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心の預かり人  作者: 鬼秋
2/2

神の力

目を開くと、目の前が真っ白だった。

とっさにここは死後の世界ななのではないかと真面目に思った。すると、後ろで物音がする。ずっと逃げている間警戒を解いていなかった俺は反射的に

身をひそめる。

「あら、ごめんなさいね。驚かすつもりはなかったの、よかったら出てきてくれないかしら?」

その声は優しく、こちらが自然に警戒を解くような声だった。

「ここまで来れるなんてすごいわね。もしかして、適応者なのかしら?」

その姿を一言で表すと”白”。髪はきれいな白色で白色のワンピースを身にまとっている。

「ここは?あなたは?」

「ここは私の部屋なの。名前は藍佳よ。うーん…私のことはなんて紹介したらいいのかしらね?一応今日は神様とでも言っておこうかしらね」

神様はそう言い、ふふふと笑う。

「神様?」

「そう神様。でもなんでも知ってるわけではないし、なんでもできるわけでもないの。存在が神様みたいなものなのよ。それよりあなたの名前は?」

「…神薙英彰です。俺は死んだんですか?」

そう尋ねると藍佳は笑った。

「ふふふ。ちがうわ。ちゃんと戻ったら生きてるわよ。ほらここに座って?」

白い椅子に座りながら、

「ここは神様の部屋だって言ってましたが…」

「そうよ。あ、あと神様じゃなくて藍佳でいいわよ。ここはあなたたちが住んでいる空間とは別のところにあるの。詳しいことはわからないけどね」

話している藍佳は楽しそうだ。俺は落ち着いて周りを見渡す。本当に真っ白な空間だ。真ん中に白い机、机を挟んで椅子が2つ。今藍佳と自分が座っている椅子だ。

「あ、そうそう。そこにある大きい剣。あなたにあげるわ。」

指さされたほうに目を向けると壁に大剣が立てかけてあった。

「え?剣?」

唐突な話でついていけない。

「ごめんね。時間がそろそろきそうだからいきなり話しちゃったけど、あの剣はせっかく来てくれた手土産みたいなものだよ。好きに使っていいからね。」

「あ、ありがとうございます…」

お礼を言うことしか出来ず、だじろいでいると、

「あっ、そろそろ時間だね。もっと話したかったけど、お別れだね」

「えっ!?いやまだ聞きたいことが……!」

「また会えるよ。今向こうは修羅場なんでしょ?頑張ってね♪」

机の真ん中からまばゆい光が現れ、目を瞑る……



「起きるんだ」

そう言われた気がして、今度は目を開けるとさっきの撃たれた時の状況になっていた。

しかし違うのは周りの隊員の表情がひどくこわばっていることだ。

「な、何故ここにお前がいる!」

振り返ると、黒いローブのようなものを羽織った男がいた。

「新しい神の力の使い手が現れたんだ。私が挨拶にくるのに理由がいるかい?」

そう言い、俺に手を伸ばす。

「立てるか?」

その手を見ながら、

「あなたは味方ですか?」

と尋ねる。

「私かい?少なくともあの人たちの味方ではないね」

と答え。その手をつかみ立ち上がる。そして

「おめでとう。君は晴れて神の力の使い手になったんだ」

と言う。

「はい?」

「その力の使い方を私が教えてあげよう。」

そんな会話を黙ってみているわけもなく、

「撃て!!」

周りを囲む隊員が一斉に発砲する。俺は身をかがめて、こわばるが、男は全くたじろぐ様子もなく、その場に平然と立っていた。不思議なことに、自分たちのところには一切銃弾は飛んでこず、銃の轟音だけがそこには響いていた。

「君が持っていたの黒い水晶には神の力というものか封じてあったのだ。それが君が手を前に出したことによって、たまたま銃弾が当たり、砕け、君の神の力が宿った。ここまではいいかい?」

これは夢かと思った、藍佳にせよ、この男にせよ、こんな大の大人が神の力だのを大真面目に話しているのだから。

「え……」

返事に困っていると、

「ふむ……まだ信じられないか。よしでは能力というものが存在することをここで証明して見せよう」

そう言って、男は前の隊員に手を向ける。すると、周りにいた隊員が持っていた銃が全部砂のように消えていき風に乗って消えていった。

「これで信じられるかい?まぁ君の能力は私のとは大きく違うのだがね」

「俺も使えるんですか!?」

「言ったように君にはすでに神の力が宿っている。私にもね。君の能力は”創造”、私の能力は”破壊”だ。君はものをイメージするだけでこの世に物体を顕現させることができる」

