14冊目 ベルゲート王国
ベルゲート王国はドラ・フィアス王国から電気トロッコという電車のような乗り物で向かう事になった。
ベルゲート王国はドラゴンの搭乗も禁止されており、この電車トロッコの移動が一番早く着くという。
「もうすぐ着きますよお」
ピュエールに言われ外の景色を見ると、周りは壁に覆われ、上には大砲がズラっと並んでいた。
「なんか……凄いっすね」
「そりゃそうですよお。世界一安全な国であり世界一危険な国として有名ですからあ」
トロッコから降りて、門の前で入念な検査を受け一時間、宗介はようやくベルゲート王国に入る事が出来た。
「まさか、一時間もかかるとは」
「すみませんねえ。最近では人間に変装する獣人が増えてきましたのでえ。王様は極度の愛国者で他の文化などは一切持ち込ませないお方ですのでえ」
国の中はドラ・フィアス王国よりも発展しており高度な技術を持っていることがわかるが、これも異界人の影響だと考えるとなんとも皮肉な話である。
「確か、この辺で王様が待っているとお……」
「ここですよー、ピュエールさん」
大広場の方から女性の声が聞こえると思うと、ピュエールは宗介の腕を掴み、全速力で走って行った。
「は! このピュエール、只今参上致しました!」
普通に話せるんかい。と、宗介は思いながらも、ピュエールが向けている方に目をやると、神官のような服を着た女性と、アーサー王とはまた別の威圧感を放つ男性がいた。
「おい、ピュエール。俺はこんな軟弱な奴を連れてこいとは言ってないぞ」
男性の言葉にピュエールは尋常じゃないほどの汗をかいている。
すると女性が割って入り、
「王様、あまりピュエールさんを責めないで下さい。王様も助っ人が来ない可能性の方が高かったんだから」
王様と呼ばれた男は不服そうな顔で言葉を切った。
「さて、初めまして冒険者さん。この人はベルゲート王国国王オーベルグ・ソウルハート様でございます。そして私は国王の側近をやらせていただいている処刑人アンリ・ユミルと言います。以後、お見知り置きをを。そしてこれは友好の証としてこれを」
アンリと名乗る女性はそういうと金貨を渡した。
「まぁ、友好の証といっても今回の依頼の前払いとでも思っていて下さい」
宗介に色々と説明をしているアンリの後ろでオーベルグが宗介をジッと睨みつけていた。
「おい、ピュエール。いつからこの国はあんな生き物を入国可能と決めたんだ」
オーベルグが見ていたのは、宗介の後ろで飛んでいた小さくなった魔龍であった。
「あ、エルのことですか?えっと、こいつは俺のペットでして……いやでもこんなに小さいので害はありませんよ。あはは……」
エルというのは昨夜イラが勝手に付けた名前だが、言いやすかったのでそのまま使っているというわけだ。
流石に一人では心許ないので、こうして連れてきたというわけだ。
「……まぁいい。それよりも現場に案内してやる。後を付いて来い」
エルのことは特に追求せず、オーベルグは歩いて行った。
オーベルグ達に付いて行って三十分くらい経つところに事件現場の氷漬けの屋敷があった。
「被害者はこの屋敷の当主ダンテ・ホワイト氏。近所の者が急に寒さを感じ、外に出るとこのような状態になっており、今も溶けずに事件直後の状態を保っているのです」
確か事件は一カ月前らしいからこの状態をずっと保っていたのか。
と、宗介は感心していると、
「この有様なので証拠も掴めず、冒険者達もやられているのでお手上げ状態だったのですが……」
アンリが何やら申し訳なさそうな顔をしていると、
「貴様にはこの事件を調査してもらい、犯人に襲われろ」
と、オーベルグは言ったので、これには宗介も唖然とし、アンリは手で顔を覆っていた。そしてオーベルグは続け様に、
「何も死んでこいとは言わん。言わば貴様は犯人を誘き寄せる為の餌だ。アンリと同行してもらい、アンリが片づける。簡単だろ?」
と、当たり前のように言うものなので宗介は、
「あのー、それなら別に警備隊にでも出来そうな気がしますけど……」
と、言うが、オーベルグははて? と首を傾げ、
「我が国民をこれ以上犠牲にするわけ無かろう。それに犯人にも警戒されてしまう。何のために貴様の国にピュエールを派遣したと思うんだ」
他の国の人ならいいんですかと思う宗介であったが、嘘はついていないところを見るに、ピュエールの言っていたことは本当であるとわかった。
「わかったら、さっさといけ」
オーベルグに急かされ、宗介はアンリと共に調査へ向かった。




