第1話、偽装カップル
主人公、佐藤実奈、髪色は黒で、毛先がウェーブがかっている美少女、少し大人びた容姿。
高橋樹理 メガネ君だが眼鏡を取ると女顔のイケメン、髪色は黒で髪型は右に流すアシメ。
なんでみんな恋をしたがるんだろう…
私、佐藤実奈、普通の顔、普通の体型、普通のスタイル学力は学年では10位くらい。
なのになんでよく私に男の人が連絡先を聞いてくるんだろう。
お昼休み購買帰りに実奈は男子生徒ふたり、先輩?に話をかけられた。
「ねぇ、君、1年の佐藤実奈さんだよね」
「よかったら俺らと連絡先交換してくれない?」
「お断りします」
なんで私に連絡先を切ってくるんだろう、不思議、誰でもいいから恋愛したいのかな?、でも恋愛ってそういうものじゃないと思うんだよね。
2階を歩いていたら窓の外から告白の声が聞こえた。
『好きです、付き合ってください!』
女子が男子に告白しているの窓から見えた。
こういうのが恋愛だと思うんだよね。
こんな真昼間から告白って青春、こういうのだよね恋って。
私は野次馬根性に駆られ窓を開けて告白の様子を見ることにした。
でも12月で寒いのに外の校舎裏で告白ってすごいなあ。
告白された男子はどう答えるのかな?。
告白されたのはメガネをかけた男子なんか見覚えがある人だ、その男子は女の子に指さして言った。
『貴様何のつもりだ、金目当てか!?残念だったな俺は金はない!』
『いや、そんな…私は…』
『じゃあなんだ!?地位か名誉か!?生徒会長の彼女という称号が欲しいのか!?―』
その時風強い風が吹いた。
『―残念だったな俺はお前のような女に興味はない!』
風が強くて聞き取りづらいけど多分そう言ったのだと思う。
こう返された女の子は
『そ、そんな、うっ…うっ…―』
『うわあああん!!』
と涙を流して走って去ってしまった。
「行っちゃった…」
『ふん、またそんな女か、時間の無駄だったな』
何あいつ、ヤバいやつ?
私は窓を閉めて、1年1組の教室に戻った。
教室で友達と机をくっつけて購買で買ったパンを食べていたら、見覚えのある男子が教室に入ってきた。
あっ、さっき告白された男子。あっそういえば生徒会長って自分で言ってたっけ、生徒会長は同じクラスだった。
生徒会長は男子の友達に話しかけられていた。
「高橋、またお前、女子を振ったのか」
そう言われて生徒会長は答えた。
「なんで分かるんだ?」
「だってお前、告白された後とか目つきめっちゃ悪いじゃん」
「俺、今、目つき悪いのか?」
「そうだよ」
「明日には直る、心配いらない」
「お前、女性不振だもんな」
そうなんだ…。
男子と話する時は優しいんだ。
私は一緒にご飯を食べていた女子の友達に聞いてみた。
「ねえあの生徒会長ってどんな人?」
~
聞くところによると彼はこの聖唱吟詠学院英心高校生徒会長の高橋、私と同じ特別進学コース1年1組、下の名前は分からなかった、カリスマ性があって1年生ながら異例の生徒会長選出されて、どうやらモテるらしい、なんでモテるんだろう
なんでも生徒会長高橋は今回みたいに女の子をこっぴどく振ることで有名で今までたくさんの女子が傷つけたらしい、私は知らなかったけど女子の間では有名な話らしい。
ちなみに席は私の席の近くだった、今まで気づかなかった。
その日一日は生徒会長は目つきが悪いまま学校が終わった。
次の日、生徒会長高橋は教室に入ったら
「おーす」
瞬間、クラス内の空気が変わった。
高橋は言った。
「なんだ?」と。
高橋は自分のカバンを自分の席に置いて教科書を机の中に入れていたら男子生徒に話しかけられた。
「高橋、昨日、お前に告白した女子いるじゃん」
高橋は答えた
「いたな」
「告白したらお前が『女子に興味がない』って言われたって噂になっているぞ。
「あ゛っ?」
高橋はクラスを見渡した。
そうしたらクラスメイトはいろんなところで噂をしていた。
「高橋って女に興味ないんだって」
「じゃあ男!?」
「生徒会長女子好きじゃないんだって」
「つまり?」
