先輩マサシ
「はい、もしもし」
「やっほ〜い!!つとむ久しぶりやなぁ!!元気しとりまっか!?」
相変わらず、無駄にテンションが高くて、悩みもなく頭が悪そうな声だ。
「はい・・・まぁ、ぼちぼちです。てか、マサシさんから電話とか珍しいですね。どうしたんですか?」
「いや〜、実はつとむに頼みがあるねんよ〜、来週仕事の都合で大阪からそっちに行くねんけど、一ヶ月ほど泊めてくれんかいねんな!?」
久しぶりに電話してきたかと思えばイキナリ何を言ってるんだろう?この人は?
しかも変な関西弁っぽい言葉がちょっとムカつく。
「急にそんな事言われても困りますよ。しかも一ヶ月ほどって・・・、だいたい会社の都合なら会社が色々としてくれるんじゃないんですか?しかも先輩の今働いてる会社って、超大手の優良企業でしょう?宿泊の費用くらい出してくれないんですか?」
「おおぅ!!お前鋭いなぁ〜!!確かに会社から費用出とるで!!宿泊費として一日5000円の手当が付くらしいわ!!でも真面目にホテル代に使うのもったないやんか!?だからお前ん家に泊めてほしいんねん!!」
意味が分からない。
宿泊代貰ってるなら、どっかのホテル行けばいいだろ。てか、その変な関西弁ムカつくからやめろって。
「いやぁ〜・・・俺、今就活が忙しいんで困ります。てか、宿泊費用しっかり貰ってるなら使いましょうよ」
「だからもったいないから嫌やねん!!せっかく金貰えるなら、遊んだりして有意義に使いたいやんか!!お前にもなんかおごってやるからさ!!あれ??てかお前、まだ就活やってるんだ??さてはお前も就活楽しんでるな〜!?」
何を言ってんだろうこの人は?俺がこんなにも就活で苦しんでいるのに(楽しんでるな!?)って・・・俺の事バカにしてるのだろうか?
「いやいや・・・、就活を楽しむってどういう事ですか?俺まだ一社も内定出てないから忙しいんですよ・・・」
「ホンマでっか!?そりゃアカン!!俺の後輩として、ほっておけんな!!分かった!!来週から泊まり込みでお前に、俺の楽しい就活テクニックを伝授してやる!!」
それって結局、俺の家に泊まりたいだけじゃねぇのか・・・?
しかし、悔しいが、そう言われると俺の心も揺らいでしまう。
なんたって、このマサシという先輩は去年、大手企業から10社、中小企業から20社の内定をGETした伝説の男・・・。
もしかしたら俺でも簡単に内定をGETできる裏のコネを持っているのかもしれない・・・。
それだったら、今回マサシさんを一ヶ月、家に泊める交換条件として、俺の就活をサーポートしてもらうっていうのは悪くない話だ・・・。
「分かりました・・・。じゃあ・・・、もし本当に先輩が俺の家に泊まる間、俺の就活のサポートしてくれるなら良いですよ」
「おう!!任せろ!!お前の就活、俺が楽しくしてやるよ!!」
こうして一週間後、伝説の男マサシさんが俺の家に来る事になった・・・。