第7話 一緒に
「うーん、、朝か、、」
佑はいつも通りの朝を迎えた。
(あれ、、?歩美は、、?)
しかし今日は少しいつも通りでは無いようだ。
「あ、やっと起きた〜!ほら!早く朝ごはん食べて学校行こうよ!」
そうだ、今日は初めて歩美と学校に行く日。歩美は既に朝ごはんの用意をし持ち物も準備万端だった。
「おお、今日もありがとな。いただきます」
「いただきま〜す!ところでなんだけどさ」
「なんだ?」
「私制服持ってないんだけどどうしよ」
歩美はこの家にいた時に来ていた私服しか持ってきていないので当然制服がない。
「俺2着あるから貸せるけどいるか?スカートじゃなくてスラックスだからあれだけど」
「ほんとに!?全然貸してほしい!」
そうして2人は朝ごはんを食べ終わった2人は制服に着替え、学校に向かうことにした。
「あのー歩美さん?もう少し離れて歩きませんかね」
歩美は佑にほとんどくっつくくらいの距離で歩いていた。
「なんで?いいじゃん別に」
「友達とかクラスの人に見られたら説明するのだるいからさ、登校は別々にしないか?」
歩美はただでさえ美人なのだ。そんな人と凡人の佑が一緒にいると何か変な噂を立てられそうで怖かった。それにもし類に見つかったりしたら説明がめんどくさい事になるに違いなかった。だがそう思ってる反面歩美は言葉を返した。
「え?やだよ?」
歩美はキッパリ拒否した。
「なんで?歩美も何か噂を立てられたら嫌だろ?」
「佑と一緒に登校したいもん!別々はやだ!」
「そ、そうか、、じゃ、じゃあ一緒に登校するか、、」
あまりに直球すぎる言葉に思わず心が撃ち抜かれそうになった佑だった。
そうして2人は学校に着いた。
「誰だあの美少女!?見たことないぞ!?」
「あんな可愛い子うちのクラスにいたっけ?」
歩美が教室に入った瞬間ざわめきが起こった。
(やっぱりこうなるよな)
あまり女子の顔を意識することの無い佑でも分かるほど歩美は顔が整っていた。そのような人がいきなり現れればこうなるのも当然だった。
佑は席に座り、歩美もその隣の席に座った。
「お、おい佑!」
近くにいた類が佑に話しかけに来た。
「お前の隣の人めっちゃ可愛くねえか?」
「ん?ああ、まあそうかもな」
「お前も無頓着なやつだな、、少しは女の子を意識しないと将来が心配だぞ?」
「うっさい」
「それにしても綺麗な顔立ちだな。ミスコンとかにいても違和感ないだろあれ」
「なんだ?もしかして狙ってるのか?」
「いやないね。だって俺は中村さん一筋だからね」
「あ、はいそうですか」
そうしてしょうもない会話をしていると隣に居る歩美が話しかけに来た。
「ねえねえ佑この人友達?」
「え」
「ああうん俺の昔からの友達だよ」
「ふ〜んそうなんだ」
「どうした?」
「いやなんでもないけど〜?」
2人が会話していると類がかなり縮こまって話に入ってきた。
「あ、あのーおふたりはどういう関係なんでしょうか、、?」
「ただの友達だよ、ちょっと縁があってな」
「ん〜?そうだね〜強いて言うなら私の1番仲良い人かな!」
「!?」
割と結構な爆弾発言に佑は何も言葉が出なかった。
「なん、だと?佑、どういうことだ!説明しろ!」
「いやだからただの友達だって!それ以上でもそれ以下でもない!」
「嘘だ!ほんとは隠れて付き合ってるんだ!」
「だから違うって!」
「はあ、もう疲れた」
衝撃を受けた類を説得するのにかなりの労力を使ってしまった。そのせいでまだ1時間目すら始まっていないのにクタクタだった。
「佑だいじょぶ〜?」
「お前のせいだよ」
「ごめんごめ〜んつい楽しくなっちゃって!」
「頼むから誤解させるようなことは言わないでくれよ?」
「わかったわかった!」
「ほんとに分かってんのかよ」
明らかに分かっていなさそうな返事に佑は少し呆れた。
「いつか誤解じゃなくなるかもね、、」
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもない!」
かなりの小声で言った言葉に、佑は気づく筈もなかった。
ようやく1時間目が始まった。しかし、またここで1つ問題が発生した。
「あ、私教科書ないから見せてね」
「なぬ?」
歩美は机を佑の机にくっつけた。
「もしかして毎時間こうなるのか?」
「だって教科書ないんだもんしょうがないじゃん」
「ガチかよ、、」
「一緒に沢山勉強しようね!」
「あ、ああそうだな」
曇りのない純粋な笑顔を見せる歩美と、これからどうなってしまうのかと悩んでいる佑であった。
「ところで歩美は勉強はできるのか?」
「ん〜?できないよ?」
歩美はキッパリと答えた。ちなみに佑はというと平均よりほんの少し上くらいで可もなく不可もなくという感じであった。
「私中学校全然行ってないから全然わかんないよ?暗記系は何とか行けるけど、数学とか何言ってるかわかんないもん」
歩美は中学の授業をすっ飛ばして高校に来てるので授業の内容がまるで分からないらしい。
「だから佑にたくさん教えてもらう!」
「俺も別にそんな勉強できる訳じゃないからな?期待すんなよ?」
「わかった!期待しとく!」
「全然話聞いてねえじゃねえか」
そうして2人はこれから毎日仲良く隣同士でお勉強することとなった。