払いで殺人事件まで起こっている始末。

 

 上海など大都市近辺で価格が高くなってる理由は、工員の給料アップと、こういった諸経費の高騰が占める割合が高い。

 田舎が安いのは、環境汚染並びに、人権無視の給与体系による要因が大きい。

 日本で、某国の賃上げや円安にも関わらず、販売価格を維持している大手小売店が多い。

 値下げせずとも外税を内税表記にして、実質値下げをしている。

 その値下げ分は、どこがかぶっているのか?


 主に某国である。


 某国の田舎である。


 人権を無視して作った製品は安い。

 環境を無視して作った製品は安い。

 安い商品を並べる店は良心的だと言われている。

 果たして良心的だと言えるのだろうか?

 安い商品の生産バックをどこまでご存じか?

 「安さ」=「店の良心」だと、なぜ信じられる?

 

 だとしたら、安い良心だな、としか言いようがない。


 さて皆さん。

 私達の国の小売店は、自分達の利益率を下げてまで「良心的」に、商品を「提供」していると、今でも思っておられますか?


 あなたが手にされた、安くて品質のよい商品は、犠牲無しで手に入れた物ですか?


 ちょっとでいいです。

 疑ってみてください。


こうやって書き連ねると、某国ネタというよりは、

工場長や、T氏、シェンさん、ワンさん、セイさん、総経理、董事長ら第三者が巻き起こすトラブルに、私が巻き込まれた冒険譚だったように思われます。


私が被害者だという事実は、皆さんの目から見ても間違いない物と確信致します。



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