「ゲイってこと!?」
何故か歓喜する一部の女子。
私はそんな空気の中クラスに登校した。
「おはよう」
そうしたら女子の友達がすぐ私のところに来て話をしてきた。
「ねえ、実奈、高橋の話知ってる!?」
「ん?なに?」
「高橋女子好きじゃないんだって」
「え?」
昨日の告白…確か風デッキ声聞こえづらいところあったけど、やっぱり告白した女の子も聞こえづらかったのかな。
それを女子の友達にそのまま話したらこんな噂になっちゃったってところかな。
授業中に高橋ってゲイなんだってという手紙が飛んで来たり、休み時間の度にそういう噂を流されて昼休みには精神が摩耗して高橋は頭を抱えていた。
高橋は近くにいた男子の友達に釈明した。
「違うんだ…『お前のような女に』興味はないと言ったんだ…」
「俺らはお前が違うってわかるけど他の奴にいちいち説明していたらきりがないぞ」
「だよな」
と、話をしているときに高橋は一人の女子から話しかけられた。
「ねえ、高橋君」
「あ?」
女子に対しては態度が悪いのね…。
「私そういうの嫌いじゃないから!」
「何がだよ!?」
高橋の友達が「フォローになっていない…」と言った。
その日1日学校中その噂でもちきりで精神的に追い詰められた高橋だった。
次の日
登校すると玄関で高橋がいて、そのまま後ろを歩いて教室に向かった。
でも歩くたびに、
「会長ゲイなんだって」
「男が好きなんだってよ」
「バカ、聞こえるぞ」
ひそひそ話が聞こえ、噂も悪化していた。
教室に着くなり机に突っ伏して大きなため息をした高橋。
「はあ~~~~~~~」
追い詰められてずっと放課後まで溜息をついていた高橋だった。
授業も終わってホームルームも終わって帰りの会も終わったのにまだ机に座って考え事をしている高橋がいた。まだ悩んでいるみたい。
私は高橋に話をかけた。
「ねえ!」
反応がない。
「ねえ!高橋!」
「ん?誰だ…?」
「同じクラスの佐藤だけど…」
「何の用だ?」
「あなたって本当はゲイじゃないんでしょ?」
「分かってくれるのか!」
がたっと音を立てて高橋は立ち上がった。
「うん、分かるからそこで提案があるんだけど」
「何だ?」
「私と付き合っていることにしない?」
「…何故?―」
「―メリットは?」
「あなたが女子の私と付き合っていることにすればゲイじゃないって証明になる」
「お前のメリットは?」
「私は何故かよく学校で男の人に連絡先を聞かれてしつこいから彼氏がいればいいかなって思ったんだけど生徒会長が彼氏ってなればそういうことが無くなると思うからWIN-WINな提案じゃないかなって」
そう、何故か分からないけどよく男子に連絡先を聞かれる、それが面倒くさい、彼氏がいるとなれば増してやそれが生徒会長となれば校内で連絡先を聞いてくる男子はいなくなるだろうし、外でも彼氏がいると断る口実にできるからその提案を考えた。
高橋も私と付き合っていることにすれば、それをクラスで周知して少しずつ『女に興味がない』という噂も消えてくるだろうから、そうこれは契約交際、互いにメリットしかない1番いい選択だと私は思った。
「―でもいいのか俺と付き合っていることにして、確かにお前は顔も可愛いし、身長も高くてスタイルもいいから、そういうナンパもあるだろうけどな」
「か、かわ!?、お世辞はいいから!」
「自己肯定感が低いな」
「どうやら本当にゲイじゃないようね」
「そうだよ!」
「ところでなんで睨んでいるの?」
実は会話しているときに高橋の目つきは睨んでいた。
「俺は睨んでいるのか?」
「自覚なかったの!?」
私は鞄から鏡を取り出し、高橋に渡した。
「鏡貸すから自分で見て」
「ああ…」
鏡で自分の顔を見た高橋。
「これはひどい…」
自分で自分の顔をひどいと言った高橋。
「でしょ」
思わず同意してしまった私。
「ちょっと直す」
と言って高橋はメガネを外して顔をマッサージして表情を柔らかくした。
マッサージが終わって私の方を向いた。
「どうだ?」
ちゃんとすると意外とイケメン…!
