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装騎に乗って動かしてみよう!

「ポップちゃん! 装騎の動かし方は分かるよね?」

「まぁ、一応――小中でも習いましたし……」

「それじゃあ、装騎に乗ってみましょう」

わたしはモッチー先輩に促されるまま、04装騎に近付く。

まるでかしずくように地へと膝を付ける04――その体をよじ登ると、わたしは背後にあるハッチを開いた。

フシュウと風が吹き抜けながら開かれたハッチ。

すると、人一人がなんとか入れそうなコックピットが姿を現した。

わたしは足からコックピットへと滑り込み、座席に座ると、その手足を――装騎を着込むように機械の中へと通す。

装騎内部に設置されたカメラによって人の搭乗を感知した04装騎のディスプレイに光が灯る。

≪起動キーを入力してください≫

「起動キー?」

本来であれば機甲装騎に騎使登録を予めしておくことで、自動認証――そして、起動することができるのだが、大人数で共有する部の備品である04装騎には起動パスワードが設定されているようだった。

「ポップちゃん。起動キーは『第七装騎部最高!』ですわよ」

どうすればいいのか迷っている所に、いつのまにかコックピットハッチの所まで来ていた会長先輩がそう言った。

「え? 第七装騎部最高! ――?」

わたしがそう復唱した瞬間、04装騎が音声認識で起動キーを承認。

それと同時に、奇妙な悪寒や痺れにも似た感覚がわたしを襲う。

「ひぅっ!?」

その感覚に、わたしは思わず変な声を出してしまった。

だが、これはわたしと装騎が正常に接続出来た証拠。

わたしの精力がアズル・リアクターへと流れ込み、その中で電力と混ぜ合わされてアズルと言う特殊なエネルギーへと変わる。

「起動認証クリア。霊子接続、バッテリー残量問題なし。アズル・リアクター問題なし……アズル出力安定。うん、無事起動出来たみたいね。それじゃあポップちゃん。頑張ってくださいな」

ディスプレイを眺めながら何やら呟いていた会長先輩だが、わたしの方を見てニコッと笑みを浮かべると、04装騎から離れた。

会長先輩が離れたのを確認すると、わたしはハッチを閉じる。

そして、静かに腕を動かしてみた。

わたしが腕をわずかに曲げると、その動きを増幅して、04装騎がグっと腕を曲げた。

コックピット内に居る騎使の動きを増幅して再現する――オーバー・シンクロナイズと俗称される操縦方式が機甲装騎の主な操縦方法だ。

『お、無事に起動できたみたいだな!』

スピーカーからモナカ先輩の声がコックピット内に響く。

「は、はい!」

『ポップちゃんは装騎を動かすの久々っぽいですし、まずは簡単に歩くところからやってみましょう』

「わかりました――!」

モッチー先輩の言葉通り、わたしはまず装騎を歩かせようと、足を動かした。

「はわぁぁああああ」

わたしが足を上げるような動作をすると、それを増幅して04装騎が足を大きく上げる。

オートバランサー機能があるため、よっぽど重心をずらしたりしない限り倒れることはなかなか無いが、それでもコックピットが大きく傾く感覚に、わたしの胸が浮遊感で掬われる。

『ポップちゃん、足を下してください!』

足を下すと、その衝撃がわたしへと伝わってきた。

『どう、いけそう?』

「まぁ、なんとか――!」

暫く、手足を動かしたり、歩いたりしたところでモナカ先輩の言葉にOKを出す。

小中で必修科目であることや、コンピュータでの補正などによって何とか動かし方の勘を幾分か取り戻せたような気はした。

『それじゃあ、チームはアタシとモッチー。ポップちゃんブーシュちゃんのチームで良いよな!』

『そういえば、ブーシュ先輩は――?』

モッチー先輩の言葉に、わたし達三人が乗った装騎の頭部がブーシュ先輩が乗っているはずのシェテルへと向く。

そこには自分の腕を枕にして、丸まりながら地面で眠ったようなポーズを取ったシェテル型装騎の姿があった。

『ブーシュ先輩。起きてくださいブーシュ先輩! 練習試合ですよ!!』

『れんしゅ――――?』

『ポップちゃんと一緒にチーム組みたいって言ったのはブーシュだろぉー』

『ぽっぷぅ~』

モッチー先輩とモナカ先輩の言葉で、目を覚ましたブーシュ先輩の装騎シェテルがのっそりとその身を起こす。

『それじゃあ、アタシらが向こう側行くから、ポップちゃん達は此処で待っていてくれ』

「わかりました」

それからしばらく。

『ブーシュ、生きてるかー?』

『しにたぃー』

『よーし、生きてるな。そんじゃ、会長、頼むぞ!』

『わかりましたわ』

外からSIDパッドを無線代わりにして、会長先輩の声が通信へと入ってきた。

『それでは、モナカ・モッチーチーム対ブーシュ・ポップチーム――――試合、開始ですわ!』

会長先輩の声と共に、装騎が戦闘モードへと入った。


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