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魚
真っ直ぐ進めば
背を滑る水の手と
腹をくすぐる水の指が
僕の大きな喜び
上を見上げれば光の網
この位が丁度良い
まともに浴びたら潰れてしまう
だけどこうして時々
少しだけ顔出して
受け止める陽は暖かい
逆さに潜れば
頭を包む泡粒と
尾ひれにぶつかる泡玉が
僕の好きな瞬間
ふと感じれば揺れる波
この位が丁度良い
まともに吹かれたら乾いてしまう
だけどこうして時々
勢い良く跳ね上がり
触れる風は清々しい
海は空模様を映して広がる
遠くにあれど 一対の鏡
だから僕はこの海と同じに
あの空も愛している
恐れなんか何もない
こんな特別な場所に生きた
僕は幸福さ