下調べ
「いかがですか?これがマーメイドに伝わる種族を変える魔法です」
「信じられねぇ・・・。まさか本当にできるとは・・・!」
正直、嘘だと思っていた。
だからこそ、余計に魔法が実在したことに驚愕し、そんな魔法をこの目で見れたことに、嬉しさが込み上げてくる。
また、その嬉しさからか、全身がフワフワと空中を彷徨っているかのような、高揚感に包まれている。
「それで、立てそうか?」
セレスティーヌは何度か立ちあがろうとしたものの、やがて弱々しくフルフルと首を横に振った。
「まだ難しいですねぇ」
そう言いながら、セレスティーヌは変化した二本の足を寂しげに見つめながら、優しくさすった。
「まさか、マーメイドの時と足の感覚がこんなにも違うなんてねぇ。足にまったく力が入らないわ」
それじゃあ、と魔王は座り込んだままのセレスティーヌへと手を差し伸べた。
「歩く練習から始めるか!」
2・3度目をパチパチと瞬かせ呆けるセレスティーヌは、ふふっと嬉しそうに微笑んだ。
「そうねぇ!じゃないと、観光できないものねぇ」
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2時間ほど歩く練習をしたセレスティーヌは、杖を使いながらではあるものの、なんとか1人で歩けるようになった。
さすがに年齢と慣れないことをしたためか、セレスティーヌが疲れ果ててしまって動けそうにないため、魔王たちは砂浜で30分ほど休憩をとってゆっくりと町へ戻っていった。
「さて、歩くこともできるようになったし、どこに行きたい?一応下調べはしてきたから、ある程度だったら案内できるぞ」
「え!?魔王様そんなことしてたんですか!?」
シエラから驚きの目を向けられた魔王は、ふふんと得意げに鼻を鳴らした。
「今回の相談は町案内だからな!しっかりと調べてきたさ」
そんな二人のやり取りをセレスティーヌは、自分の子どもを見るかのように優しい目つきで見つめていた。
「で、どこに行きたい?」
「そうねぇ…。せっかく下調べしていただいて申し訳ないですが、ぷらぷらと気ままに町を見ていきたいわぁ。それに、お二方と一緒なら、どこでも楽しそうですからねぇ」
「そ、そうか…」
せっかくの下調べが無駄になり肩を落とす魔王だった。




