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「────ッ!!」
ベレッタが放った赤い光に、私は反射的に左手で目を覆い、アニェスとロベールも同様に目を守る。光は一瞬で消えて、目から手を離すと視界に異常は無い。続いて体の他の箇所も異常がない事を即座に確認する。
目潰しでもないし、死霊人形達の向こうには依然ベレッタが立っていて、逃げるための時間稼ぎでもないなら一体何の意図によるものかと思っていると、死霊人形達が一斉に私達に背を向け、ベレッタへと向かっていく。そしてベレッタの側にいた死霊人形はベレッタに手を伸ばし、彼女の体をアニェスからかばうように抱きつく。
前後左右から死霊人形達に取り付かれ、ベレッタの姿が見えなくなっても、死霊人形達はベレッタに集まり、横方向へくっつくだけでなく縦方向にも積み上がっていく。そのうち、縦横に広がるだけでなく、途中から横に二本、腕を形作り、更に下からも二本の足が伸び、あっという間にそれは、くびれた腰と膨らんだ胸を持つ、女性的なシルエットの巨人の姿を形作った。
『どうかしら? これこそ美と力を兼ね備えた、新しい神の姿よ!』
巨人の頭の部分から、高らかに笑うベレッタの声が聞こえてくる。確かにそのシルエットは、昼間見て回ったルーブル美術館に展示されている、ミロのヴィーナスやサモトラケのニケを思わせたが、それらの彫刻から漂う神秘性や魅力は、あの巨人には一片もなく、ただ突き刺さんばかりの威圧感と憎悪をとめどなく放っていた。
「さしずめ“憎悪の女神”と言った所かしら」
巨人から距離を取るように戻って来たアニェスが、忌々しげに見上げながら言ってくるので、
「名前なんて付けてる場合じゃないだろう!」
流石に私も声を荒げる。
「撃て! 撃て! これ以上動き回らせるな!」
焦りと苛立ちで、口調を荒くしてシュルク刑事が指示を飛ばすと、警察の部隊が一斉に発砲するが、
『無駄よ、無駄無駄! そんな物、痛くもかゆくもないし、あなた達だって、この大きさの前では虫けらも同然よ!」
優越感も露わにベレッタが答えながら、“女神”は右足を上げる。
「た、退避ィィッ!!」
シュルク刑事達警察が慌ててその場を離れると、彼らのいた場所めがけて“女神”の右足が音を立てて踏み下ろされ、石畳が粉々に砕ける。
『神に銃を向けた罰を受けなさい!』
“女神”の体中から銃身がハリネズミのように現れ、一斉に発砲。ろくに狙いを付けていない銃撃でも、数を撃てば当たるもので、被弾した警官達が倒れ、中には頭や胸を撃たれて動かない者も出る。
「あっ──」
倒れた警官の体から、微かに光る人の姿──霊が出てくる。致命傷か、と十字を切ろうとした時、
『う、うわぁぁぁっ!』
その警官の霊達が、何かに引っ張られるように“女神”へ引き寄せられ、溶け込むように中へ吸い込まれていく。
『た、助けてくれぇぇっ!』
抵抗も空しく霊達が“女神”の中へ完全に取り込まれると、“女神”の足元で踏み砕かれた石畳の破片などが“女神”に吸い寄せられ、まるでそれらを吸収するように、女神が大きさを増したように見える。
「アニェス、これは──」
「ええ、あの女、殺したばかりの霊と、周囲の瓦礫とかを取り込んで更に“女神”を大きくできるようね」
アニェスも警官の霊達と“女神”に起こった事が見えているらしく、私が尋ねるより先に答えを言う。
「それはつまり、死者が出れば出る程、あれはどんどん巨大化していくと言う事ですか!?」
駆け寄って来たシュルク刑事が、話を聞いて青ざめる。
「だとすると、もしあれが市街地に出て暴れたら、死者は桁外れの数になって、手が付けられない程巨大化してしまいますよ!!」