思わず驚いた、私、顔赤くなってないよね?。
高橋に聞いて見た。
「なんで女性を見ると睨むの?」
「女を信用していないからだと思う、離婚した母親がクソな人間だったからのと信用していた仲のよかった女友達に裏切られたのが原因だと思う」
「なんで顔いいのにメガネかけてるの?」
「顔がいい?、まあいいが、目が悪いのとコンタクトを入れるのは怖いし、メガネかけていると生徒会長らしいからだ」
「そんな理由!?」
「メガネなしで睨まなければイケメンだよ」
「俺の話になるが、今度、父親が再婚するんだが、その再婚相手の連れ後が女の子だったら睨まない方がいいか」
「それはそうでしょ」
今日はこれでお開きになった。
その夜
佐藤実奈の家
実奈の母親が実奈の部屋の扉越しに言った。
「実奈ー今日だから」
「はーい」
お母さんはお父さんと離婚して居て子供にはちゃんとした結婚相手と結婚してほしいという考えで定期的に食事会をして知り合いの息子さんにこの子はどう?と私を紹介してくる勧めることを毎回断っているが一向にやめようとしない、私はいい加減それは勘弁してほしいなので彼氏がいることを言えばそれもなくなると思うし、自分の結婚相手は自分で決めたいし高橋に偽装彼氏を頼んだ理由はこれも一つ、彼氏を紹介しなさいと言われてもいつかと言って、誤魔化して、いざとなれば口裏合わせてた高橋を連れてくればいいし。私は恋愛をして結婚したいから紹介された相手となんて嫌だから今日、これを最後に次の機会に羅事前に彼氏がいるって言って行ってちゃんと断ろう今回は前から決まっていたから断れなかった。
お義母さんの声がまた聞こえた
「今日は私だからー」
「え?何が?」
仙台駅東口通路
おめかししてきた。
「今日会う相手は?」
「お母さんの婚約者」
「え?」
待って頭が追い付かない、お母さん彼氏いたの?。
「あっ一成さん」
「遠くで40代前半くらいのおじさんが手を挙げてお母さんの名前を呼んだ。
「京子さーん」
この人か。
「あれ?お子さんは?」
あっちも子連れ
これは受け入れるしかない。
「今ちょっとトイレに行ってて、あっ―」
「―樹理!」
樹理ちゃんか私の姉か妹になるのか、いい子だったらいいんだけど。
その樹理ちゃんが正面に来た。
そこにいたのは生徒会長高橋だった。
「んっ?」
「え?」
「お前が佐藤さんの娘さん?」
「あなたが再婚相手のお子さん…?」
「「ええ―――――――!?」」
高層ビルのレストラン
私は座って高橋と正面で向かい合っていた。
高橋も同じことを考えていた
((気まずい…))
高橋のお父さんがとわたしのお母さんが話をしている
「まさか子供たちが同い年で同じ高校だったなんて」
「しかも同じコースで同じクラスだなんて運命ね」
((偽装彼氏彼女だけど…))
「ふたりは話をする仲なのかい?」
「実奈は樹理君の事よく知っているの?」
私は高橋、息子さんの方樹理にウィンクで話を合わせてと合図を送った。
余計なことは言わないで
「一応面識有ります」と樹理は言った。
通じたみたいだ。
「話したことはあります」と私は答えた。
「だからあの時あんなに驚いていたのか」
「合点がいったわ」
「私ちょっとお手洗いに」
私はちょっと落ち着くために化粧室に行くことにした。
十数秒後
「僕もちょっとお手洗いに」
樹理もトイレに行った。
トイレの出入口を出たら樹理と一緒のタイミングで出てきた。
「「ふー」」
「「ん?」」
「ちょっと高橋これどうなっているの?」
「それはこっちのセリフだよ、俺の親父の再婚相手がお前の母ちゃんだったのかよ」
「親に付き合っていることがバレたら面倒だから内緒にしましょう」
「そうだな」
「あと色々ありそうだから連絡先教えて欲しいんだけど」
偽装彼氏彼女なのに連絡先の交換を忘れていたので訊いた。
「ああ、忘れてた、LINE教えるから」
高橋樹理と連絡先を交換した。
「じゃあ戻るか」
「そうね」
席に戻っていたら話が進んでいた。
「それでは挙式は無しで近いうちに婚姻届けを出して新しいマンションに引っ越すということで」
「はい、それでいいです」
「引っ越すけど樹理もいいか?」
「ああ、いいよ…」
「実奈もいい?」
「うん…」
「では話も詰まった所で今日はこれでお開きにしますか」
「そうですね」
レストランを出た。
高橋父が言った
「いやあ美味しかったなここのレストランのディナー、また来ような」
「そうだね…」
樹理は思っていた 味なんか覚えてない…とにかく疲れた。
帰り際、高橋父と佐藤母は話をした。
「じゃあ婚姻届けは3日後に一緒に出しに行くということで」
「はい」
「じゃあ3日後」
「はい、1ヶ月にマンションに引っ越すということでいいんですよね」
「そうです」
「今日はありがとうございました、おやすみなさい」
実奈の家
返ってくるなり実奈はベッドに倒れた。
「疲れたー」
まず状況を整理しよう、生徒会長の高橋樹理と偽装カップルになってカモフラージュを得た、で、お義母さんが再婚する相手が高橋樹理の父親でこれは決定事項、そして樹理と義理の兄弟になって一緒に住むことになったそして1か月後引っ越しして同じ屋根の下偽装カップル兼議兄弟で同居って…、偽装カップルだからこんなにややこしくなっているけど偽装カップルじゃなくて全く樹理のこと知らない状況だったら私が嫌がってもっとややこしくなっていたと思う。
大変なことになった。
ベッドにあおむけになった実奈
「ふー、…とりあえずシャワー浴びよう
「樹理はシャワー浴びてパジャマに着替えてベッドに入ったが
考え過ぎて眠れない…明日からどんな顔して樹理に会えばいいんだろう…
2時になっても3時にもなっても眠れない
7時になって目覚ましが鳴った。
結局5時まで眠れなかった。
2時間しか寝てない。
「眠れなかった…」
机の上に置いておいたスマホが光っている。
LINEが来ていたようだ。
高橋樹理
お前と付き合っていること学校で言っていいか?