周りの隊員はすぐさま次の銃を構えて、こちらに銃口をむけている。

「さあ、次は君が銃弾を止めてみてくれ」

「え!?どうやって!?」

「さっきも言ったように君は作る”物”と”場所”をイメージするだけでいい」

考える暇などなく、

「発砲準備!」

考える時間がないのであればもう言われた通りにするしかない。俺は自分と男が分厚い鉄のコンテナのようなものに入る情景を目を瞑ってイメージした。さっきのトラックのおかげでコンテナのイメージはそんなに難しいことではなかった。

目を開けると、あたりは真っ暗で、銃弾が鉄に跳ね返る音だけが響いていた。

「素晴らしい!まさか一撃でできるようになるとは」

するとまた砂のように鉄のコンテナは風に消えていった。

「できることは大体そんな感じだ。あとは自分でこの状況を打破してみるのだな」

「えっ!ちょっと!!」

そう言って男は後ろを向くとまた砂のように消えていった。

囲まれている状況に変化などなく、思考より先に行動していた。

「撃て!」

さっきと同じようにとっさに今度は上の空いているコンテナを作って、隊員がいる位置を思い出す。

「囲んでいるのは全部で11人」

自分に言い聞かせ、イメージする。人一人ほどしか入らない鉄の箱を。

「なんだこれは!」

いきなり現れた箱に隊員は身動きを失う。すると、今度はヘリが自分にコンテナの上に回ってきて、ドアからほかの隊員がこちらに銃口をむける。

「まずい!」

とっさに自分とヘリの間に巨大な鉄の板をイメージして、顕現させる。

「やった!うまくいった!」

喜んでいる暇などなく、次は腰ぐらいの高さの鉄の箱をつくる。それを使ってコンテナから出て、ヘリを見上げる。

「プロペラに何か挟めば……」

目をつむり、イメージする。するといきなりヘリのプロペラが折れ、ヘリが墜落する。上空からは頭ほどの鉄の球が落ちてきた。

目の前の敵を倒した安堵からか、だんだん力が抜けてきて、神薙はその場に倒れ気を失った。



目を覚ますとどうやら病室にようなところだった。

「ん……ここは?」

近くのカーテンを開けると白衣を着た女の人が机に向かっていた。神薙に気づくと、

「おお、ちょうどいい時間に起きたね。どうだい?体の調子は?」

寝起きのような状態ではっきりとした返事ではなく、

「はい……特に問題はないですね……」

と答える、すると、

「よし!なら予定を変更して今から入学式に出よう!」

とわけのわからないことを言ってきた。

「は、はい!?入学式?」

さすがにこの発言で完全に目が覚める。

「そうそう、よし、もう始まるから急いでいこうか」

白衣の女は神薙の手を引き病室を後にする。

「あのー、入学式ってどういうことですか?」

白衣の女についていきながら、質問をする。

「まぁ行けばわかると思うから」

何を聞いてもそう言うだけなので、黙ってついていくことにした。廊下を歩きながらさっきまで自分がやっていたことを思い出す。あれは夢だったのだろうか?試しに手のひらに小さな鉄球をイメージすると。ちゃんと手のひらに鉄球が現れた。そんなことをしているうちに、

「さぁ。ここが会場だよ。君はいちばん後ろの席に座るといい」

会場はそんなに広いわけではなく、無機質な床の上にパイプ椅子がならべられていた。人数は100人もいないであろうか?そう思いながらいちばん後ろの席に行くと、何んとそこには火野がいた。

「火野!お前なんでここにいる!?」

その声に気付くと、

「神薙?お前こそ!」

とすこし嬉しそうな顔をする。

「もう俺はあの後散々な目にあったよ……」

「同じく。んでいきなり黒服の連中に連れてこられた」

「これなんなんだろうな?」

「知らんがな。お、なんか始まるみたいだぞ」

前に目を向けると、白髪の老人がマイクでしゃべり始めた。

「ようこそみなさん。先ほどは手荒な事をして申し訳ない。だが、君たちはあのテストをくぐり抜けてきた。歓迎しよう諸君。能力者育成施設へ」

すると自然に拍手が起こり、火野と目を合わせて仕方なく便乗する。

「諸君は突然現れた者たちを冷静に捉え、そのうえで対処することができた優秀な者たちだ。もう何人かは自分の能力を発揮したものもいるだろうが、ほとんどはそうでないだろう。だが安心するといい。君たちは一人の例外もなくこれから能力を使えるようになるだろう。さて、今日はこの場で試験において優秀な成績を残したものたちを紹介しよう。まず、神木浩平、神林茜」