市街地に出た“女神”が建物を破壊し、人々を無差別に殺し、それらを糧に際限なく大きくなっていく──想像して絶句する私は絶句するが、
「日本の怪獣映画みたいになるって事ね。エッフェル塔が壊される前に、軍隊を呼べないの?」
同じ場面を想像しても、危機感に欠ける感想を言ってくるアニェスに、
「真面目に考えて下さい!」
「そうですよ、アニェス様!」
「今の状況が分かってるのかアニェス!?」
シュルク刑事だけでなく、ロベールと私も声を荒げる。しかしアニェスは心外といった様子で、
「私は真面目に考えているし、状況も分かってるわ」
そう答えながら双剣を鞘に納めるのを合図とするかのように、“女神”の足元から爆発が上がり、足を形作っていた死霊人形が2、3体ほど壊れて剥がれる。
「アニェス、あれは君の仕業か?」
「ええ、あそこから離れる時に爆発の符を置いて行ったのよ。ほら見なさい」
見ると、壊れた死霊人形から霊が出てきて、邪法から解放されて昇天したらしく消えていく。
「1つに集まって巨大化はしているけど、死者の魂を人形に縛り付けて動かす原理は変わらないわ。つまり、部品になっている人形を壊せば魂は離れて動かせなくなる。だから新しい死者を出して修復と巨大化をさせずに削り続ければ、いつかは倒せるという事よ」
「理屈の上ではそうかも知れない。しかし、現状で向こうはあの大きさだし、こちらの戦力では──」
「何言ってるのよ!」
反論する私の額を、アニェスはレイピアの鞘で殴りつける。
「今のうちに倒さないと、もっと巨大化して手に負えなくなるじゃない。あんなのに殺されて、部品として吸収されるなんて御免よ」
「それは私や他の皆もそうだろうが……」
「大丈夫。手が無いわけじゃないわ。まずは定石に従って片足を潰して動きを止めて、それから集中攻撃よ」
そうアニェスが提示した作戦に、シュルク刑事が難色を示す。
「その片足をどうやって潰すというのですか!? 見て下さい、こちらの銃では歯が立たないし、あなたの爆発の符でも表面を剥がすので精一杯でしょう」
シュルク刑事が言う通り、警察が“女神”と交戦を続けていたが、彼らの銃火器では文字通り巨人に豆鉄砲で挑むようなもので、再び動き出した“女神”を前にじりじりと後退していたし、アニェスの符でも片足を潰すのに相当な枚数が必要なのは見ても明らかだった。だが、
「あるじゃない、あそこに有効そうな武器が」
アニェスが指さした先にあったものに、私は「本気か?」と反射的に尋ね、ロベールも「何と……」と唸り、シュルク刑事は「何を考えてるんですか!?」と男相手なら掴みかからんばかりだったが、
「どうせ放っておいてもあれに壊されて吸収されるのがオチよ。それともここから逃げるのに使う?」
そうアニェスが言い返すと、シュルク刑事は無言で“女神”と警察が衝突している前線に向き直り、クッと歯噛みしてその場を離れる。
「さあ、そうと決まったら早速反撃開始よ。ローラン、ロベール、こちらの準備が出来るまで向こうの相手をお願いね」
例によって有無を言わさぬ口調で指示すると、こちらの返事を待たずにアニェスは飛び出す。
「行きますか、神父様」
大剣を担いで“女神”の方に向かうロベール。
「信じるしかないのか、アニェスを」
諦念混じりに思わず私は呟いて、ロベールと並んで進む。ここで主を信じる、と言えない私の至らなさを心の中で嘆き、主に許しを請いながら。
『あの小娘はどこへ行ったの!? まさか逃げたんじゃないでしょうね!』
既に前線では体勢を立て直した“女神”を食い止めようと警察が交戦中で、生身の人間ならともかく死霊人形が集まった“女神”相手に拳銃では威力に乏しく、それよりは威力のある散弾銃は数が少ない、いわゆる決め手に欠ける状況だった。それでも警官達は皆、必死で戦っていたが、“女神”が飽きたとばかりに足を上げると回りの警官達は呆気なく振り払われ、負傷して立ち上がれない警官の上に足を下ろそうとする。
