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某国出張報告書  作者: モコ田モコ助
第3章 13年11月
13/43

2.ミニスカ・ポリス



 今日の予定は、桐郷の工場見学。その後、一人で高速鉄道に乗ってズーチーへ。今日はズーチー泊でお終い。


 朝から、桐郷の工場へ移動しました。

 ここは問題無いっす。


 お昼に上海蟹をご馳走になる(人生初)という役得。これぐらいなきゃね。

 なんかね。上海蟹ね……。ゆで卵の黄身。あれが程良く半熟になった味と食感。

 いや、美味しかった! ケチ付けてるわけじゃないんだ。美味しかったんだ!


 次行こう次!



 次の目的地へ列車移動。

 ジョさんとはここでお別れ。


 切符さえあれば、一人で列車に乗れるもん!

 2等席だけどラクショーっしょ!


 で、列車乗り込んだところにスタンバってる車掌さんに切符見せる。あっちと指さされる。

 笑顔は期待してないし。正確な情報だけくれればいいや。


 指定された席は……寝台?

 え?


 二段ベッド方式の寝台車両?

 え?


 ま、まあ、とにかく、座ろうぜ。

 いつも通り、私の席に座っている現地の人に、切符を見せる。

「いっつ、まい、しーと!」

 素直に空けてくれた、よかった。左手で構えていた骨法の握りを解除する。


 荷物は……、あ、上の寝台に乗せるのか。


 これはこれで便利だぞ!

 1等席や通常の2等席だと、荷物用の棚が小さくて、トランクなんか乗せられないもんね。こいつは便利!


 2等寝台の欠点は、アナウンスが聞こえない事だけだけど、到着予定時間を携帯のタイマーにセットしておけば何とかなる。

 乗り過ごしたら、戻る手段を持ち合わせていないので、ここはシビアにセットする。


 で、2時間後。

 一部読者の期待を大きく外し、時間通りタイマーが起動。

 乗り過ごすことなく、目的地へ到着。


 イーウー駅。

 キューヨーを内包する町よりも遠い地方都市。


  お迎えに来てくれたのはシェンさん。キューヨーで血みどろの通訳をしてくれた人。

 赤いランサーに乗り込んで、ホテルへ直行。なんか、マツダ車が人気あるみたいよ。

 羊料理をご馳走になって、今日はお終い。


 3日目は新しい工場を視察して上海へUターン。1日目と同じホテルで終了の予定。


 さて……。

 ホテルで朝飯バイキングを食べている時、隣の席に座っている人がイタリア人であることに気づいた。


 イタリアって顔してる。背が低い。

 ……女好きしそうな顔だ。


 ナイフとフォークを軽く扱っている。日本人や某国人が箸を使うかのように軽やかだ。

 ああ、彼にお迎えが来たようです。……某国美女。

 それも二人。


 イタリアンな彼は、彼女達の腰に手を回して、レストランを後にします。


 ああ、私にも迎えが来ました。

 ……アクマイザー3のガブラと、ミニラを足して人間で割ったようなキャラの立った男。

 この差は何?


 車の後部シートに座り、朝一番に紹介してもらう工場へ。

 内地(某国内)販売とヨーロッパ向けしか仕事してなくて、日本向けは穴場とのこと。期待半分、不安半分。でも気楽!

 途中、馬鹿話をしながら約1時間で到着。


 でかい工場だなー。

 ……ニワトリ放し飼いだしー。


 あ、出荷場にも何羽か……完成品の上に乗っかってるよ。


「あのうちの一羽が、今宵のアズマダさんの食卓に上る予定です」

 いいから、そういうギャグいいから!


「ちなみに、この工場、ボイラーの燃料はなんですか?」

 軽く質問。

「近所に発電所があって、そこから蒸気を分けてもらっています。エコです」

「ふーん」  

 石炭(泥炭)が、山のように積まれている倉庫を左に見ながら、工場の中へ。


 工場査察の結果は……OUT!

 アウトだけど、商売のネタを拾ったので、全く無駄じゃなかった。


 そのネタがどこにあったか。

 応接室のソファーの隙間に挟まってたよ!

 今回一番の目玉になるとは、思ってみなかった。


 で、昼飯食って、チャッチャと高速鉄道に乗り込む。

 シェンさんとは駅でお別れ。


 ここから、日本まで一人で行動することになる。

 とは言っても、目的の駅は終着駅だし、ホテルも初日で泊まっのと同じホテルだし、空港へは高速バスで一直線だしで、超ラクショーパターン!


 現在16時半。これから明日15時のフライトまで23時間の自由時間!

 役得! 有給休暇! 出張手当付き!

 中途半端なボーナスもらうより、時間をもらう方がナンボかありがたい!

 俺は自由だ! フリーダム!

 はやる心を抑え、ホームに降り立つ。 

 

 切符を車掌に見せて、予約席にたどり着いて、そこに座ってる人にどいてもらう。そんなルーチンワークを済ませて、通路側に腰を落ち着けました。

 隣の席の人は……未成年の女の子?


 スゲー、ミニ。

 スマホで音楽聞きながら寝てるYO!


 目のやりどころに困りながら、なんとか居眠りしようとしてたら、彼女が起きた。

 キョロキョロとあたりを見渡しながら、

「○×▽ハンジョウ?」

 何言ってるのか……あ、だいたい解った!

 

 「ここは杭州(ハンジョウ)ですか?」 だ!


