第6話 新たな幕開け
「ただいまー」
佑は学校から帰宅した。
(歩美はいないのか?)
家に入っても歩美の声はしない。
(もしかして、自分の家に帰ったのか?)
そう思いリビングに入るとそこにはめちゃくちゃゲームに集中している歩美がいた。
「あ、おかえり〜」
「お、おう、ただいま」
(なんだ、ゲームやってただけか)
なにか心変わりしたのかと思い心配した佑だったが、特にそんなこともなさそうで安心した。
「どうだ?少しは上手くなったか?」
「う〜んちょっとだけ?コントローラーの使い方には慣れてきたかな〜」
「そうか、じゃあちょっと俺と対戦してみるか?」
「絶対またボコされるじゃん!手加減してよ?」
「むり」
「ひどい!」
佑は少しばかり成長したであろう歩美と対戦した。
『レディーファイト!!』
(お、動きが格段に良くなってる)
歩美は昨日までジャンプの仕方も知らなかったとは思えないほどに成長していた。更には攻撃も佑に少しだけ当ててくるようになり、かなり成長が伺えた。
(まあでも、俺には到底及ばないな)
少し様子見していた佑は手加減をやめ本気を出し始めた。そして歩美は瞬く間にHPを減らされKOされた。
「強すぎ!あんなん勝てるわけないじゃん!」
「いやでも昨日よりは良かったぞ?俺もちょっとだけHP削れてるし。成長してるんじゃないか?」
「そう?やった〜!」
そうしてこの後も佑は歩美のトレーニングに付き合った。
数戦したところで佑はとあることを思い出した。
(そういや、、歩美に聞かないとな、、)
そう、学校のことだった。クラスにいた、隣の席にいた女子「山口歩美」はここにいる歩美なのか。聞く必要があった。
「な、なあ歩美」
「ん〜?どした?」
「歩美ってもしかして俺と同じ学校通ってるか?」
「え!?あーえっとー、そのー」
(あ、これ絶対歩美だわ)
明らかに同様する素振りを見せる歩美に、佑は確信をした。
「もしかして俺が朝学校の話した時に変な反応してたのもそのせいか?」
「ごめん!別に隠すつもりはなかったんだけど、、いきなり言われたからびっくりしちゃって!」
「そうか、まあ俺が1番びっくりしたけどな。しかも学校だけじゃなくクラスも同じだし。点呼の時にいきなり聞き覚えのある名前言われて思わず声出ちゃったわ」
「そうなんだ、、」
少し落ち込んでいる表情を見せる歩美に、佑は問いかける。
「なあ歩美」
「な、なに?」
「お前また学校に来る気はないのか?」
「その件なんだけど、また行ってみよっかなって」
「まじ?ほんとか?」
意外とあっさり行く宣言をした歩美に少しびっくりした。
「まあ元々行ってなかったのも友達いないし出来ないからってだけだし」
「そうなのか?」
「ほらあれじゃん、私って流行に疎いからさ。みんなの会話についてけないから友達全く出来ないんだよね」
「なるほどな」
「まあでもさ!今はさ!佑がいるからさ!学校行ったら佑とたっぷりお話できるし!そしたら楽しいのかなって!!」
歩美は今までにない満面の笑みで言った。
「ちょっとまて学校で俺とめちゃくちゃ話そうとしてるのか?」
「うん!なんか問題ある?」
「問題あるっていうか、、」
問題は一応あった。歩美は世間一般的に見たらかなりの美少女なので、そんな人がいきなりクラスに現れさらに俺とめちゃくちゃに話すとなると絶対に目立つことになる。
(類にも色々聞かれるだろうしな、、しかも同居してるなんて口が裂けても言えないし、、)
同居してるなんて言ったら面倒臭いことになるだろう。クラスの男女が同居してるなんて知られたら少しばかりは話題になってしまうだろう。
(それだけは何とか避けないとな)
「ねえ、、学校で佑と話したいし遊んだりしてみたいよ!だめなの、、?」
歩美は上目遣いで今までにないぐらいの可愛さを発揮して佑に問いかけた。
(うんそんな顔されたらダメなんて言えるわけねえじゃねえか)
「ああわかった。ただし一つだけ条件がある」
「なに?」
「俺らが同居してることはクラスのみんなには秘密にすること、いいな?」
「うん!わかった!約束する!!」
そうして歩美は学校へ行き始めることになった。
(これから、、色んな意味で大変だろうな)
歩美にずっと絡まれたり、類にも質問攻めされたり、クラスの目線を食らったりしそうだが、
(まあ歩美を学校に行かせるには仕方ないよな)
「佑との学校生活楽しみ〜!もう今から準備しちゃお〜!」
そして何よりこんなウキウキしている少女がいるのにそれを悲しませるようなことが出来るはずがない。
(頑張るか、これから)
そうして佑と歩美の2人の学校生活が幕を上げることとなった。