17冊目
一方その頃、向かい側に住むミルの屋敷では夕飯の支度をしているところであった。
「只今戻りました」
荷物を抱えながらドアを開けてセツは屋敷の中に入る。
「セツ! 帰ったらさっさとドアを閉めなさい! 冷気が入ってきて身体が冷えるザマス!」
ミル達は暖炉の前から一向に動こうとせず、休息をとっていた。
「すみません。……そういえば私の家にアンリさん達がいらっしゃっていましたけれど――」
「セツ、あそこはもうあなたの家ではないと言っているでしょう」
ミルがセツを睨みつけ、セツは口を紡ぐ。
「あれから何回もいろいろな方が調査していますが一向に進展していないのに頑張りますわね」
「私としては早くあの忌々しい氷を溶かして欲しいですわ。冬になったら私、家から一歩も出たくありませんわ」
ミルの妹達が高らかに声を上げる。
「セツ、それで買い出しは済んだザマスか? 作り置きのまま出て行って私達を餓死させる気ザマスか」
「すみません。今すぐ作ります」
セツはテキパキと料理を作り机に並べて行った。そして最後にスープを味見して終わるところまで進んだ。しかし、セツがスープの味見をした瞬間、セツは持っていた小皿を落とし、喉が焼けるような痛みを覚えて床に倒れる。声を出そうにも上手く声が出ず、代わりにミル達の笑い声が屋敷に響いた。
「あらあらセツさん? どうしました?」
セツは助けを求めようと声を出そうとするが、痛みによって声が出せない。
「あらあら、無理に声を発しては自分が苦しむだけですよ」
「私たちのスープのお味いかがでした?」
状況が読み込めないセツに対し、ミルは冷たく、
「もう被害者ごっこはお終いザマス。セツ」
「……?」
「まだとぼけているつもりザマス? あなたが屋敷を凍らし冒険者を襲っていたのも、それを私達が匿っていたのも知らないと言い切るザマス?」
セツは首を横に振るが、ミルはセツの顔を蹴り、
「まぁ別にいいザマス。あの男、私達を疑っているようですしこれ以上あなたに情報を喋ってもらうのは危険ザマス」
「私達としては、懸賞金が貰えて、さらあ静かに暮らすことが出来ていい事尽くしですよ。あ、でもその靴は高く売れそうですから私によこしなさい」
抵抗するセツを無視し、ガラスの靴に触れたその瞬間――。辺りに冷気が漂い、一瞬のうちにミル達の屋敷は氷で覆われた。