はい、という返事とともに最前列の男女二人が起立をする。

「両名は優れた判断力をもって、我々の刺客を全員戦闘不能状態にした。能力が使えたとはいえ、同じ能力者相手にここまでできたのは非常に優秀な結果である」

拍手が起こり、二人は一礼をし、椅子に再び座る。

「続いて、甲斐谷爽」

離れたところで一人の男が返事とともに起立をする。

「彼は、能力者相手に能力を全く使わずその全員を戦闘不能状態にした。その身体能力の高さ、判断力は目を見張るものがある」

再び拍手が起こり、一礼してから着席する。火野がこちらに目を向け、

「全員戦闘不能にするくらいで表彰されんの?じゃあ俺も呼ばれるんじゃね?」

火野は笑いながらそんな冗談を言った。そんな矢先、

「次に火野祐輔」

そう呼ばれて、火野は驚いた顔をして返事とともに立ち上がる。

「は、はい!」

その声は若干うらがえっていたようにも思う。

「彼はこちらの襲撃に対し冷静に対応しただけでなく、近くにいた他の試験者の刺客の戦闘不能にした。極限の状況下でそのような判断ができたのは素晴らしいことである」

俺はそうだったのかと火野に目を向けると、

「いや、その試験者女の子だったし……」

と決まりが悪そうに一礼しながら苦笑した。

「最後に」

白髪の男が言う。

「神薙英彰」

俺は全く予想もしていなかった自分の名前に驚く。

「え……は、はい!」

返事をするのに少し時間がかかり、起立する。横に目をやると、火野がニヤニヤしながらこっちを見ていた。

「彼は試験と本当のトラブルが重なり、その最中神の力の定着に成功した」

そう言うと、会場からはどよめきが起こった。

「その能力を早くも使用し、前述の試験を突破した。彼には適応者としてこれから数々の試練が訪れると思うが、変わらぬ心で適宜対応していってほしい」

言い終わるとまた拍手が起こり、俺は慌てて一礼する。

「お前噂の能力ってやつもう使えんのかよ!」

会場から移動する最中火野が興味深々に聞いてくる。

「いや、だから巻き込まれただけなんだって!」

そんな風に言い合いながら、紙に書かれた教室のような場所につく。

「それにしてもこの一人一人に配られた紙なんだろうな?」

そんな風に火野が聞いてくる。会場を出る際に名前をいい、個人個人宛の紙をもらっていたのだ。しかしそこには”クラスR”とだけ書かれていて、簡単な会場までの道筋がかいてあるだけであった。

「そんなことより、なんでこんなところに連れてかれたんだよ」

俺はため息をつきながらひとまず教室に入る。そこには自分たちと同じように連れてこられたであろう人たちがすわって待っていた。中にはまた中学生になりたてであろう子も交じっていた。

自分たちで最後であったのだろうか。高校と同じようにならべられた椅子に座ると、教壇に立った一人の若い男が口を開いた。

「よし。これで全員だな。まずはいきなりこんなところに連れてきてしまって申し訳ない。ここは国が管理している能力者育成施設となっている。先ほど元老院から説明があった通り君たちにはこちらから勝手に試験をさせてもらった。その中でもこの教室にいる30人は”クラスR”として全員優秀な結果を残した者たちだ。君たちは将来国を守る者として多いに活躍してもらうことになるだろう」

