歯ブラシ
アナタはあっさりと
さようならを口にしたね
アタシも意地を張って
引き止めようなんてしなかった
ばいばい
それだけ言ってあげたわ
他に好きな人が出来たんじゃ
この恋だって終わりにするしか
無いじゃない
一方通行で思っていても
届かないんだもん
伝わらないんだもん
部屋にあったアナタのいろいろ
キチンと分別して
今日資源ゴミに出し終わったの
思い出なんていらない
かえってせいせいしたわ
部屋に戻って手を洗う時
歯磨きコップにまだ
アナタの歯ブラシが残っていた
気付かなかった自分が悔しい
そう思ったらぼろぼろ涙が出て来た
本当はいつまでも
一緒にいたかった
それに気付いた今はもう
全て手遅れだったのね
カッコつけてた自分が
何もかにもダメにした
未練がましいって思われてもいい
この歯ブラシだけは
捨てられないのよ
バカなアタシ
まだ収集車が来てないから
今からゴミにしちゃっても
いいのにね
――バカ