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蓮/虚像-3

物語が進まない。





こんにちは。前世は24歳という若さで死んだ、現世は17歳の花屋の娘、エレンです。



昨日、孤児院へ行けなかったので、今日は花売りのついでに向かいます。

お詫びにもならないと思いますが、持て来てる花は全て差し上げようかと。売り上げは、私のへそくりから出しましょう。私が陰ながらこつこつと貯めてきたお金です。それなら、母も文句ないでしょう。



「よっと」



それにしても、ロイザさんから戴いたぬいぐるみ、要求した私が言うのはなんですが、凄くかさばります。


でかい。一個一個が、私の上半身くらい有るとはどういうことでしょうか。持ち上げるのも至難の技です。端から見たら、私はとても愉快な状態だと思います。


腕に、花が入った篭を掛け、両手にぬいぐるみを持って、その間にぬいぐるみを挟んでいます。さらに、その上には三角形を描くように、2個1個と重なっていて、目の前なんて見えません。本当に愉快な格好ですよ、えぇ。

くまのぬいぐるみが全部でかいので更に酷くなっているでしょう。


………ロイザさん、これは嫌がらせですか。もしかして、私のこと嫌いだったりします?



あぁ、横目で周りを見れば、そこらじゅうにカップルが。いま春でしたっけ?


……今日売れば一儲けできたのに。







************






えっちらおっちらと、ぬいぐるみが崩れないように歩きます。

あと少しで孤児院に着きますかね? 前が見えないので、よく分かりません。なぜ道程が分かるかは、身体が覚えているので余裕ですよ。………すみません、ぶっちゃけ勘です。



「エレンねーちゃーん!」


「ぅぐっ」



腹に衝撃が……、こいつっ。

手に持っている、ぬいぐるみが、目に入らない、のですかっ。落としたらどうするんだ、このぬいぐるみはパッと見ただけで高いと解ると思うのですが。



「エレンねーちゃん。なんで、きのうこなかったのぉ?」


「そーだよ! 院長先生が心配してた!」


「ぬいぐるみおばけー」


「エレンに、ぬいぐるみとか似っ合わねー。ぷっ」


「………よく私だと気付きましたね」



とりあえず、笑った奴にはデコピンをプレゼントしましょう。あら、悶絶して涙目になるくらい嬉しいですか? そんなに悦んでくれるなんて、プレゼントして良かったです。



「それで、院長先生は何処ですか?」



私を迎えに来てくれた子達に、ぬいぐるみを押し付けて、周りを見渡します。あの心配性の院長先生がいないなんて珍しい。



「院長先生はお留守番。それよりエレン姉さん、この巨大なぬいぐるみの大群はなに」


「前にあげると約束した、クマのぬいぐるみです。ロイザさんから戴いたものですけど」


「………その人、貴族でしょ」


「……よく分かりましたね」



アガーサ、流石です。相変わらず賢い。孤児の中で最年長な貴女がいれば、院長先生がいなくても大丈夫ですね。院長先生が留守番している意味を理解しました。



「あ、そうだ」


「え?」



はい、篭の中の花を一輪、彼女の耳の上に挿してあげましょう。うん、綺麗。やっばり、アガーサの黒髪には白い花が一番映えます。



「いいなー、アガーサ姉さんだけずるいー!」


「ずるいぞー!」



お前ら……元気が良いですね。……なんだろ、この純粋な笑顔を見ていると、自分がとても穢れた存在に思えてならないのですが。まぁ、私は綺麗ではないですけれど。再確認、してしまいますね、はい。



「え、エレン姉さん! この花は……!」


「綺麗でしょう?」


「綺麗だけど……っ」


「きれーい!」


「お花!」



可愛らしいバックコーラスをありがとうございます、おちびさん達。


アガーサ、言いたいことは分かりますが、空気を読みなさい、空気を。そして、そのまま流してください。



「ほら、早くいきましょう?」



院長先生が、首を長くして待っている筈ですし。あの人、変なところで寂しがりやですからね。


この後は、先生に挨拶して、子供達と遊んでさよならですね。




明日、筋肉痛になりますね、絶対。








エレンの回りが平和すぎて、話が進まない罠。

次こそ本気出す(ぇ

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