閉幕
「お疲れ様です」
アズリアルが出て行った出入口を眺めていると、シエラがいつもとは違い元気なく労いの言葉をかけてくれた。
「ああ、お前もな。とはいえ、俺たちは何もしてないけどな…」
魔王はおどけるように小首を傾げて苦笑する。
そして、未だに空を見上げたまま固まっているアーレンスを見て、言葉を継ぎ足した。
「本当に労われるべきなのは、あいつと兵士たちだろうな」
「それとベルフェルトさんですね」
「ああ。ベルフェルトには、今度ちゃんとお礼を言わないとな」
そもそも心優しいベルフェルトは、シエラと同じで計画には猛反対だった。
しかし、何度もお願いしたことで渋々協力してもらえることになった経緯がある。
そんなベルフェルトに、ただただ子どもを怖がらせる役割を任せてしまったことを、きちんと謝らなければならない。
魔王とシエラが黙ったことで、普段は兵士たちの声で活気づいている訓練場は静寂に包まれる。
そんな状態だったからだろう。その場にいた全員が、どこか遠くから聞こえてくるバタバタという足音が、訓練場へと近づいていることに気が付いた。
一同はアズリエルが戻って来たのかと思い、期待の眼差しで出入口へと目を向ける。
しかし、予想と反してやって来たのは血相を変えて慌ててやってきた、一人の若いリザードマンの兵士だった。
「何が起こった!?」
「何か問題ですかな?」
アーレンスとセバスチャンは即座に危機を察知し、若い兵士へと事情を問いただす。
若い兵士は息も絶え絶えに、凶報を轟かせた。
「じょ、城下町が…城下町がオークたちの襲撃を受けています!!!」
その報告を聞いた直後、アーレンスとアイリスは顔を真っ青にして城下町へと駆け出した。
「魔王様、シエラ様、私はこの方から詳しい情報を聞いてから参りますので、お二人はアーレンスご夫妻を追いかけてください!」
「ああ!」
「分かりました!」
セバスチャンに促された二人は、アーレンスとアイリスを追う形で城下町へと駆け出した。




