表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/17

アニールとの装騎バトル

「わ、わたしがアニールさんに一撃でも当てれば第七装騎部に入ってくれるんですか!?」

「ええ。もちろん、私は当たるつもりはないけどね」

バトルが始まるその直前、アニールさんの申し出にわたしは思わず叫び声を上げる。

ただ一撃――それだけ与えられればアニールさんが装騎部に入ってくれるという申し出。

一撃さえ入れれば――と言えば楽に聞こえるけど、アニールさんに一撃も当てられないという自信があるとしたら……初心者のわたしでなんとかできるものなのだろうか。

そんな思いを抱きながらも、グラウンドで2騎の機甲装騎が対峙した。

片方はわたしの装騎04。

もう片方はアニールさんが乗るラファエル型装騎。

「なんでしょう、あの武器……棒?」

アニールさんのラファエル型は、その手に握った装騎ほどの丈がある棒状の武器を振り回し、軽くウォーミングアップをしている。

後で知ったことだけど、魔電霊子アズルを使ってフラッグを展開できる武器で霊子杖・南斗星君と言う名らしい。

「それじゃ、バトルをしましょうか」

「は、はい! よろしくお願いします!」

斯くして、わたしとアニールさんの装騎バトルは幕を上げた。

わたしは装騎04を一気に駆けさせ、アニールさんのラファエル型へと接近する。

その手に持った超振動ハンティングナイフを見てアニールさんが言った。

「アマレロの武器はこれだけ?」

「はい、超振動ハンティングナイフ――――これで行きます!」

「本当、面白い子」

わたしの装騎04――そのハンティングナイフの閃きをアニールさんのラファエル型は軽く回避する。

「思い切った一撃ね」

アニールさんは霊子杖・南斗星君を構えると、一気に振り払った。

「うわっ」

わたしは咄嗟に回避をする。

鋭い一撃――だけど、どこか軽やかな動きからは本気ではないということが分かった。

その間にも、アニールさんは霊子杖・南斗星君をクルクルと華麗に回す。

すると、霊子杖・南斗星君からアズルの仄かな光が漏れ出し、その先端部からフラッグが伸びた。

「旗!」

はためくアズルフラッグが軌跡を描きながら、再びわたしの装騎04に襲い来る。

「切り替えが早い……」

「よく追いついたわね」

「狙うのは、そこ!」

アニールさんが霊子杖・南斗星君を振り切ったその瞬間を狙い、わたしはハンティングナイフを構えた。

そして一閃。

「それに――どんどん成長している」

「きゃっ、やっぱり、そう簡単には……」

突如わたしの体を襲った衝撃と共に、振り払おうとしたハンティングナイフがアニールさんに蹴り飛ばされ、宙を舞った。

さらに、左腕に霊子杖・南斗星君の一撃が叩き込まれる。

「くぅ……ぁっ」

衝撃に頭がクラクラする。

鼓動が高鳴る。

アニールさんの圧倒的な強さをヒシヒシと感じる。

怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い――でも、

「愉しいっ」

拳を固く握りしめ、その拳をアニールさんへと思いっきり振りかぶる。

「ぐっ――――」

だがそれよりも先に強烈な一撃が、わたしの胸を抉った――気がした。

その一撃で、わたしの装騎04の機能が停止する。

「結局、一撃も与えられませんでした……」

わたしは装騎から降りて、タオルで汗を拭く。

頭の中でさっきの戦いが仕切りなしに思い浮かぶ、

仕方ないとも思いながらも、やっぱり悔しい。

だけど何故か、奇妙な胸の高揚感と充実感が残っていた。

「アマレロは真っ直ぐな戦い方をするのね」

「そう言ってもらえると、嬉しいです」

「まぁでも、約束は約束。当てられなかったから装騎部に入ることはできないわ」

「はい」

「だけど――」

「……なん、ですか?」

「貴女が強くなるのに、協力はしたいと思うわ」

「え? それは、つまり……」

「私の特訓はハードよ。やってみる?」

そう言いながら差し出されたアニールさんの手を、わたしは握り返した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