 で、超親切なアズマダさんは、切符を見せて「でぃす、すてーしょん!」

 女の子は半眼で、イーウーと印刷された切符をじっと見つめ、何も言わず黒甜郷裡へ旅立ちました。


 杭州っつたら、3駅ほど上海寄り。

 そこで下りる予定らしい。

 1時間以上後だし、当面は関係ないか?


 てなことで、居眠りしようかと思ってたんだけど、気になって眠れない。

 私まで寝てしまったら、誰が杭州到着に気がつくんだ? この子、下り損ねたたら困るだろう?


 てなかんじで、地図を取り出して確認したり、通過中の駅名を読み取ったりと、寝ている暇もない!

 そうこうしている間に、次の駅に到着。


 女の子はムクリと起き「ハンジョウ?」

 相変わらず寝ぼけた目。

「ノー! ズーチー!」

 車両に添え付けられたメッセージボードを指します。


 次の駅が杭州だから、もう起きている事でしょう!

 ところが、女の子はパタン、と音を立て、再び目を閉じます。


 おいおいおいおいおい! 


 そこから約30分。気が気でなりません。

 そろそろ下車準備しなくちゃならない時間。どうしようかと思ってたら、スパッと起き上がって、ヒョイと荷物をまとめ、サッサと出口へ歩いて行った。


 ……寝るか。

 寝れない。


 上海虹橋駅に近づいてきたのか、線路沿いに、見慣れた巨大看板が現れ始めました。

「○○自動車」

「△△電話」


「山口百恵」 

 は?


 寝る事なく上海虹橋駅に着いてしまった。




 で、改札を抜けると駅の地下一階。


 駅地下なのでいろんな店が並んでいます。

 さた、地上に出なければ……。えーと、階段どこ? エスカレーターとかエレベーターでもOKだけど?


 構内地図ってどこかに無い? 無いね! 何でか知らないけど無いね! どこから上へ上がるのかを指し示す案内板が一切無い!

 不親切なんてもんじゃなかろう?


 うろうろしたら、公安の一団が隊列組んで歩いてる。

 うち2名が、例の口径がでかいエアガン下げて……明るいところで見ると、あれ、エアガン……ではない何か? 火薬式の何か?

 何の警備? 全国大会は終わったハズだよね?


 焦る。


 とりあえず、端っこまで行ってみましょう。

 この駅の構内って広い。つーか長い!

(某所にて、あそこの構造はわかりづらいと書き込む人多数)


 何とか端っこの方で、上に上がる階段発見。

 でも、ほとんど人の姿を見ない。

 首を捻りながら、おっかなびっくり上がってみる。

 出た場所は、虹橋駅の待合ホール及び改札口。――への入り口。


 ここは前回、トラブルメーカーこと、ワンさんと必死で目指した場所にして、旅立ちと別れの巨大空間。の手前。


 入り口ゲートでは、公安の方々が荷物チェックしてます。婦人公安員が凛々しい!

 入る人はいても、こっちへ出てくる人はいない。つーかゲートは一方通行。

 いやいやいや、ここに入ったら、列車に乗らなくちゃいけないし!


 ここじゃないやと、もう一度階下へ。

 延々と歩き回って、やっぱ出口が無い!


 列車下りてから、約1時間経過。


 体は嫌な方の汗でだくだく状態。11月なのに熱くて熱くて仕方ない。

 息も乱れてきたし、もうここから一生出られないのかと泣きそうになった。


 落ち着け、落ち着け、素数でも数えて落ち付け。こういう時に限って素数なんか1つも出てこない。

 小さい頃の思い出が、走馬燈のように頭の中を駆け巡る。

 もう何もかも捨てて眠ろうかな?

 と思った時、

「困った時は勘が頼りだよ」

 工場長の言葉が頭に浮かぶ。


 よ、よし、落ち着いて考えよう。一番怪しいと思うのはどこだ?

 五感を極限まで研ぎ澄ませろ! 五感の先、第六感を超えた感覚、セブンセンシズ起動!

 Ω!


 ……さっきの階段だな。


 アレが一番怪しい。


 もう一度階段にトライ。

 上がりきって注意深く観察。

 睨み付けるようにして観察。


 外へ出て行く人を発見! ルート確認!

 ……うん、待合ホール及び改札口ってことは、出入り自由なんだよな。切符を持ってなくても入れる空間だよな?


 ……なんか、こう、勘違い?

 一人相撲?



 厳しいチェックの後、駅の待合ホールへ。

 そのまま、出口に。

 真っ赤な夕日が眩しいぜ!


 あれだな、落ち着いて行動しようってか?


 11月なのに、ずげー熱い。上着を一枚脱いでから、額の汗をタオルで拭きました。

 今夜の宿は目の前です。


 晩ご飯のケンタッキーが、この上も無く美味しかったです。


 冷えたペプシを飲むと生きてる実感が湧きました。

 ケンタッキーさえあれば、この国で生きていけそうです。




 次の日。

 帰国日。

 15時25分発の飛行機に乗るため、10時30分に空港へ入りました。

 5時間も空港でのんびりしました。

 ビビるのも大概だな……。


 飛行機は、たった2時間遅れで出発しました。



 そして下痢が3日続く……。


 今回、得た実益は……虹橋駅において、武装した婦人警官に見下されながらボディチェックをしてもらった事くらいだなッ!



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