「『いいよ』と」
そのために偽装カップルになったんだから。
学校
あくびをしながら廊下を歩く実奈
「はぁ~、眠い」
実奈は教室の扉を開けた。
「おはよー」
「おはよ~」
「実奈、今日5時限目体育館で学年集会だあるって」
「それはだるいね」
5時限目学年集会
校長が話をしている
「――であって――として―ということであって―――であると」
眠くて話が半分も入ってこない。
あれ…もう寝そう…
実奈は寝た。
目を覚ましたところで若い男の声が聞こえた。
あれ、樹理の声…?
「―ということで不審者にお気を付けください―」
「―あと最後に一つ―」
「―僕がゲイという噂が流れていますがあれは間違いです、僕は同じクラスの佐藤実奈さんと付き合っているのでゲイではありません―」
「―では集会を終わります」
「「「「「えええええ――――――!?」」」」」
付き合っていること言ってもいいかってここで言うのおおおおおおおおおお!!?
「あの学年一の美人の佐藤さんと!?」
「だからゲイだって信じてたって言ってんじゃねえかよ!」
「いや、ゲイが偽装で付き合うことなんて珍しくないんだよね、それ、一番言われているから」
「嘘だろ―――――!!」
私は前の席に座っていた女子の友達に聞かれた。
「実奈、付き合っているって本当なの!?」
「本当だけど…」
「なんで言わなかったの!?」
「付き合い始めたばかりだから…」
教室に帰って来た樹理、男たちが群がってきた。
「高橋、お前佐藤さんと付き合っているってマジか!?」
「そうだが」
「なんで言わなかったんだよ!?」
「だから言っただろ」
私は樹理に声をかけた。
「高橋、ちょっといい?」
「ああ…」
「おい、嫁さんが来たぞ」
「そのまま怒られろ」
廊下で話すことにした。
私はガチギレしている
「言っていいとは言ったけど全校集会で言う!?」
「言っていいと言ってたから…」
「全校生徒の前で言う!?」
「スマン、これなら一番インパクトが強いと思って…」
「これはちょっと許せない」
「どうすれば許してしてくれるか…?」
「じゃあ」
―
樹理は佐藤に連れられて樹理がこっぴどく振った女子に全員に謝罪しにまわることになった。
「あの時はすいませんでした」
相手は「いいよ、もう気にしてないから」と言ってくれた。
―「今までこっぴどく振った相手に謝罪する?」
「そう」
「何故だ?」
「今まで何人もの人を傷つけたでしょ」
「かもしれない」
「かもしれないじゃなくて確実でしょ、今まで何人の人をこっぴどく振ったの?」
「この前の合わせて17人…かな」
「放課後全員に謝りに行くわよ」
「ええ…」
―
「すいませんでした失礼します」
「これで後は何んだから残りは1人、おととい振った人か」
「そうね」
最後のひとりの女子の教室
「一昨日はすみませんでした―」
「だが貴様だけは―」
と言ったところで教科書丸めた本で樹理の頭をパアンと叩いて実奈は樹理の首根っこを掴んで
「失礼しました~」
と言って教室を出て行った。
廊下で樹理が言った
「なんで頭叩くんだ!?」
「また暴言言いそうになったからでしょ」
「だが、あいつが噂を広めた原因で」
「原因はあなたがこっぴどく振ったのが原因でしょ」
「それはそうだが…」
「だからこれはこれでお終い」
「ええ…」
「あとこれから告白されることがあっても誠意をもって断るのよ」
「お前と付き合っていること言ったから告白することはないと思うが、分かった」
「あと、メガネフレーム変えたほうがいいわよ」
「なんでだ?」
「絶望的に似合わない」
「ええ…―」
「―じゃあお前が見繕ってくれよ」
「いいわよいつ行く?」
「1回眼科いかないといけないから明後日か」
「いいわよ」
3日後
担任教師が朝のホームルームで話した。
