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魔王のお悩み相談室  作者: 黒猫 くろと
6章 マーメイド
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マーメイド

 手紙に書いてあった通り、砂浜の奥へやって来た魔王とシエラ。

 だが、辺りを見渡しても、行き止まりとなっている大きな岩と、砂浜と海が広がっているだけで、他には何もない。

「魔王様、本当にここで間違いないんですか?」

「ああ、そのはずだが・・・」

 間違えたかもしれないと、(ふところ)から手紙を取り出して確認するが、やはり指定された場所はこの砂浜で間違いない。

 2人がどうしようかと悩んでいると。

 〜〜〜♪

 岩の向こう側から美しい歌声が聞こえてきた。言葉は無いのに、「こっち」と自分たちを呼んでいる気がする。

 魔王が岩の上に乗って確認すると、砂浜はさらに奥へと続いていた。

 岩の上からぴょんと飛び降りた魔王は、シエラを連れて岩を飛び越えて、2人で奥の砂浜を歩き出した。

 歌声に導かれるように魔王たちは砂浜を進んでいく。砂浜は町の壁伝いに湾曲して続いていて、どんどん狭くなっていく。ちょうど町の左側へ着いたところで、公園の砂場ぐらいの広さはある、広場のように砂浜が広がった場所へ出た。

「魔王様!あれ!」

 シエラが指を指した方向を見ると、岩礁の上にマーメイドのおばあさんが美しい調べを歌っていた。


 マーメイド。

 海に生息しているヒト型の魔族。しかし、吸血鬼など他のヒト型の魔族のように2本の足が無く、下半身が魚のようなヒレになっている。また、口とは別に首にエラがあるため、進化の過程でより水中での生活に適応した種族である。

 マーメイドの歌声には魅了(チャーム)の効果があり、昔は船乗りたちから恐れられていた。現在は船乗りたちと仲が良く、魚群の場所を教えたり、予期せぬ嵐でピンチになった船を助けたりしている。

 また、歌に自身がある者は航海中の船に飛び乗り、魅了(チャーム)無しの歌を歌うことでチップを貰って生活していたりもする。この歌は船乗りたちの間では、海での唯一の娯楽として大変好評だ。


「お~い!」

 声をかけたことでおばあさんは魔王たちが来ていることに気づいたようで、歌うことを止めて、チョイチョイと手招きした。

 魔王たちは手招きされるままに、岩礁に一番近いところまで歩いていき、おばあさんと対面した。

「魔王様、ようやくお会いすることができました。はじめまして、わたしはセレスティーヌ。815歳の、マーメイドでございます」

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