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やや薄れた記憶
やや薄れた記憶を
枕に重ねて見たものは
あの日以上に鮮やかで
あの日以上に形ある夢
霧ひとつない晴れた色は
朝を知る迄の現実
涙知る時の幻
やや薄れた記憶の
傷んだ所には穴空いて
あまりにあやふやな事に気付く
その綻びを美しい創造で縫い合わせ
どこまでも
永遠に紡いでく
やや薄れた記憶は
「思い出」と呼べるものだから
真に薄れることはない
時と幾重も重ねる度に
柔らかく確かな
不思議な感触を醸し出す
心地の好い切なさで
やがて傷をもあたためる