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旅客機の窓から、ある光(remix 2017)
ベージュの陽光、静止して流れていく。伝わっていく、
雲の大地が途切れ、そのふちは滝や崖のような曲線を描いていた。
見下ろすなり陸地の湾曲、同じように海岸線が続いている。
「雲平線だね」
「造語ですか?」
「造語だよ」
雲平線は青い空とベージュの雲との間に黄色くふちどられ、ふちの
上辺には黄緑のもやが浮いている。海がしばらく進み、陽光が届きにくい位置を訪れると
真っ白な
裸の岩石のような雲が固まっていた。
「それは固形の流動体」
雲の背中に洗剤の泡がなだれこむ。
ときにそれは羽毛の絨毯を逆撫でさせたかのようにも見えて
暗い肌は一層黄色い線を、黄緑のもやを、(遠くに感じられ、
寒気が胸をすくうのだった。
雲の表面のおうとつによって高い場所は白く、深い場所は暗く
濃淡を二分させ、
そこへ細められた陽が差し込まれた。それは
まるでマグマのような、マグマのような、
「見てください。光の川ですよ!」
陽光は雲の上に赤い水を引いていた。
燃えるように赤い夕焼けの河流だった。