「させるか!」
間一髪で駆けつけた私のサーベルが、“女神”の足先を切り裂き、続いてやって来たロベールが横殴りに大剣を足に叩き付ける。壊れた部分を構成していた死霊人形が数体、バラバラと“女神”の足からこぼれ落ち、“女神”の顔面がこちらに向く。
『チョロチョロと、ゴキブリみたいに!』
苛立たしげな声が“女神”から発せられると、丸太のように太い指が私達に向けられる。その指先から銃口よりも太いノズルが現れ、オレンジ色の炎が噴き出す。
「「危ない!」」
咄嗟にそれぞれ近くの警官を突き飛ばし、私とロベールは炎を避ける。
「火炎放射器まで用意しているのか!」
私は警官達の無事を確認すると、指を振り、鞭のように炎を撒き散らしてなおもロベールを狙う“女神”を追う。相手がロベールを追うのに夢中になっている隙に、私は横合いから“女神”に接近し、その足から伸びている銃身を踏み台に跳躍する。
「そうあれかし!」
叫びながらサーベルを大上段から力一杯振り下ろす。着地とほぼ同時に、火炎放射器のノズルが指先ごと重い音を立てて地面に落ちる。
『よくもやったわね、この!』
指の掛けた手を見ているのか、顔の前に上げると、“女神”は叫びながら腕を振り上げる。そして虫を潰すように私を潰そうと、地面に片膝を立てて腕を振り下ろす。頭上から落ちてくる巨大な手の平を避けようと全力で走っていると、私の目の前に走行中のパトカーが飛び込んでくる。それは私が前にいてもブレーキを掛けるどころか更に加速して、
「どきなさい!」
運転席でハンドルを握るアニェスの声に、私は反射的にパトカーの進路上から飛び退く。他の警官達も慌てて退避して、邪魔するものが無くなった所でアニェスはドアから飛び出し、無人になったパトカーが高速で走る武器になって、“女神”の片膝を突いた方の足に衝突する。流石に死霊人形が寄り集まってできた巨大な足でも加速の付いた重量1トンを超えるパトカーの衝突には耐えられず、“女神”は体勢を崩して前のめりに倒れる。
そこへもう1台パトカーが、やけくそとも言える加速で走ってきて、地面に倒れる“女神”の頭に突っ込み、派手に音を立てて死霊人形の部品が飛び散る。
「何で警察官になって、こんなスタントをしなきゃいけないんだ!」
パトカーから飛び出し、転がってきたシュルク刑事が、回転が収まって立ち上がるなり叫ぶ。
「あれを倒す為に決まってるでしょう」
アニェスは即答して、シュルク刑事がその場に置いていた拡声器を拾い上げる。
『死にたくなかったら三秒以内に全力で“女神”から離れなさい! 三! 二! 一! 疾!』
女神の周りにいる警官達からの返事も待たずにアニェスが三秒数えた次の瞬間、“女神”に衝突した2台のパトカーが爆発する。燃料に引火したらしく、パトカーは更に爆発して、“女神”を爆炎に包み込む。
「無茶苦茶だ……こんなに派手にやって、上にどう報告すれば……」
「仕方ないでしょう。あれが外に出たらパトカー2台くらいの被害じゃ済まないわよ」
夜の闇を嘗めるように燃え上がる炎を見てうめくシュルク刑事に、アニェスが冷静な口調で言う。
「それはそうですが……」
シュルク刑事の苦々しい表情が炎に照らされるが、パトカーを“女神”にぶつけ、爆発させるというアニェスが提案した作戦を、他に手段がないという理由で承認した手前、それ以上の抗議を止める。
「まあ、流石にあの爆発では彼女ももう生きてはいないでしょうね」