若い男が前の黒板に何かを書き始めた。

「紹介が遅れてすまない。私は、土宮誠二という。こもクラスRの一応担任という形になっている。これからとりあえず半年の間よろしく頼む」

半年!?と反射的に思ったが驚くほどほかのクラスのメンバーは冷静で、自分がおかしいのかと思わせるような雰囲気だった。

「ひとまず君たちには身体検査を受けてもらう。各自今から個人に配る紙を参考に各検査を受けてきてくれ」

そう言って各自に紙が配られ、土宮は教室を出て行った。案の定火野が興奮して突っかかって来る

「おい!半年ってどういうことだよ!」

「ほんとだよ……色々どうすんだ…」

「一応俺たち今年受験だし、お前彼女はどうすんだよ?」

「それなんだよな…受験はいいとして、あいつになんて言うかなんだよなぁ」

俺には中学の時から付き合っている彼女がいるのだ。そんな会話をしている時、同じクラスの奴に話しかけられた。

「君たちも何にも言われずにここに連れてこられたの?」

年は自分たちと同じくらいであろうか。少し短髪の男が話しかけてきた。

「ああそうだよ。俺もここにいる火野もいきなり襲撃されて、いきなり連れてこられた」

「やっぱりそうなのか。あ、俺は甲斐谷爽。二人とも成績優秀で呼ばれてたよね」

俺はあの発表された時のことを思い出す。

「ああ……あれ?待って、君も呼ばれてたよね?」

「うん一応ね……わけがわからないけどね。あ、あと爽でいいよ」

そういうと爽はにこと笑った。

「よろしくな爽。俺は神薙英彰。こいつは火野祐輔」

「ヒデに祐輔ね。これからよろしくな」

「ああこちらこそよろしくな爽。まぁ取り合えず身体検査を受けに行くか」

火野がそういうと3人は教室を出て廊下に向かった。教室にはもう誰もいなく、残りは自分たちだけであった。検査場所に向かう途中、お互いの紙を比べると、火野と爽は全く同じルートだったが、自分だけ全然違うルートになっていたので、火野と爽とはすぐに別れた。

それからいろいろ検査を受けた。単純に身長体重。動体視力、身体能力等の検査を受けた。途中”創造”の力で指定されたものを出すというものがあったが、単純な形のものは作ることが出来たのに対し、「剣」や「銃」といった少しでも形が複雑なものや、構造上知らない物は作ることが出来なかった。

最後の検査を受けた後、また紙を渡され今日からそこで寝泊りはしてもらうと言われ、自分の部屋に向かうとそこには火野と爽ともう一人女が座って話していた。

「おう、やっと検査終わったのか。ずいぶん長かったな」

「みんなはどれぐらい前に終わったんだ?」

すると爽が答えた。

「1時間くらいだよ。この部屋に来るまで時間わからなかったけど、俺らで大体2時間くらいかかったんじゃないかな?」

へー、と同じ机に並んで座り、

「ところでこの方はどなた?」

「あーごめんごめん」

笑いながら爽が言う。

「結城凪さん。これからのルームメイトだよ」

すると紹介された結城が、

「結城凪です。よろしくね」

長髪ですごくかわいい人なのだが、

「待って、これからここで生活するんでしょ?女子がいるってどうよ」

結城は笑いながら、

「いやー私そういうこと全く気にしないから全然気にしなくていいよ!」

とか言ってきた。まぁいきなりここに連れてこられて、もうこの場所に順応しつつある自分たちが言うのもおかしい気がしてあえて何も言わなかった。

その部屋は2段ベッドが2つある部屋で、真ん中に机がありそこには椅子はなく、床に直接座って話をしていた。

「そういえば神薙は能力もう使えるんだっけ?」

火野が突然そう尋ねてきた。

「うん。でもいまいちよくわからないんだよね。今日検査してくれた先生によるとどうも能力ってのは先天的に備わっているものらしいんだけど、俺のはつい昨日身に着けた後天的なものだからなぁ」

俺はみんなに例の力を手に入れた時のことを話した。

「ふむ……なんかにわかには信じられない感じだな」

爽が不思議そうに言った。

「3人は表彰されてていいよ……私なんて逃げてただけだよ……」

「つか爽はもう能力者と戦ったんだっけ?」

「ああ。すごいジャンプしたり、とんでもなく大きい大剣をまるでナイフみたいに振り回してる人がいたよ」

各自の体験談を聞いてみると、全員が全員もうこの状況を受け入れていることに気が付いた。もしかするとこのクラス分けはそういう適応能力も判定基準に入っているのではないだろうか。

そんな風に語らっているともう時刻はもう1時を回っていた。

「んじゃま今日はもう遅いし明日から始まるっていう授業でいろいろ確認していきますか」

そういって各自その日は寝床についた。


初めての小説です。楽しんでもらえたら幸いです。

ここがよかった、逆にここはダメだった。等々読んでくださった方は是非感想をくださいませ。今後の参考、またモチベーションとさせていただきますのでどうかお願いいたします!

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