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星の剣舞姫  作者: たかいわ勇樹
第4話「ボディーガードは繊細で」
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 人の多くは自分の目で見たことに、あらゆる判断の重きを置く。

 心というもの自体が目に見えない以上、人は相手の美醜や身なりの良し悪し、表に出る態度など、目に見えるものから判断しなくてはならないからだ。だから、相手が判断から外れた事をすると「人は見かけによらない」などと言い、私も昔は度々そう口にしたものだ。

 だが大概の場合、それは判断に必要な要素が見えていなかっただけで、然るべき見方を身に付けていれば、隠れているものでも見つかるし、逆に漫然と見ているだけでは表に出ていても決して見えない。


 そういう点で、アニェス・紅ほど年端のいかない少女という自分の外見を利用し尽くした者はなく、相手の見る目のなさや思い違いから来る油断に付け込んで多くの敵を下してきた。そして少数派ながら、彼女が決して油断ならない能力の持ち主だと分かった者も、彼女の限界を見切ったと思った直後、更なる深淵と高みを見せつけられるのが常だった。そうしてアニェスはあの東西冷戦の時代を、組織や国家、イデオロギーなどのしがらみに囚われず、自分の心のままに立ち回って、“星の剣舞姫”の二つ名と共に伝説となったのだ。

 当時アニェスの近くにいた一人とされ、なおかつ彼女と過ごした命の危険と隣り合わせの日々で生き延びる為に『見る目』を身に付けていった私自身さえ、アニェスの底を見る事ができたとは言えないし、それ以外の人に対しても、底を完全に見通せるとは断言できない。何しろアニェスの最も近くにいた彼の底さえ、今以て見通せる自信がないのだから。

 あの熊の如き巨体と膂力、それとは裏腹な器用さと繊細さ、そしてアニェスへの絶対的な忠誠心を持った、ロベール・コラフェイスの──

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