聞いていいかな?
聞いていいかな?
天空の砂時計からさらさらきらきら時砂が流れ落ちて行きます。
さらさらさらさら……。
「耕せ!」
「耕せって言われても……楽に耕せれる呪文とかないのかな?」
咲菜ちゃんは鐵鍬轍-わだち-の柄をぎゅっと握りしめ、永遠遠くまで広がるお種子畑を見詰めていました。
さらさらさらさら……と、天空の砂時計からさらさらきらきら止まること無く流れ落ちて行きます。
「何言ってんの? そんなのあるわけないでしょ! その身を粉にしてこその償いでしょ! そうしてうだうだ言ってても時間は過ぎてくんだよ! 自分の時間何だよ! 無駄にしないで! さあ! とっととお種子畑の大地に振り下ろしなさいよ!」
さらさらさらさら……。
ちらり……。
「あの~お! おはなぱたけ! ひとつ聞いて良いかな?」
「何をよ? 今更、鍬の使い方分からないとか言わないでよ? で……何?」
「えっとね……えっとね……(ぽりぽり)良い鍬だよね! 轍-わだち-ってさ!」
「おっ! 分かってるね! わたしの永年の経験値から割り出した特注の壱品だかんね! それ下ろし立てなんだかんね! もち、わたしのお気に入りだよ! 折ったりとかは御法度だかんね! ま! 槐の柄はちょったやそっとじゃ折れないけどね!」
「でね? それでね? (ぽりぽりぽりぽり) 轍-わだち-の実践してるとこ見せて欲しいかな……って……お願い! おはなぱたけ!」
「何? わたしの轍-わだち-さばきを見たいってこと?」
「う……うん! 神技的なの見てみたいな(にこっ!)」
「ほほう! 成る程! そうだねぇ……? まあわたしの轍-わだち-さばきを見たいって気持ちは分かるからさ! ちょっくらご披露しても良いけど!」
「本当に! ありがとう! おはなぱたけ!」
「よく、そのドングリ眼に刻みつけな! ぺっ! ぺっ! とくとご覧あれ! うりゃうりゃうりゃうりゃ! うりゃ~あ!」
さくさくさくさく! さくさくさくさくさくさく……。
超高速回転で轍-わだち-が振り下ろされ、みるみるうちにお種子畑の大地がもりもりと天地返しされて行きました。