レオニードの述懐
魔物が出たとの報告を受け、本来であれば我等近衛大隊の仕事ではないのだが、今の時期は毎年、収穫を狙って近隣諸国から野盗がかなり出る。我が国は、南に海を持ち、北にユラリラ大山脈、山並みを隔て北限の地であるアルラ王国、東は東華人民共和国と北宵鮮国、西はコットンロードの遊牧民であるマテテ、と西欧諸国に挟まれている。ナラ国、サライ国もこの中に入っている。
その数ざっと8ヵ国になる。故に、全兵士の出兵で、国全土を包囲し、護るのだ。勿論、魔法部隊も例外でない。ただ、彼等の場合は、能力の特異さから、本人の持つ能力により、数人ずつのパーティを組み、其々の部隊に配属され、共に戦う。
その負担を減らす意味でも、我が国も、隣国においても、王族の婚姻に依る平和的同盟を推し進めて来た。
しかし、王族は、どの国においても存在起源の不可思議さか、御子の数が極めて少ないのだ。王一代に、御子がお一人と言う事も珍しくない。無論どの国も側室を設けているが、、、
前述した、存在起源と、言うのは、どの国の王家も、この世界の神を起源に持つのだ。
因みに我が国は、龍神。
サライ国は、水の神。
ナラ国は、魚神。どちらにしても、水を欲しがるのは何となく理屈でなく、腑に落ちると思う。
話が脱線したが、先の出兵の話に戻る。と、言う訳で、この時期、国内で起こる様々な事件には、警備警察省が当たるのだが、魔物退治などと言う荒事には我等近衛大隊にお鉢が回って来るのだ。
そこで、この組織についてだが、皇太子殿下を将軍に頂き、私が大隊長を務めている。
因みにこの世界では、魔法は、大なり小なり皆、子供の頃から使える。
只、誰でも何でも出来る訳ではなく、水・金・木・地・火と言う5つの属性のどれかに属する魔法を使うことになり、大抵は遺伝で属性が決まる。その為、婚姻に当たり、欲しい属性を持つ家系を選ぶ。勿論家格は大事だが、、、
中でも、少ないのは、金。
あ、最も少ないのは、光属性で、これは、どの国においても、王族にしか出現しない。
王族にも、基本的には、出現起源から来る属性とは別に魔法属性は、存在するが、秘匿されている。それは国の明暗を決める切り札にもなり得るので当然とも言えるが。
何故秘匿され得るかと言えば、大抵王族であれば、3つは、普通に使えるから、わからないのだ。
光については、隔世で、現れる事が殆どのようだ。
因みに、我がアンドリュー皇太子殿下は、御生まれになった時から、この光魔法を使われていたと言う凄い方なのだ。
かなり、説明が、あちこちに行ってしまったが、あ、因みに私の渾名は「脚注」である。無論命名は、殿下だ。最初は、補足説明の補足だった。嫌だと全否定したら、そうなった。それ以上酷くなっても嫌だったので甘んじて耐えた。
そんな、経緯で、我等が城の裏山に出たと言う魔物退治に出掛けたのだ。魔物は、光魔法で、殿下が一瞬で消して終われた。光が納まり、何故か殿下はその場に倒れて仕舞われたのだ。
あの時、そう、殿下が出す光の色が常とは違っていたのだ。
何時もは、殿下のシンボルカラーとも言うべき銀蒼なのに、あの時は何故か黄金だったのだ。
進化されたのかと、光の美しさもあり感動しながら、見惚れていた、、、
魔物は、一瞬で消えた。そうして、
殿下が、倒れられたのだ。