掴めぬほどに

　この手を滑る水の糸

　何とも澄んだ音なのに

　掴めぬことよ

　この目を掠（かす）める光の矢

　何とも眩しい色なのに

　掴めぬことよ

　この胸を過（よぎ）る恋の季よ

　何ともときめく香りなのに

　掴めぬことよ

　いとおしいほど掴めずに

　掴めぬほどに狂おしく

　狂おしいほど形は無い

　◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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―　新着の感想　―

[一言] 　掴めないほど、手応えはないのに。　手触りだけやけに、指先に残る。そんなものがあったりもします。

2023/07/22 19:47 歌川詩季

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