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光差す海  作者: 長谷川真美
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唇に咲く花

神様。どうかどうか私の大切な人から運命(さだめ)を奪わないで下さい。

そのためなら私はいつでもこの生命をお返しいたします。

 紫煙(しえん)の中にあなたがいた。周りが簿焼ける。教師と学生から成す男性グループで談笑している中、楽しげな表情の内に秘められたどこか悲しげな表情を浮かべて私を見つめる。手持ち無沙汰なあなたは携帯灰皿で短くなった煙草を消す。


 一瞬の快楽に逃避せずにきちんと生きてほしい。生きているのだから最後の最後まで生にもがいて欲しい。生きることを最終的に選択したのはあなた自身なのだから。あなたは私に車の中から一つの橋を見せてくれた。その橋の力学設計はあなたが行った。あなたはまだ作りかけの橋を我が子のように見つめている。ローマの水道橋は今もなお存在し続けている。この橋も多くの人の生活を支え、存在し続けていてほしい。手話に慣れないあなたは筆談をしていくうちに興奮のためか筆跡が乱れていった。背負うべきものをこの人は持っていると改めて気付かされた。あなたは身を削ってインフラ整備を担う。そのために病気はこの人から命を取らなかった。神様が死神の鎌を退りのぞけさせた。それが麻生泰臣(あそう やすおみ)運命(さだめ)だった。


 私が一つお願いをする。「あなたは現在だけではなく未来の人々の生活も支えています。だからこそ長く生きてより多くの人々の生活に貢献して下さい。それがあなたの生きる理由です。」油性ペンで野帳(やちょう)に綴っていく。あなたが文章を読むために前のめりになった瞬間に胸ポケットにしまわれていた煙草の箱を取り上げる。私が口元で指でバッテン印を作る。途方に暮れたあなたはお手上げのジェスチャーをする。煙草の代わりに指で貴方の唇にそっと触れた。指先から花が咲いたかのような熱さを感じた。


 このときはまだ私は神様の言葉が聞こえていなかった。ただ一瞬一瞬を感じるのが精一杯だった。それでも私は神様にお願いをした。「私からこの人を奪わないで下さい。この人から運命(さだめ)を奪わないで下さい。」真昼の月の元、私は最後に神様にこう誓った。「運命(さだめ)が終わったならば、いつでも私の命をお返しします。」FIN.

貫徹した朝です。

ホットのブラックコーヒーが染みわたります。

BGMがJ-waveのJAM THE WORLDから始まって気づいたらZAPPAでした。

学生時代にもっと本腰を入れて歴史や聖書などをはじめとする宗教について勉強をしておけばよかったと痛感しています。やりたいことがたくさんありすぎて途方に暮れています。

土台が大切なのでゆっくりコツコツ進めていきます。

2017/7/29

蒸し暑い夏の朝

長谷川真美


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