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My Demon  作者: 加賀屋 軌
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下草凪

「ああ、夏だーなー」


あまりの暑さとつまらなさでIQが60ほど低下した私は、先程から同じ言葉を延々と繰り返し続けていた。一応は、少し前を歩くこの男に向けて。


時刻は3時、今の私と同等の知能を持つであろう幼児達が先生からおやつを貰ってキャッキャウフフと喜んでいる時間だ。羨ましい。


それに比べて私はなんだ。炎天下を2時間近く歩き続け、鬱屈な気持ちを紛らわす為に発する言葉の尽くを塩対応で返され。泣くぞ、オイ。


「大丈夫か?」


私が急に黙り込んだせいか、それとも産まれたてのエイリアンみたいな歩き方を始めたせいか、男はようやく言葉を発した。顔が若干引きつっているので、多分後者。


「……………………けっ」


まともに返すのがなんとなく癪だったので、こっちも塩な対応をしてやることにした。私と同じ気持ちを味わうがいいけっけっけ。


内心でそんな悪態をつきながら、エイリアンベイビーな歩き方を矯正する。ハタチ目前のぴちぴちレディーにとっては、少し恥ずかしい行為だったなとちょい反省。そして、3年前の自分なら続けていたな、私成長したな、なんてちょい感心。プラマイ0である。





「ねえ、いつ見つかるのよ」


10分近く互いに無言で歩いた後、我慢しきれなくなった私は口を開く。もうかれこれ2時間以上も真っ黒のコンクリートの上を歩き続けているのだ。この街はそこまで広くないし、予定通りなら既に見つかっている。


てゆーか、こんな人もいない観光名所もない田舎町で私は何をしているのだろう。思い出そうとするも、暑さで頭が働かない。ガンバレ、思い出せ私____












「ねぇ凪、パパの知り合いがね、今手が足りないからってバイト探してるみたいなんだけど、どう?」


私の高校時代からの友人である金持ち茶髪ボブこと白崎カナエは、二人がけテーブルの私の前の席に座るなりそう言った。


いつも来る日本で1番有名な某オシャレカフェ、いつも飲むマンゴー味のドリンク、いつも遊んでいる金持ち茶髪ボブ。数年前から続くいつもの光景である。


「どうしたのよ、いきなり」


「凪、前の仕事首になったから新しいバイト探してるって言ってたでしょ?」


ニコニコしながらカナエは言う。まるでお手本のような笑い方だ。何度この笑顔に騙されてきたことだろう。


「またなんか企んでるでしょ」


じっと睨めつけながらそう言ってやる。こいつの笑顔には騙されないと私は誓ったのだ、2ヶ月前に。


「何も企んでないよ~。あ、もしかしてまだ根に持ってるの?近くの公園に徳川埋蔵金が埋まってるって嘘ついたコト」


「ぐっ…………」


「まさかホントに探しだすとは思わなかったな~。深夜にスコップ持って穴掘りして、挙句にお巡りさんに職務質問されるとはね~~」


本っ当に性格が悪い女だ。すぐ信じる私も悪かったけど、それでもやっぱり恨まざるをえない。


「心配しないでよ、凪。今回は本当の本当に本当なんだから。」


信じない信じない。こうやって前も騙されたのだ。カナエの言うことは全て嘘に違いない。


「パパの知り合いのサンズさんって人が、害獣駆除?の仕事をしててね」


ああ、カナエの言うことが全て嘘に聞こえる。パパの知り合いでも害獣駆除の仕事でもないに違いない。


「人手が足りないらしくって、バイトに来てくれる人を探してるらしいんだ」


嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。


「もし働いてくれるなら、日当10万円は下らないってさ」


「やります!!」


私はお金に弱かった。




アドバイスやご感想、お待ちしています。


状況描写が足りてない気が……

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