3冊目 ソウスケ・イン・ザ・プリズン
あの後、宗介は監獄に潜入してきたスパイとして、この牢屋に投げ込まれた。
「ごめんねー。突然で悪いけど、もう君ここから出られないからー」
と、軽い口調で言ったのは、ここで働いている女性らしい。
女性の人にあんな軽く投げられたのか。と、落ち込む一方、あの女性が何を言ってるかわからないが、今の状況は良くないと宗介は判断した。
「おい、ちょっと待て。俺は一体どうなるんだ!」
女は無視して立ち去った。
『あ、その牢屋にはもう一人い入っているけど、とっても凶暴だから殺されないようにって言おうと思ったけど、あの人なんて言ってるかわからないし、あの人もわかってないっぽいからまぁいいやー』
立ち去り際、女がそう思ったのは宗介には知るよしもない。
「一体どうなってるんだ! わけのわからないところに着いて、牢屋なんかに放り込まれるなんて」
鉄格子をガンガン揺らしながら、愚痴をこぼしていると、
「もー、うるさいなー。静かにしてよー」
背後から女の子の声が聞こえてきた。
「誰だ?」
宗介の問いかけに対し、
「誰だ。って酷いなー。僕の方が先に入っているんだからそれは僕のセリフなのに」
と、言いながら、女の子は姿を現した。
そして、その姿に宗介はしばらく固まっていた。
街中で見た少女と同じような銀色の長い髪に紅い瞳、背中に生えた翼、あの羊みたいに頭に小さな角が生えていて、その姿は小さいながらも、悪魔を思い浮かべさせた。
「人間じゃない…?」
「そりゃ、人間じゃないもの」
など会話していると、ある事に気がついた。
「……いや、なんで言葉が通じているんだ?」
その問いに対し、まるで待ってました。と言わんばかりの勢いで、
「言葉が通じているんじゃないの、僕がおにーさんの言語に合わせているの」
と、自慢げに言った。すると、少女はふと考え始め、何かを閃いたのか、
「んー、でもこれだとおにーさん、ほかの人と話せないから、僕からプレゼントをあげるよ」
と、言いながら少女は宗介に近づいて行くと、
「フンッ!!」
思いっきり宗介の腹を殴った。
「ゴフゥッ!!?」
突然の出来事に、宗介は何も出来ずにボディーブローを完璧に食らった。
辛うじて意識が残った宗介は力を振り絞って、
「お…い…。なに…をし…た…」
これに対し、少女は
「ん?おにーさんに魔力を流し込んだの」
と、さらっと言った。
「ま…りょ…く…?」
不思議そうに聞いてくる宗介に少女は驚いたのか、また少し考え始め、何かに気がついたのか宗介に向かって、
「まさか、おにーさんの世界って魔力ないの!?」
と、聞いてきたので
「俺の…世界?何を言っているんだ?」
少し痛みが引いてきた宗介はまた不思議そうに聞いた。
すると少女は
「あー、まぁとりあえずこの世界はおにーさんがいた世界とは別物だと考えといて」
雑に流された。
「そんなことより、ほらおにーさん。ちょっと、向かい側のあの子に話しかけてきてよ」
何やら重要なことをそんなこと扱いされたのを複雑に思い、向かい側の牢屋に目をやると、向かい側の人と目が合った。




