表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王のお悩み相談室  作者: 黒猫 くろと
5章 ヒト族 その1
64/86

記憶喪失

 なんとか少女を落ち着かせ後。ベッドに少女が座り、その対面に魔王が椅子に座り、魔王の左右にそれぞれシエラとセバスチャンが立つ形で、少女と魔王たち三人は相対していた。


「つまり、自分が誰だか分からなくて、ここがどこかもどうやってここに来たかも分からないと」


「…はい」


 落胆する少女の様子は、嘘をついているようには微塵も見えない。


「ご自身と関わりの深い方々、例えば家族やご友人などのことは覚えておられますか?」


 セバスチャンの問いに、なんとか思い出そうと顎に手を当てて少女は唸る。だが、結果はフルフルと首を横に振るだけに終わってしまった。


「魔王様、なんとか思い出させることはできませんか?」


「なんとかって言われてもな……」


 シエラの無茶振りに、思わず顔を(しか)めてしまう。


(俺だってなんとかしてやりたいが…)


 記憶喪失なんて、御伽話(おとぎばなし)か何かだと思っていた。それがいきなり目の前で起こってるだけで、こっちが混乱しそうだ。


 具体的な解決策を考えようにも、そもそも何も覚えていない以上どうすることもできない。


 現状は完全に手詰まり。


 魔王は額に手を当てて天を仰ぐ。それから、思いっきり両膝をパン!と叩いて勢いよく立ち上がった。


「うだうだ考えてたってしょうがない!幸い今日は『魔 王(サタン・)(フェスティバル)』の準備で、いろんなやつが城下町に集まってる。1人ぐらい知り合いがいてもおかしく無い。城下町へ行くぞ、アノ!」


「…アノ?」


 少女は目を点にして首を傾げる。


「名前が無いと不便だろ?それともアノって名前は嫌だったか?」


「ううん……すごく、良い名前だと思う」


「よし、決まりだな!とはいえ、朝は相談室の仕事があるから、城下町に行くのは昼からだ。それまではこの部屋でゆっくり…」


「あ、あの!」


 魔王がいい終わる前に、シエラが右腕をピンと上げて一歩前に出た。


「それでしたら、魔王様がいない間、私に聞き込みをさせてください!」


「良いのか?お前も城内の掃除とかで忙しいだろ?」


「それぐらい後でどうとでもしてみせます!」


 シエラは服越しに全く無い力こぶを作って見せる。


「分かった。そしたらお願いするよ」


「ありがとうございます!ほらっ、一緒に行こう!」


 そう言って、シエラはアノへと手を差し伸べる。


 その手をアノは恐る恐る掴んだ。シエラの引っ張られるようにして立ち上がり、一緒に部屋の扉まで歩いていく。


「それでは行ってきます!」


「ああ。俺も相談が終わったらすぐに合流するから、それまでの間頼んだぞ」


「はい!」


 一度魔王へとお辞儀をして、シエラはアノとともに魔王城を出立した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