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バトルスタート!

「ブ、ブーシュ先輩、ど、どうすれば――!?」

『きがむくまま、おもうがままにぃ~』

「そ、そう言われても!」

試合が始まり、正面からモッチー先輩の装騎ルシフェルⅦ型が近づいてくる。

私はその迫力にブーシュ先輩へと助けを請ったけど、ブーシュ先輩はどこか気だるげな声でそう言うだけ。

「と、とりあえず――撃ちます!」

ただ突っ立っていても仕方がない。

私は装騎04に装備されたストライダーライフルを構えると、その引き金を引く。

タタタタタタタと軽快な射撃音が響き、その銃口から弾丸が放たれた。

だけど、とりあえず撃ってみたという単純な攻撃は、モッチー先輩のルシフェルⅦ型には当たらない。

『ポップちゃん、撃つのは良いですがちゃんと足も動かしましょうね!』

通信からそう言うモッチー先輩の助言が聞こえてくる。

「足も動かす……」

『そーだぜポップ! 止まってるのと動いてるのじゃ言うまでもねーが全然違うからな』

『自分も動き、相手も動いている状況でどう相手に攻撃を当てるか……そこが腕の見せ所でもありますね』

「自分も動きながら――動いている相手に――――攻撃を……」

私は足を一気に踏み込み、装騎04を加速させた。

「走って――」

モッチー先輩の装騎ルシフェルⅦ型が手にしたバーストライフルを撃ってくる。

「狙って――」

その銃撃から私は逃げながら、静かに装騎ルシフェルⅦ型を見据える。

「撃つ!」

装騎04の撃ったストライダーライフルの銃撃――その銃撃が装騎ルシフェルⅦ型の装甲を叩いた。

『まだ、あさいぃー』

ブーシュ先輩の言う通り、私の撃った弾丸は装騎ルシフェルⅦ型の装甲を浅く掠めていっただけ。

『でも、すごいぃー』

「え!? そ、そうですか!!??」

『すごいじゃないかポップ!』

『今の攻撃、当たりましたよ!』

通信から、モナカ先輩とモッチー先輩の歓喜の声が聞こえてくる。

その声を聴いていると、なんだかすごいことしたような気分になってきた。

――まだ、一撃を掠めさせただけなんだけど……。

『オレもポップと戦いたいぜ!!』

そう言いながら、モナカ先輩の装騎ラドゥエリエルが追いついてくる。

『よっしゃあポップ! どうせなら接近戦もしとこうか!!』

モナカ先輩の装騎ラドゥエリエルは、溶砕ヒートクラッシュハンマーを掲げると、私の装騎04へと距離を詰めた。

「え、えええ!? 接近戦、ですか!?」

『じゆうに、きままに、たのしく、ぽっぷぅ~』

「そればっかりですか!」

ブーシュ先輩の助言(?)に、だけど私は何か感じるものがあった。

自由に、気ままに、思うがままに――

「そして、楽しく――そうですね。私は、」

装騎ラドゥエリエルの溶砕ハンマーが地面を抉る。

その振動を感じながら、私はストライダーライフルをストック、ウェーブハンティングナイフを構えた。

「楽しくて、自分らしいバトルが、できるようになりたい!」

私の言葉に応えるように、装騎04がその右腕を突き出す。

『うおっと!?』

「あ……当たった!」

装騎04のウェーブハンティングナイフの一撃が、モナカ先輩の装騎ラドゥエルエル――その胸部をちょっとだけだけど抉り取った。

『いい感じじゃないかポップ! この感覚を忘れるんじゃないぞ!』

「は、はい……っ!」

『これは中々に期待できる新人を見つけてきたわね』

『アア、全くだゼ』

会長先輩やジーナ先輩のそんな言葉まで聞こえてきて、私はどこかくすぐったくなる。

『さーって、それじゃあそろそろ本気で行くぜ』

『――――そうですね。さぁ、行きますよモナカ先輩!』

『ああっ!』

「え、ええええ!!?? ブーシュ先輩!!」

ここで急に、装騎ルシフェルⅦ型と装騎ラドゥエリエルの動きが変わった。

モナカ先輩の装騎ラドゥエリエルが持つ小型榴弾投射砲から榴弾が連続で放られ、私の装騎04の周りに炎を上げる。

『さぁ、行きますよ!』

そこにモッチー先輩の装騎ルシフェルⅦ型がバーストライフルの銃口を向けた。

「やられるっ!?」

『やらせなぃ~』

突然、装騎ルシフェルⅦ型が構えたバーストライフルが爆発。

「え、何々、何ですか!?」

呆気に取られる私の傍を、ブーシュ先輩の装騎シェテルが、ブーシュ先輩が操っているとは思えないほどの速さで装騎ルシフェルⅦ型へと駆け寄っていく。

その手に持ったダガーガンを連続で射出しながら。

装騎シェテルの動きを見て私はやっと理解した。

さっき、モッチー先輩のルシフェルⅦ型の武器が爆発したのは、ブーシュ先輩の装騎シェテルが撃ったダガーが当たったからだったんだって。

『いちげきぃー』

『なっ……!!』

装騎シェテルがウェーブシャムシールを横に薙ぎ払う。

目にも止まらない素早さで、モッチー先輩のルシフェルⅦ型は機能を停止した。

「ブーシュ先輩……凄い!!」

『眠れる悪魔が目を覚ましたか……』

通信から、どこか震えるようなモナカ先輩の声が聞こえてくる。

『ぽっぷ……』

「は、はひっ!?」

『ライフルさん撃ちっぱなし』

「分かりましたっ」

私はブーシュ先輩の言葉に従い、ストライダーライフルをモナカ先輩の装騎ラドゥエリエルに向けるとその引き金を引いた。

引き金を引きっぱなしにすると、ストライダーライフルから絶え間なく弾丸が発射される。

私は装騎ラドゥエリエルに当てようなんて思わず、ただ言われた通り装騎ラドゥエリエルに向かってひたすら銃弾を撃つだけ。

そんな私の銃撃を背にしてブーシュ先輩の装騎シェテルが駆ける。

私のデタラメな銃撃の雨の中を装騎シェテルは平然と進み、装騎ラドゥエリエルへと接近。

『くっ、やる気か!!』

装騎ラドゥエリエルが正面から装騎シェテルを迎えうとうと、バーストライフルを腰だめ撃ちの体勢へと移した瞬間。

装騎シェテルは身をひるがえすと装騎ラドゥエリエルの背後へと回る。

『後ろ――!?』

モナカ先輩が装騎シェテルへと射線を合わせようとしたその時――

『ふしゅ~』

突然、装騎シェテルが崩れ落ちるようにして地面に倒れ伏した。

『ブーシュ先輩の集中力が切れましたね……』

通信からモッチー先輩のそんな声が聞こえてくる。

その様子を見てモナカ先輩は勝利を確信したのか動きが止まった。

『まっ、これで少し楽に――あおっ!?』

「あっ」

動きが止まった装騎ラドゥエリエルに――偶然だけど私が撃ちっぱなしにしていたストライダーライフルの銃弾が命中した。

『装騎ルシフェルⅦ型、ラドゥエリエル戦闘不能! 勝者、ブーシュ・ポップチーム!!』


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