「えー皆さんにお知らせです、佐藤実奈さんが家庭の事情出た名字が高橋に変わったのでこれからは高橋さんと呼ぶように―」
「―席もあいうえお順で高橋の後ろに変わります」
席を移動させて樹理の後ろになった。
隣の席になった女子の友達に
「実奈、高橋と結婚したの!?16歳なのに!?」
「お母さんが高橋さんという人と再婚しただけだよ、それに高橋さんって名字の人沢山いるでしょ」
樹理が前の席の男子に話しかけられていた。
「お前の親父さんが再婚した相手が佐藤さんの母ちゃんだったら面白いのにな」
「そうだな」
「お前、眼鏡変えた?」
「ああ、フチなしの、実…奈が見繕ってくれて」
「のろけか」
樹理は思った 鋭いな、と。
30分前
「親同士が再婚したことはないしょにしましょう」
「ああ…」
「あと名字が同じになるわけだから偽装とはいえカップルなんだから下の名前で呼びましょう」
「おう…―」
「―すると俺は樹理で」
「私が実奈」
「じゃあ呼ぶぞ」
「うん」
「実奈…?」
「樹理…?」
「…………」
「…………」
二人とも恥ずかしくなって顔がボンと赤くなった。
「なんか照れるな」
「やば、なんか恥ずかしい」
「慣れるしかないな」
「そうね」
現在
((絶対にばれないようにしないと面倒なことになるな 何とか隠し通そう))
2週間後
転校生のヤンキー女子が樹理を見て言った。
「なあ、あれ誰?」
左右いる男子の肩に手を回して運んでもらっている樹理がいた、噂が消え晴れやかな表情が戻った。
「重いんだよ高橋~」
「いいじゃねえか」
「怪我もしてないのに運ばせるのやめろよー」
「あれは生徒会長、この前カノ―」
「ふーん、なんかいいな」
「え?、うん」
放課後
「おい会長」
「ん?」
樹理はヤンキー女子に声をかけられた。
「ちょっとこっち来てくんねえ?」
と言って校舎裏を親指で指して言ってきた。
「えっ、ああ…」
私は女子の友達歩いているときにヤンキー女子についていく樹理を見かけた。
「ーでさ~、ん?―」
「樹理と一緒にいるあのヤンキーみたいな女子は誰だろう?」
「あれは2週間前に転校してきて登校2日目からヤンキーファッションで登校するようになって話題になっている噂の普通科の子だよ」
「へぇ…」
嫌な予感がする。
「ちょっと用事ができたから先に行ってて」
「え、ちょっと、実奈」
ヤンキー女子が校舎裏に樹理を連れてきた。
「よし、じゃあ、ここでいいか」
校舎の陰から実奈が様子をうかがっている。
ヤンキー女子が樹理に切り出した。
「お前、私と付き合ってくんねえ?」
「あ?、何言ってんだ貴さ―…いや…」
樹理は思い出した、実奈に言われた『誠意をもって断る』という言葉を。
地面に膝をついて、財布を出して言った。
「すいません許してください、何でもしますから」
「カツアゲじゃねえよ」
「違うでしょぉぉぉぉぉ!!」
実奈が思わずその異様な雰囲気に叫んでツッコんでしまった。
樹理に近づきながら言った
「もう立って、財布しまって!―」
「―ごめんね、これうちの彼氏だから」
「本当か?」
「えっ…あっ本当だ」
「彼女いるなら早く言えよ怒らねえから―」
「―それならもう用事がねえから帰るわ、悪いな引き留めて、じゃあな」
ヤンキー女子は清々しく帰った。
ほっとした実奈。
そして樹理に対する。
「なんで財布出して謝ってたのよ!?」
「誠意を見せなきゃと思って…」
「なんでお金出すのよ?」
「誠意は言葉じゃなくてお金って聞いたから…」
「どこ情報よそれ?」
「ネットで見て」
「それちょっと違うし間違えてるしネタだから!」
「え!?」
「もう…」
これは自己肯定感が低い学年一の美少女である女の子と女性不振の生徒会長である義兄弟の男の子の偽装カップルである二人が
本当のカップルになる物語だ。