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104 ヘレンの願い その2

「はぁあ? 世界征服するぅ?」


「そうだよカリノス。あたしとぐえちゃんでね」


 朝になってキッテは行動を開始した。

 手始めにこれからの事をカリノスに伝えに来たのだ。


 朝の忙しい時にそんなことを伝えられた彼の反応も分からんこともない。

 とはいえ大切な事だ。しっかりと伝えておく必要がある。


「何を言ってるんだヘレン? 悪いものでも食べたのか? 魔物とか拾い食いしてないだろうな?」


 うん。正常な反応。キッテに対する食の信頼の無さがうかがえる。


「本気本気。分からない? それなりの時間一緒にすごしてて、それにカリノス、あたしの事よく見てたはずなのにね」


「っ……!」


 キッテの放つ圧を感じてカリノスの表情が変わる。


「私が王女様。手始めにリヴニスの翼を制圧して、その後リヴニスの地を支配して、次はアースザインかシーヴルか、あ、魔物たちでもいいかな。全てを圧倒的な力でねじ伏せて、あたしがその頂点に君臨するの! あは、あははははっ!」


「く、狂ったのかヘレン! まさか、お前がヘレンをおかしくしたのか!」


 ギロリと睨まれる。


「失礼だぞカリノス。あたしのぐえちゃんに敵意を向けるなんてな」


「ヘレン……。どうやら冗談ではないようだな」


「ええ。さあ、どうする、あたしに屈するのか? それとも滅びるのか?」


「何故だ……」


「ん?」


「何故、俺たちリヴニスの翼を、仲間を支配する必要があるんだ! お前が世界征服をしたいというのなら手伝ってやる! 俺だけじゃない。皆だってそう言うはずだ!」


「はぁ……。知将ともてはやされててもそんなことも分からないのか。答えは最初に言ってるのにね。残念だよカリノス」


「なんだと?」


「あたしは全てに君臨したいの。だから世界征服する。全ての人間を、生き物をひれ伏させてその上にね。だから同じ目線の生き物は必要ない。仲間面するリヴニスの翼はその最たるものさ」


「本気で言ってるのか……?」


「冗談でこんな事は言わないよ。さあ、もう一度聞こう。あたしに屈するのか? それとも屈するのを拒んで滅びるのか? どっちだ、カリノス」


「馬鹿にするなよヘレン。俺たちリヴニスの翼は何者にも屈したりはしない!

 これまで働いてくれた情けだ。追放するだけにしておいてやる」


「ほう」


「トルナ氏族のヘレン! お前をリヴニスの翼から追放する!」


 カリノスのその声はこの様子を見守るすべてのメンバーの耳に入った。


 ◆◆◆


 その日を境に、リヴニスの地には新たな勢力が生まれることになった。

 突如となく現れ、アースザインやシーヴル、魔物だけでなく、リヴニスの民へと襲い掛かる10個の歯車の紋章を持った軍勢が。

お読みいただきありがとうございます。


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