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ユリーの困惑



妾の国サライは、水の神ワラが建国したと言う神話の中でたゆとうておる様な、武力もかと言って他を圧倒的に屈服させる様な経済力を持つ訳ではない、唯、女性達から、可愛らしい神話の国として、観光客で賑わうだけの国。

それでも、隣国に飲み込まれずに今日迄存在し得たのは、ワラの力。

我がサライ国は、山間の、霧深い奥地にある。

のみならず、その霧は悪意を持って我が国を訪れ様とする者を拒絶する。

そう、霧の中で迷い、辿り着けぬと言う。

そんな、現実から隔絶された様な地で、生まれ育った妾に縁談が持ち上がった。持ち上がった時には、決定事項として、嫁ぐ事が定められたのだ。

経済、軍事力共に圧倒的な力を誇るリルド皇国の皇太子ある、アンドリュー・フォン・イ・ル・リルド17世。

侍女達は、

「姫さま!白馬のお似合いになりそうな、美丈夫な皇子様ですわ!」と大騒ぎし、妾の輿入れに随行する5人の侍女に入らんと皆、自己アピールに姦しい。

この婚姻は、無論、政略結婚である。水の神の末裔である妾を魚と龍が欲しがり、父上が、龍を選んだに過ぎない。

我が国は、経済的援助と軍事的保護。

思えば、リルドは、妾以外何を得るのか?甚だ疑問である。

妾には、年の離れた弟がおり、まだ、5歳のハロルドを両親は、溺愛している。

つまりは、彼が王位を継ぐに充分な歳になるまで、妾がリルドの皇后として、このサライを護れと言う事なのだろう。

ハロルドが生まれる5年前迄は、わらが、後継であった。

ああ、過去の述懐は止そう。それ程無意味な徒労はないのだから。


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