そうシュルク刑事は言うが、アニェスは「どうかしら」と炎を凝視している。私も炎で死霊人形達が焼け崩れ、縛られていた霊が解放されているのをじっと見ていたが、にわかに炎の中からガラガラと音がして、いよいよ“女神”全体が本格的に崩れるかと思った、炎から勢い良く何かが飛び出してくる。それが死霊人形の馬に乗ったベレッタだと気付くや、
「撃て!」
即座にシュルク刑事が飛ばした命令に従って警官達が発砲するが、馬の足の速さにことごとく弾丸は外れ、あちこち破れ、焼け焦げたドレス姿のベレッタは外へ向かって馬を走らせる。
「させません!」
その前にロベールが立ちはだかり、大剣を振りかぶって一閃。馬の首が宙を舞うと、残る胴体は走っていた勢いのまま前のめりに崩れ落ち、馬上のベレッタも地面に転げ落ちる。
「どこまで私の邪魔をすれば気が済むのよ!」
忌々しげにベレッタは叫ぶと、半ばから切り落とされていた右腕を付け根から外して放り捨て、代わりに地面に転がっていた死霊人形の腕を付け、続いて左腕も同じように付け替える。
「取り外し自由とは、便利だな!」
つい皮肉を口に出しながら、私もベレッタに迫りサーベルを抜剣。しかしベレッタの右腕を再度切り落とそうと狙った抜き打ちは、ベレッタが両手から伸ばした爪に防がれる。押し返すか一旦引くか、僅かに逡巡していると、突然ベレッタの右足首が外れ、筒状になった足が私に向けられる。
反射的に横へ飛び退いた次の瞬間、ベレッタの足の筒が火を吹き、背後で爆発が上がる。
「上手くよけたわね」
残念半分、威力を誇るのが半分の口調で言いながらで足首を元に戻すベレッタに、
「腕だけじゃなく足も人形のものに変えたのね。しかもグレネードランチャーまで仕込むなんて、どこまで人間を外れる気なのよ」
アニェスが前に出て言う。その声音は静かだったが、奥底で激しく燃え上がるものに蓋をしているとすぐに分かるものだった。私は思わず後ずさるが、ベレッタは反対に口の端を吊り上げて笑う。それは見ただけでこの上なく嫌悪感が沸き起こる程に醜悪で、同時に背筋が凍る程に酷薄な笑みだった。
「だから何だって言うのよ。チャップリンだって言ってるじゃない。一人殺せば人殺しだけど、百万人殺せば英雄だってね。なら二百万人以上いるパリの住民を皆殺しにして、私は神になってみせるわ!」
「無理ね」
即座にアニェスはベレッタの言葉を斬り捨てる。
「あなたがやってきた事って、要約すれば顔のせいで周りから苛められたせいでいじけちゃって、それをこじらせた挙句に殺して復讐して、ついでに他の人達も自分を愛してくれそうにないから殺しちゃえって事でしょう? そんなのは只のいじけた蛆虫で、自意識を守るために他人を殺した人殺しでしかないわ。しかも自分の手で殺すだけでなく、邪法で無理矢理他人を操ってまで殺すような蛆虫が神になるなんて、どこの国の神話にもありはしないわよ」
容赦なくベレッタの心を抉るアニェスの言葉に、ベレッタは先程とは反対の、左足首を外す。
「そこまで神話に詳しいなら、神を侮辱した者がどんな末路を辿るか知っているでしょう? 神罰を喰らって滅びるがいいわ!」
足の砲口を向けてくるベレッタだが、アニェスは恐れの色を全く見せない。
「滅びるのはあなたの方よ」
そうアニェスが答えた次の瞬間、カタパルトのような勢いで飛び出す。ベレッタもそれを追って砲口の向きを変えようとするが、ちょこまかと方向転換をしてくるアニェスに追いつかず狙いが定まらない。そうしているうちにいつの間にか距離を詰められている事に気付いて、アニェスの前に砲口を向けるが、時既に遅し、飛び掛かるアニェスのレイピアが七条の光の軌跡を描く。
右腕、左腕を付け根から切断し、心臓、脾臓、腹を刺し、左の眼窩に嵌め込まれた赤い玉を脳髄ごと刺し貫く。ここまでで六回、そして残りの一撃は──
(何、あの筒は──?)
