あなたの償いの始まりです
あなたの償いの始まりです!
咲哉咲菜ちゃんはお花が大好きです。
お花が大好きなのですが、育てるのが大の苦手でした。
種子を撒いてわくわくして。
お水をあげてわくわくして。
双葉がでてわくわくして。
楽しいことにであったら夢中になって……。
双葉さんはしなしな枯れてしまうんです。
でもまた咲菜ちゃんは、種子を植えてわくわくして。
お水をあげてわくわくして。
双葉さんがでてわくわくして。
楽しいことに夢中になってを、悪びれることなく繰り返していました。
それはある日の夜のことでした。
すやすやぴいぴい咲菜ちゃんがおねむねむしていると、いきなりおでこの辺りをいきなりテイテイテイされたんです。
おでこのあたりに、じんじんじんじんが積み重なってゆくんです。
流石に夢の世界でキャハハハしてた咲菜ちゃんも、重たいお目々の蓋をパッチリと開けました。
勿論おでこをさわさわして、大丈夫なのを確認するのも怠りません。
「あんたええかげにしなよ!」
と、激怒プンプンしてる何かにめっちゃ怒られてる感じです。
「おねむねむしてる無防備なわたしを、いきなりテイはないんじゃないの」
「謝んなさいよ!」
「テイされたのはわたしです! 謝るならそっちでしょ!」
「謝まんなさいよ! 謝まんなさいよ! 謝まんなさいよ!」
「うるさいうるさい! うるさ~い! お花に囲まれたキラキラのそっちが謝ってよ! もしかしてお花の精なの?」
「違うけど? わたしを見てどうしてお花の精とか思うかな? な~んにも知らないんだね? はい! いっぱい萎れさせてきたお花の種子さんたちに謝ろうか!」
「……わたしのせいじゃないもん! かってに咲かなかっただけだもん! 謝んないもん!」
「テイ! テイ! テ~イ!」
「痛い痛い痛い! 痛いったらお花の精モドキやめてよ!」
「カチンと来たんだけど! お花の精モドキってなによ! わたしはね! おはなぱたけよ! 覚えときなさいよ! もう、目つけちゃったからね! ロックオンよ!」
「えっと……わたしあした早いんで、お休みなさい! おはなぱたけ!」
咲菜ちゃんはすっと横になりお布団をめいいっぱい深く被りました。
あっちいけあっちいけあっちいけ! 悪くないもん悪くないもん悪くないもん! わたしのせいじゃないもん……。
「もう……注意だけにしようと思ってたけど、駄目なようね? 仕方ない! ぱたぱたけ! ぱたぱた! ぱたけ! ぱたぱたけ~っ! え~い!」
おはなぱたけが不思議な呪文を唱えると、あ~ら、あら、あら不思議!
お花の香りに満ち満ちた見渡す限りのお花の大空に、めいいっぱい囲まれた広大な耕されていないお種子畑に、咲菜ちゃんは立っていました。
「えっ! ……フローラルのいい匂い、何処なの? わたしお布団被ってたはずなのに……?」
「ようこそいらっいゃいました! ここはお種子畑でございます」
「ようこそって! おはなぱたけがここにこさせたんでしょ?」
「いかにもたこにも海月にもでございます」
「ちっともわかんないよ? 烏賊なのか蛸なのか海月なのか? ここは何処なの?」
「ここは先程もいいましたけどね! お種子畑でございます!」
「お種子畑?」
「そうです! お種子畑ですよ! さあ! はじめましょうか? 咲菜あなたの償いの始まりです!」