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磯端健成は『特殊スキル』が欲しい。


僕には、自慢のお兄ちゃんがいます。


大成兄ちゃんは、「ゼランティア大陸」という異世界に転生して、勇者として名を馳せ、そして日本に生還したんです。



僕は、毎晩お兄ちゃんから、「ゼランティア大陸」の話を聞いて、

僕もこれからは間違っても、ゲームで砂漠を歩くときは「鉄の鎧」なんて装備しないようにしようと思いました。

でも僕も、お兄ちゃんの意思を継ぎたいな!と思ってます。


「にいちゃん!!にいちゃん!!」


「はいーなんですかー?」


「あれから寝ずに考えた!やっぱり俺!ゼランティア大陸にいきたい!!」


「・・・話を聞こうか。」


「もう匂いとか、鎧で蒸れるとか、そんなことは気にしない!俺はにいちゃんの意志を継ぐんだ!」


「どうして?何が君をそんなに駆り立てるんだ?」


「俺は、特殊スキルが欲しい!!」



[異世界の真実、兄が語る現実]


「はいはいはい。特殊スキルねー。」


「異世界に転生したら、俺だけ●●みたいな特殊スキルを与えられるんだ!俺もそれを使いたい!」


「そうかー。でもねケンちゃん。特殊スキルだったらね、今ここにいるケンちゃんも使えますよ?」


「え!?俺にそんな能力が!?」


「あります。知りたいですか?」


「知りたい!使いたい!!」


「じゃあ、ちょっと・・・そこのゴミ箱とティッシュペーパー取ってもらえる?」


「え?これと・・・これ?が、なんだよ?」


「・・・ ・・・ ・・・ハックショイ!!!!(鼻をかむ。ティッシュを丸めてゴミ箱に捨てる。)

 ありがと。」


「で?教えてくれよ。俺の特殊スキル!」


「特殊スキルなら、たった今使いましたよ?」


「はあ?」


「ケンちゃんは、お兄ちゃんにゴミ箱とティッシュを取ってくれました。それにより、

 お兄ちゃんが動く必要がなくなり、エネルギーの消費を抑えることに成功しました。」


「・・・ ・・・はあ?」


「お兄ちゃんが笑顔になる、特殊スキルです。今ここではケンちゃんしか使えませんよ?」


「にいちゃん、本当にごめんね?アイフォンで殴っていい?」


「えー。素敵なスキルなんだけどなあ。」


「そういう事じゃないことくらい話の流れで感じろ!!」



[異世界の真実、兄が語る現実]




「じゃあ、逆に聞きますよ?特殊スキルって、例えばなんですか?」


「え・・・例えば・・・空を飛ぶとか?」


「それは普通の魔法ですよね?特殊スキルじゃないです。」


「じゃあ、あれだ!強いモンスターを手懐けることができる!」


「あーそれだとねー。なんというか・・・ありきたりすぎて埋もれちゃうんだよね。」


「はあ?」


「その能力だと別に向こうだと珍しくもなんともないんだよねー。全然『特殊』じゃないんだよねー。

 そんな能力身につけたって、向こうだと『ふーん。で?』って感じだね。」


「ほんとかよ!」



[異世界の真実、兄が語る現実]




「本当ですよ?異世界って今、パワーインフレ状態なんですよ。その能力もしくは似たような能力をお持ちの方、2、30人リストアップしましょうか?」


「じゃあ・・・相手の能力をコピーする能力!!」


「見た見た。珍しくない。」


「じゃあ、じゃあ、時間を止める能力!」


「居た。500人は見た。」


「じゃあ・・・相手を意のままに操る能力。」


「それは、もはや異世界にいかなくても現実世界でも使える人いますよ?」


「念じればゴールドが降ってくる能力!」


「使ってたー。おかげで大陸はゴールドの価値が無くなっちゃいました。」


「俺だけなぜかモテまくる能力!」


「モテた後の話聞くと、そんなにいいもんじゃないですよ?」


「ラスボスと仲間になる能力!」


「臭いよ?あいつ。」


「たいせー。オイ、たいせー。」


弟の健成は、兄の大成に肩パンをした。健成は論理が行き詰まるとこの癖が出る。


「異世界で凡庸になる現実を受け入れたら、また話をしにきなさい。お兄ちゃん、ディスカバリーチャンネル観るから。」


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