〜プロローグ〜【1月】勇気視点
今更ですが、このお話は、フィクションですので現実とは一切関係ない事を伝えておきます。
〜同じ頃、勇気宅自室にて〜
彼もまたパソコンの前にいた。
彼の名前は、町田勇気。歳は砂里奈と同じく16で、4月から高2の高校1年生だ。
勇気もまた砂里奈と同じく高校生活を全く楽しめていない。
ここで勇気の過去を振り返ってみよう。
勇気は、中学時代に野球部のひとつ上の先輩達から酷いイジメを受けていた。
勇気は運動音痴だが、野球は大好きなため、
1年間は耐えられたものの、
同級生からもストレスの捌け口にされたり、
しまいには、生意気な後輩たちからもナメられる始末。
そんな野球部についに耐えきれず、退部したものの、
イジメは収まるどころかさらにエスカレートしたため、
中学2年生の秋ごろから、投稿拒否の状態になってしまったのである。
そのまま勇気は中学を卒業したものの、
出席日数が足りないため、
普通の高校に進学できない上、
小さい町なため外に出れば、
誰かしら知り合いに会うため、
外に出れないという状況、
それに加え現在の家が借家なのもあり、
隣の県に引っ越し、通信制高校に通うことに決めた。
ただ、そのせいで中学時代にいた数少ない知り合いからも離れ、
さらに孤独な生活を送ることになるのであった。
また、彼の通う通信制高校は、
通学スタイルなため毎日通う事ができる高校だった。
ここなら、普通の学校みたいだし、
友達を作る事ができる。勇気は最初はそう思っていた。
しかし、現実はそう甘くはなかった…
やはり、通信制高校とあって、
普通の高校に入れないような人間がほとんどのため、
不良やギャルがとても多かった。
真面目そうな人も少しはいたが、
その中の半分ぐらいは、バイトや趣味を優先していて、
あまり学校に来ることは無かった。
そして、学校に毎日通う、
真面目そうな人ともなると、
本当に一部の数人だけだった。
その数人と接触を試みた勇気だったが、
極度のアニメオタク、
バンドに命を掛けている人、
人生に絶望しているひねくれもの、無口でずっとゲームをしているもの等、
変わり者ばかりで、
割と無趣味に近い(しいていうなら野球と軽くゲームやアニメ)
勇気と話が合うものは一人も居なかった。
生徒も生徒なら先生も先生だ。
常に酔っぱらっているじいさん先生や、
極度のアイドルオタクで、
人気アイドルユニットのコンサートがあれば、
仕事を休んで見に行くような先生等、
本当に先生なのか疑うような人間ばかりだった。
また、授業も真面目に聞いているのは勇気ぐらいのもので、
みんなは絵を描いたり、携帯電話を弄ったり、
ゲームをやっていたり、ずっとおしゃべりをしたりする等、
好き勝手に過ごし、授業は、
あってないようなものだった。
また前述した通り、先生も先生なので、
そんな生徒達を咎めたりはしない。
また、その授業内容もほとんど自習だったり、
レポートの答えを教えるだけのものだったりと、とても学校の授業と呼べるものではなかった。
真面目で気弱な勇気が、こんな学校に耐えられるはずがなく、
一年分の出席日数稼いでからは、
テストの日とレポート提出日以外登校しなかった。
この学校で進級したり、卒業するのに必要なものは、
一定日数以上の出席、
一月毎のワーク(レポート)の提出、
前後期一度ずつのテストに合格することの三つだ。
ただ、実は中学時代成績がよかった勇気にとって、この学校のレポートやテストは簡単で、
まったく苦戦しなかった。
だから勇気は容易に来年の進級を決めることはできたのである。
〜ここで現在に戻る〜
僕は、やっぱり駄目人間だ。
今日も相変わらず一日ゲームやパソコンをしてしまっている。
そしてこんな深夜に普通にネットやってるなんて、
ニート以外の何者でもないと僕は思う。
でもネットは止められない。
なぜならネットにはリアルには無い僕の居場所が、ちゃんとあるからだ。
ネットにはリアルにはいない友達もいるし、心の拠り所になってくれる特別な存在(彼女)もいる。
だからついネットに依存して現実逃避してしまう。
でもそれも仕方無いんじゃないかと思う。
彼女どころか、友達や話せる人すらいなく常に孤独なリアル。
そんなリアルを生きてるからか、
僕は、現実を見るとすぐ発狂してしまう体質になってしまって、
常に現実逃避していないと心が持たないのだ。
だから僕は、ネットに逃げてしまう。
それじゃいけないのは、僕も充分分かってるのだが…
現実を見る勇気が無いのだ。
本名は勇気なのに…
ちなみにハンドルネームの優は、昔友達からユウと呼ばれてた事からとった。
なぜこの漢字かというと、優しさを忘れたくないからという理由からだ。
それはさておき、
僕は最近、一番楽しい時間がある。
それは、さっき述べた心の拠り所となってくれる特別な存在(彼女)と会話している時だ。
彼女は、
僕と同じような生活を送り、
同じような悩みを持っているからとても話しやすい。またとても真面目で好感が持てる。
僕が彼女と、
最初にネットで会ったのは彼女が、
僕も参加してるコミュニティーサイトに載せた、悩み相談に僕が回答した時だ。
普段僕はあまり初対面の相手に話しかけたりしないのだが、
彼女は必死に赤裸々と悩みを打ち明けてるのに、みんなは返信しようともしない。
こんな状況に腹が立ち、彼女がかわいそうになったのと、
僕と似たような悩みを持っていることに、
親近感がわいたのが重なり、
珍しく返信することにした。
それから会話してるうちに、
僕の悩みも聞いてもらうくらいに、
彼女に依存していた。
そんな頃僕は、彼女から告白を受けた。
最初はとても驚いた。
僕は、女性が本当に苦手だし、信用できないから嫌いだ。
だから、彼女は欲しいが作る気は全く無かった。
ただ僕は、ここで断ったら、
彼女を手放すことになるのではないかと思い、
この申し出(告白)を受けることにした。
彼女は、出会い厨で無いのは明らかだし、
真面目だし信用できるから、
まぁいいか、と思った。
それに所詮ネットだけの付き合いだし。
ネットぐらい彼女いてもいいよね…
リアルだと彼女なんてできるわけないんだし、
ネットで好意もたれてても、
リアルで会えば絶対嫌われるだろうから…
〜彼もまたこの時、そのネットの彼女とリアルで会おうとは思ってもいなかった〜
次は4月まで飛んで物語が始まる予定です