主人公つとむ
俺の名前は前田つとむ。
某三流大学の四年生だ。
就職氷河期と言われる今の時代、就職活動に苦戦をしいられてる学生の中の一人である。
去年の12月から就職活動を始めてもう半年・・・
周りの友人はもうすでに内定を貰ったり、最終選考まで進んだりしているのに・・・
なぜだか俺は、まだ一次選考しか受けた事がない。
あぁうん。
つまり、今のところ、まだ一度も選考を通過した事がないという事だ。
ん?
あぁ、そりゃもちろん。
かなりへこんでいる。
でもね、就職活動とは落ち込んでばかりいられないのが現実でね・・・
一つの会社の選考を受けて、良い結果だろうが、悪い結果だろうが、
常に次の会社の選考に向けて準備をしなければならない。
なぜならば、たとえ二つ、三つの会社が順調に最終選考まで進んだとしよう。
しかし三つとも最終選考の結果、内定が出なければ、
(THE END)
再び違う企業の一次選考から受けなければならない。
スゴロクで言う`振り出し`に戻ってしまう訳だ。
まぁ、ちなみに俺はまだ一次選考も通過した事ない訳だから`振り出し`も何も一マスも進んでないんだけどね・・・笑
だから、真面目に就活をしている普通の学生は、他の選考が順調に進んでいたとしても、ヒマを見つけて次の選考を受けるために会社説明会に足を運んだり、エントリーシートを書きまくったりという、精神的に疲れた、つまらない日々を過ごしているんじゃないかな?
てかさ、就職氷河期って何なんだろうね?
俺に対するイジメなのかな?
あ〜ぁ
きっと俺がこんなに苦しんでるのってさ、きっとアレだよね。
日本の政治家のせいだな。
クソ・・・資本主義の豚共が!!
大手有名企業からは書類選考の時点で落とされた。
中小企業も一次選考でサヨウナラだった・・・。
そこで、とりあえず自分を勇気づけるためにと思い、行きたくもないブラック企業の選考を受けてみた・・・。
そしたらよ・・・
燃えたよ・・・
真っ白にさ・・・
まさか、ブラック企業にまで一次選考で落とされるとは、俺は夢にも思ってなかったよ・・・。
ねぇ・・・
俺って、そんな社会で必要ない人間なのかな・・・?
周りの親や友達はそんな俺を慰める・・・。
「隣の家のアリサちゃん、東京の会社に行く事が決まったみたいよ。アンタみたいに地元に残りたがってたのに残念ねぇ・・・。アンタもお母さんとお父さんの事を考えて地元の会社ばっか受けとるんやなかと?無理して地元の会社にこだわらくてもいいからね」
うん、別に俺は地元の企業にこだわってなんかない。全国転勤、海外出張、大歓迎だ。
てか、隣の家のアリサちゃんは東京行くんだぁ〜、
いいなぁ〜、いいなぁ〜、
途中で飛行機落ちちゃえばいいのになぁ!!
「そっかぁ・・・前田君まだ内定貰ってないんだ?まぁ、就職氷河期だからしょうがないよ!!私はとりあえず一社、内定出たんだけど、まだ納得できてないんだよね。だから、私もまだ就活続けるんだ、お互い頑張ろうね!!」
ふーん。てかさ、納得できる企業って何?
それっておいしいの?
てか、お前のその納得できない企業の内定を俺にくれよ。
とりあえず一社だって?
さりげなく自慢してんじゃねぇよ!!
「つとむ気にすんなって!!数打ち当たればいつか当たるんだから!!俺とかよ!!やっと今度、最終選考だぜ!!笑っちゃうだろ!?」
・・・あ?
俺をバカにしてんの?
俺はまだ一次選考しか受けた事ねーよ!!
バーカ!!
勝手に最終選考受けてハシャイでろバーカ!!
さすがに普段はポジティブな俺でもこの頃、自分の存在意義にさえ疑問を感じていた・・・。
俺は社会で必要のない人間なのか?
そんな軽くウツ状態の俺の元に突如、電話がかかってきた・・・
電話の主は去年、うちの大学の就職七不思議伝説を作りあげた・・・伝説の男、近藤マサシ先輩からだった。