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魔王のお悩み相談室  作者: 黒猫 くろと
4章 リザードマン
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謎は深まるばかり

「それでは、お家まで案内いたしますね」


「ええ。お願いするわ」


 シエラを先頭に、アイリスとアズリエルが相談室から退室していく。


 一通り落ち着きを取り戻した後。家の場所を前もって知っていたシエラが、三人の新居へと案内することとなった。


「さて。アーレンス、報告を頼む」


 魔王が放った言葉を皮切りに、相談室の空気が一気に張り詰める。


「町の鍛冶屋にオークたちの装備を見せたんだが…ほとんどが鉄や鋼製だった。だが、『凶豚たちの王(オークロード)』が身につけていた装備だけは、ミスリルでできていたそうだ」


「ミスリルか…」


 アーレンスの報告を聞いた魔王は、『凶豚たちの王(オークロード)』の防具に使われていた金属がミスリルと聞いて納得がいった。


 ミスリル。その硬さはオリハルコンに次いで硬く、鉄や鋼よりも軽いという性質を持つ。その特性故に、武器に加工すれば絶大な威力を、防具に加工すれば圧倒的な防御力を誇りつつ、鉄や鋼の装備より軽量という、どちらにしてもぶっ壊れた性能の装備を作成することが可能だ。


 世に言う一級品と名の付く装備の大半が、ミスリルを使用して作られた装備と言っても過言ではない。


「あいつらはいったいどこからそんな装備を手に入れたんだ?」


 ミスリルはオリハルコンほどではないにしろ、希少性はかなり高い。


 少なくとも魔物が手に入れるなんて不可能だ。


「今は考えても仕方ないんじゃないか?それよりも、俺はセバス殿の情報が聞きたい」


「それもそうだな」


 考えを巡らせていたところを、アーレンスに諭されて中断する。


「セバスチャン、この一週間でオークたちについて何か分かったことはあるか?」


 セバスチャンは襲撃があってからの一週間。地下牢にいるオークたちの監視、さらにはオークたちの情報収集を行っていた。


「色々調べはしたのですが……どこから現れたのか、装備はどこで仕入れたのかなど、そういった情報は一切手に入りませんでした」


 ですが、とセバスチャンは言葉を付け足す。


「どうやらあのオークたち、拙いながらも言葉を話すことが可能のようです」


「「なっ!?」」


 セバスチャンの報告に、魔王とアーレンスは目を見張る。


 魔物はその生まれ故に知能が著しく低く、言語を習得するなど不可能だ。


 そのため、言葉を話す魔物なんてものは前代未聞だった。


「セバス殿、オークたちとは会話できるのですか!?」


 衝撃から先に立ち直ったアーレンスが、真剣な表情でセバスチャンを問いただす。


「会話できるかはまだ分かりません。なにしろ、こちらから話しかけてもしゃべろうとはしないのです。ですが、ここからは私の推察となりますが、オークたちはこちらの言葉が分からない訳ではなく、どうも無視しているように感じて仕方ありません」


 そこまで話したセバスチャンは、今までよりも真面目な顔になって話を続けた。


「見張りの兵から聞いた話ではあのオークたち、口々に『ヒメサマ』と呟いておるそうです。確証はありませんが、オークたちを襲撃させた者かと」


 ミスリルの装備。オークの額に書かれた先代魔王の絵。そして、オークたちが呟く『ヒメサマ』の存在。


 必死に考えを巡らすが、これだけの情報では何も分からない。


 深まっていく謎に、三人は頭を抱えた。


「『ヒメサマ』…一体誰なんだ…?」

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