[閑話]金鳳花/栄誉
あるところに、魔王と呼ばれる者がいました。
魔王は、魔物と魔族を造り出しました。
魔物と魔族は、人々を襲い、喰らい、侵しました。
人々はただ、その巨大な力に、なすすべなく怯えることしか出来ません。
何故なら、人々は魔王の目的を、何も知らないのです。
何故なら、人々は魔物や魔族について、何も知らないのです。
知らなければ、対処のしたかも限られました。
人々はいつも後手に回り、多くの犠牲を出しながら、魔物を狩っていきました。
《中略》
そんな時、人々に希望の光が現れました。
勇者です。
彼は齢17という年齢で、多くの魔物、魔族を圧倒する力を持っていました。
勇者は言いました。
「私が魔王を倒しましょう」
その言葉に王は感激し、その勇姿に姫は感銘を受け「私を貴方様の伴侶にして下さい」と望んだそ■です。
勇者は、対魔物部■の実力を見■ため、合同で魔物の討伐に行き■した。
討■は、勇者を筆頭に上手くい■ま■た。お互■に信頼を得る■とが出来ま■た。
しか■、その最中に魔■が現■ました。今ま■■無い威圧感■放ち、勇■でさえ動くこ■が出来ま■ん。
この■までは、全滅してしま■ます。
そこ■勇者は、気力■ふりしぼり叫び■した。
「逃げ■!」
そ■声に弾かれた■うに、部■の皆は、1人を除き走り出■ました。
勇■は、無謀にも魔■に挑■だ隊員を止めよ■とし■■たが、それは叶い■せんでし■。
これ■、勇者にと■て最初■して、最後の敗走で■■。
《以下、所々で文字が黒ずんで読めなくなっている》
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彼は、ボロボロになっている本を元の場所に戻す。
余りにも愉快な内容だった。本当に愉快だ、吐き気がするくらいには。
この場には、花だけではなく、少なくない量の本もあるようだった。そういえば前に、彼女の母親が恋愛小説を読んでいたな、と彼は思い出し、笑う。
手に持っている紅い薔薇を見ると、温かい気持ちになれる。ふわりと芳香が香った。
「…………ュ」
「どうかしましたか?」
声を掛けられ、後ろを向く。
そこには、先がふわりとカールしている茶髪の少女がいた。その薄い茶の瞳は、相変わらず花へと注がれている。必要最低限しか話さないのに珍しい。
「何でもないよ、エレン」
そう言って、彼は綺麗に微笑んだ。
何が本当で、何が嘘?