両腕を切り落とされ、腹と胸を刺されてベレッタが背中から倒れる最中、残った右目が頭上で回転しながら飛ぶ筒状の物体を確認する。損傷した脳が、その物体を斬り飛ばされた自分の左足だと認識した瞬間、グレネードがこぼれ出してベレッタに向かって落ちてくる──
「今度こそ終わりよ」
アニェスがレイピアを鞘に納めると同時に、彼女の背後で爆発が上がった。
「炎に飲まれて消えなさい、エミリー・ベレッタ。憎しみの炎で世界を焼こうとした小ネクロス──」
「あっ──」
爆発が上がるや、未だに炎を上げていた“女神”の残骸から、沢山の光が一斉に昇っていく。地上から空へ、逆さに降り注ぐ光の雨のようなそれらの光が、ベレッタの邪法から解放された人々の魂だと一拍遅れて気付き、続いてそれが何を意味するか気付いた。
「死んだのか……ベレッタが……」
誰にでもなく呟くと、アニェスがやって来る。
「ええ、致命傷ものの攻撃を何度も叩き込んで、更に自分のグレネードの爆発をまともに食らえば、流石に生きてはいないでしょう。何よりあれが、ベレッタが死んだ何よりの証拠よ」
空へ昇っていく多くの魂を指さすアニェスに、私はやはりそうかと頷く。術者であるベレッタが死んだ事で、死者の魂を人形に縛り付ける邪法が解けたのだ。
「やれやれ、とりあえずこれで最悪の事態は回避されたと言う事ですか」
疲れをにじませた声でシュルク刑事が言ってくる。
「あら、あまり嬉しくなさそうね」
「それはまあ、既に彼女が起こした連続強盗殺人事件で少なからぬ死者が出てますし、今夜も相当の被害や殉職者が出ましたからね。基本的に事件が起きた後でないと警察は動けませんし、死ぬのを覚悟で任務に当たるのが警察官の使命ではあるのですが」
頭では分かっていても、感情面では割り切れない表情でシュルク刑事は答える。
「ああそう、じゃあ後の事は任せるわね」
ベレッタを倒したらもう用はないとばかりに、アニェスは踵を返す。
「一つ、良いですか」
そうシュルク刑事に声を掛けられ、アニェスは「何?」と振り返る。
「エミリー・ベレッタは死霊人形の軍勢という力を、自分の憎しみために使いました。我々警察は、公権力や組織としての力を、社会の治安や安全を守るために使います。ではあなたは、死霊人形の軍勢をも打ち破った、個人が持つにはあまりにも強いその力を、何のために使うのですか?」
今回の事で、シュルク刑事はアニェスをベレッタ以上の脅威と認識したようだった。今回はたまたま共闘する事になったが、もしアニェスが自分や国家の敵になった場合に起こるかも知れない事態のシミュレーションが、既にシュルク刑事の頭脳では展開されており、その可能性を測るための質問なのだ。口先ばかりの使命感や、その場しのぎのごまかしなど通じないだろう強い視線に、標的でない私さえ息が詰まりそうになるが、アニェスは何だそんな事と言うようにフッと微笑む。
「今日を昨日よりも楽しく過ごすため、明日を今日よりも楽しく過ごすためよ」
何のてらいも無く、あっけらかんとアニェスは答えると、想定の斜め上だったらしく呆然とするシュルク刑事に背を向けて歩き出し、私とロベールも後に続くのだった──
お久しぶりです、たかいわ勇樹です。
前回の更新から約5ヶ月開きましたが、「星の剣舞姫」第5話「グラン・ギニョルは炎のようで」6をアップいたしました。
ベレッタの闇の深さを書き出すためとは言え、私も結構長いこと文章を書いてますが、いやはや最も往生際の悪いキャラクターになりました。
ともあれ長い事お待たせしましたが、今回でアニェスとベレッタとの戦いに決着となります。次回でエピローグをお送りして、「星の剣舞姫」は一区切りとなる予定で、できればこの決着の余韻が残っているうちにお送りしたいと思ってますので、申し訳ありませんがしばらくの間お待ち下さい。