第10話これからもっと
「よっしゃ!できた!」
佑達4人は無事にラーメンを作り終えることが出来た。
「見た目は悪くないんじゃないか?」
「そうだね〜結構美味そ〜」
見た目は店で出てきても違和感のないぐらいの完成度だった。
「腹減った!先食ってるわ!!」
腹ペコな類は一目散に食べ始めた。
「お!うめえぞ!ちゃんとラーメンだ!」
「そりゃよかったわ」
ところどころ類が勢いで作っていたので少し心配したが大丈夫そうで安心した佑だった。
「じゃあ俺も食べてみようかな」
「私も食べる〜」
続いて2人もラーメンを啜り始めた。
「ほんとだちゃんと美味いな」
「ね〜意外とちゃんとできててびっくり」
「インスタントで変なもの作れたら逆に才能だと思いますけどね」
「確かに〜」
味に感心していると中村さんにツッコミを入れられた。
「美味いか?歩美」
「美味いよ〜?苦労して作ったものは一段と美味しいね〜」
「そうだな」
ラーメンの味をしっかりと堪能する4人であった。
「美味しかったな!」
「この後何する?」
昼飯を食べ終えたら自由時間となる。探索してるものもいれば近くの体育館で遊んでいるものもいた。
「やりたいことなかったらゆっくりしててもいいけど」
「あ!私あれやりたい!」
歩美が見つけたのはテニスコートだった。
「お、いいじゃん、類も中村さんもやる?」
「望むところだ!ぼこぼこにしてやる」
「私はなんでもいいですよ」
「じゃあ決まりだね〜」
そうして4人はテニスをすることになった。
「ダブルスでやろうと思うけどチームはどうする?」
「私と佑チームでそっちが類くんと香澄ちゃんチームでいいんじゃない?」
「おっけー!中村さん!俺に任せてね!」
「はい、期待してます」
「調子いいなこいつ」
4人はコートにつき佑のサーブから始まった。
「行くぞー」
「かかってこい!」
「ほい!」
佑は力強くサーブを打った。ポスッという音がしてボールは止まった。
「ネットに引っかかっちゃった」
「この場合どうするの~?」
「1回目はまだ大丈夫。2回目は相手のポイントになるらしいぞ」
「なるほどね〜」
「おーい!下手くそー!早くしろー!」
「うるさいなあいつ」
「かましちゃってよ!佑!」
「任せろ」
類の挑発された佑は先程よりも力を込めてサーブを打った。
「これでどうだ?」
佑の打ったボールは類に一直線で向かっていき、類はそのボールを捉えきれず空振った。
「よっしゃ!」
「やるじゃん佑!」
そうして4人はしばらくの間テニスを楽しんだ。
時刻は16時になりそろそろ学校に帰る時間となった。
「じゃあ約束通り私は佑の隣に座るね!!」
「お、おう、、まあ約束だから仕方ない」
行きのバスの時にそう約束してしまったので佑は歩美と隣同士で座った。
「今日はめっちゃ楽しかったね!」
「ああ、いっぱい食べたり遊んだりできたし大満足だな」
「そのかわりめっちゃ疲れたけどね」
「それはそうだな」
周りを見渡すとクラスメイトもみんな疲れているのかほとんどの人が眠りについていた。
「俺も眠くなってきた、、な、、?」
そう話しかけようとすると
「うおっと!?」
「うーん、、、、」
歩美も眠くなっていたのか佑の肩に頭を乗せて寄りかかってきた。
(どうしたらいいんだこれ、、)
普段なら絶対に起こすが疲れていて尚且つめちゃめちゃ幸せそうな顔で寝ているので起こすにも起こせなかった。
(しょうがない、、着くまで我慢するか、、)
佑は仕方なく身を預けさせることにした。
(それにしてもまじで顔整ってるな、、)
寄っかかってきてゆるゆるになっている歩美の顔を眺めていると
「うーん、、佑チューして〜、、、?」
(こいつどんな夢見てんだよ!!)
寝ていても全くもって油断出来ない歩美であった。
そうしてバスは学校に着いた。
「おい歩美!ついたぞ!」
「うーん、、、おはよう、、ってあれ!?」
「お前寝てる時に俺の肩にずっと寄っかかってたぞ」
「まじ!?ごめん!まあでもいっか!男の子にとってそういうイベントはご褒美だもんね!」
「よくねえよしばくぞ」
「ふふーん?照れちゃって〜」
「ちなみに寄っかかってる時に寝言で佑チューしてーとか言ってたなーーー」
「え!?ほんとに!?」
「寝顔もめっちゃゆるゆるで可愛かったぞ?」
「うるさい!喋んな!変態!」
「あ、ハイスミマセン」
急に罵倒されて縮こまる佑であった。
「はあー疲れた疲れた」
「それな〜」
遠足から帰ってきた2人はしばらく休憩することにした。
「それにしても楽しかったな」
「うん!まじで楽しかった!」
「なんかこれから色々な行事が控えてると思うと楽しみだな」
「そうだね、、」
「どうかしたか?」
歩美の表情が急に曇り始めた。
「こういう行事とか来るの初めてだったから、、なんか、、」
「どうした!?」
急に歩美が泣き始めた。
「なんか今までと違ってめっちゃ楽しくて、、、なんかその、、」
「そうかそうか、今まで行事なんも参加したこと無かったのか?修学旅行とか」
「うん、、だから嬉しくて、、」
「そうか」
「今まで友達もいなかったから、、こうやって遊べるのも嬉しくて、、なんか、、恵まれてるなって、、」
「お前は今までが恵まれなさすぎなんだよ、今まで恵まれなかった分今それを取り戻せてもいいはずだ」
「そうかな、、」
「ああそうだ、もしお前がそう思わなくても俺がそうさせるよ」
「ほんとに、、?」
「ああ、俺がお前に知らない世界や楽しいことを沢山教えてやるよ」
「ありがとう、、佑、、」
歩美の涙はなくなり、徐々に笑顔が戻って行った。
「泣いてるお前なんて俺も見たくねえよ、ずっと笑顔でいて欲しいよ」
「笑顔の方が可愛い顔してるもんね?」
「ああ、そうだな」
「!!」
「どうかしたか?」
「い、いやなんでもない」
歩美はそっぽを向いてしまった。
「ね、ねえ」
「なんだ?」
「佑からみて私って可愛いと思うの、、?」
「割と自覚ない方が怖いくらいには整ってると思うけどな、髪の毛とかもサラサラだし」
「ふぇ!?」
歩美は急に髪の毛を佑に触られ思わず声を出してしまった。
「手入れだってしっかりしてるだろ?もうちょい自分に自信を持てよ」
「あ、あの、、」
「ん?」
「恥ずかしいからあんまり触んないで欲しいかも、、」
「あ、、ごめん!嫌だよなそりゃ勝手に触られるの、すまん!」
「嫌とかじゃないけど、、やっぱ恥ずかしいから、、」
「そうだよな、今度からは触らないようにする」
「じゃ、じゃあさ、、」
「ん?」
「頭なでなでして?」
「なんでだよ」
「お詫び」
「いやでも、、」
「いいから!」
「は、はい」
そうして佑は歩美の頭を沢山なでなでした。
「んーふふ、えへへ」
(なんでこうなった、、)
なんか色々思うところはあるがとりあえず歩美が嬉しそうなので今回は心の中にしまっておくことにした。